【会見レポ】ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season 花 Produced by TBS 製作発表記者会見

2016.09.09

最強、最高のエンタテイメントを提供すべく新たに誕生するIHIステージアラウンド東京。2017年3月にオープンするその劇場でのこけら落とし公演「ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season 花 Produced by TBS」の製作発表記者会見がTBS内のスタジオで行われた。
アジア初の360°回転シアターという奇想天外な発想の劇場に多くの注目が集まる中の記者会見。壇上後ろにセットされたスクリーンは高さが7.5mという大迫力だが、実際の劇場のスクリーンはさらに0.5m高い、8mという高さのものがぐるり一周するという。そんな劇場の迫力を垣間見ることができるセットを前に、大々的で華々しい製作発表記者会見がスタートした。

主催者などの関係者からの挨拶ののち、今日のためにオランダから来日した、この劇場を発想した天才演劇プロデューサー、ロビン・デ・レヴィータ氏が登場した。2010年にオランダの飛行場の格納庫に360°回転の劇場を建設、6年連続で連日満席にしているという、驚きのヒットメーカーだ。

ロビン まさか最初に空港跡地に劇場を作ったときに、このような大成功を収めるとは思っていませんでした。誰もが私をクレイジーだと思っていました。お客様を回転させるというのは、お客様にとっても初めての体験になりますし、どういった反応になるのか予想がつきませんでしたが、今6年経ち、オランダ史上で最も成功を収めている公演を手掛けるようになりました。これまでに220万人を動員しましたが、これはオランダの総人口の15%もの人が観に来たということになります。そして、世界中のエンタテイメント業界の方々が劇場に足を運び、ステージアラウンドを自国でも作りたいと言ってくれるようになりました。現在、ロンドン、ニューヨーク、上海、リバプールで建設を予定しています。TBSほかたくさんの方の支援があって、ここ東京にオランダ国外初のステージアラウンドができることを嬉しく思っております。東京のステージアラウンド劇場の成功のために共に努めてまいります。今日はありがとうございました。

 

続いて、この新たな劇場に挑むキャストたちが登場。
この特別な劇場のこけら落とし公演として劇団☆新感線「髑髏城の七人」が上演される旨が改めて発表され、ロゴが印刷された大きな垂れ幕と花吹雪、スモークと共に華々しくキャスト・スタッフ陣がステージ上に現れた。
1990年の初演以来7年ごとに上演を繰り返してきた人気作が、今回、新たな座組新たな劇場で、再び蘇る。作品についての紹介が始まると、背後のスクリーンいっぱいに大迫力の映像が流された。否が応にもさらに期待が高まる。

記者会見用に椅子がスタンバイされると、捨之介(すてのすけ)役の小栗旬、無界屋蘭兵衛(むかいやらんべえ)役の山本耕史、天魔王(てんまおう)役の成河、極楽太夫(ごくらくだゆう)役のりょう、兵庫(ひょうご)役の青木崇高、沙霧(さぎり)役の清野菜名、狸穴二郎衛門(まみあなじろうえもん)役の近藤芳正、贋鉄斎(がんてつさい)役の古田新太という豪華出演陣、そして演出・いのうえひでのり、作・中島かずきによる記者会見がスタートした。

まずは劇団☆新感線主宰であり、公演の演出家でもあるいのうえを皮切りに、それぞれが挨拶と意気込みをコメントした。

いのうえ この「髑髏城の七人」は90年から7年ごとにやっている、劇団☆新感線的には代表的な演目と言われています。戦国を舞台に若者たちが暴れまくるというような話なので、集団活劇として本当に新感線の代表作と言って間違いないと思っています。今回このステージアラウンド劇場でやれるということで、一番のメリットは暗転を作らずに舞台ができるということです。舞台は、どうしてもセットを転換しなければいけませんし、その間お客さまの気持ちを途切れさせずにどうやるかというのが演出の腕の見せ所だったりするんですが、今回は、そこにはもうセットが用意してあって、客席の方が回るわけですから、映画ではないまでも、途切れなくシーンを展開していくことができるという、ある意味新感線にピッタリな劇場と言っても過言ではないかなと思っております。先日オランダでロビンさんの舞台を観たんですが、映画のような巨大なセットが組めるのが最大の魅力の一つですね。お客さんがなかなか体験したことがない、そのセットの中にお客さんが入っていくような感じになれるんです。今回も戦国時代の荒野の中にお客さんが一緒に入っていくようなそういう体験ができるんじゃないかと思っていて、自分もワクワクしております。この「花」に関しては、圧倒的な大人、リーダーを失った若者たちの葛藤と青春を中心に描いていこうと思っております。頑張ります。

中島 90年にやったときには、途中シーンの稽古もできていないような粗削りの舞台だったんですが、それだけに逆に原石のような魅力がありました。そこから7年ごとに再演する度に全然捉え方が違う芝居になり、ある種宝物だなと思いながら自分たちはこれまでやってきました。2011年にワカドクロをやったときに、さすがに磨き方にも限度があるかなと思っていたんですが、今度はシステムが違う新しい劇場でという挑戦をさせていただくことになりました。この「髑髏城の七人」という磨けば磨くほど輝き方を変える芝居にピッタリの状況を与えてもらえたなと思っております。先ほどいのうえも言いましたが、僕もオランダでロビンさんの芝居を拝見したときに、客席が回るということが、予想以上に、自分たちが芝居の中にいるという感覚を強く感じさせてくれて、この感覚は今まで感じたことがないという感触を得たんです。お客さんと芝居の中の登場人物が一体化するその感覚をもっと研ぎ澄ますことができないかと思っています。そういう意味で世界に類をみない芝居を作れるのではないかと期待しております。

小栗 2011年に出演した時に、僕の中では足りないことや思うことがたくさんあって、改めてこういう形でやらせてもらえることを非常に嬉しく思っております。なんとなく新感線からオファーをいただいて「やるやる!」なんて言って手を挙げたんですけれども…ちょっと今日の雰囲気を見ていて、だいぶヤバそうだなと(笑)。すごい期待がかかっているっぽいなということを感じて、出るんじゃなかったかなーと半々な気持ちでいます(笑)。誰も体験したことのないものが東京にできて、そのこけらに参加できるということはとても光栄に、誇りに思っております。

山本 本当にこんなに豪華なお金がかかっていそうな舞台の製作発表が初めてなので、これだけお金をかけるとこれだけの人が来てくれるんだなと驚いています(笑)。これまでに何回かお仕事を一緒にさせていただいた方もいるんですが、舞台で、そして新感線さんでやるというのも全部初めてなので、これまで自分なりにやってきましたが、そういう意味で“新しい一歩”を踏み出すことなるので、とても楽しみにしています。最初に自分たちが客となって公演を観ることはできませんが、自分たちの公演が終わった後には必ず客として観に来たいなと思う、そんな劇場で自分たちがこけらをできるということに幸せを感じています。

成河 いのうえさんとは何年も前から古田さんを通してとても仲良くさせていただいているんですが、いつか新感線の舞台で一緒にできたらねなんていう話をしていましたら、ようやくこうした形で縁が熟したなと思っています。この代表作で、こんなにお金が動いていそうな舞台で(笑)、初めて参加させていただけることになったので、緊張と楽しみとがいろいろ渦巻いておりますが、頑張ってやっていきたいと思います。

りょう いつか立ってみたかった新感線の舞台に立てて、すごく大好きな「髑髏城の七人」という作品に参加させていただけることが本当にとてもとても嬉しいです。清野菜名さんとこの作品の前に上演する舞台でご一緒させていただく予定なんですが、先にこっちで会ってしまいまして(笑)、やっぱりお金がかかっている舞台だなあと(笑)、でもそれに負けないくらいダイナミックに最後まで演じきれたらいいなと思っております。

青木 初めてのことがとにかく多くて。初めての新感線、初めてのステージアラウンドという場所、長いステージを演じていくというのも初めてですので、とにかく混乱もしていますし、興奮もしています。図面を見せていただいたんですが、なんのこっちゃよくわからなくて(笑)、うまく頭で変換できていませんが、知らないことやわからないことを楽しんで挑戦していきたいです。知らないことだらけというのもある意味幸せなことだと思うので、皆さんと挑戦してやっていきたいと思っています。

清野 劇団☆新感線の舞台に、一度は出てみたいとずっと思っていたので、今回この作品に参加できることが本当に光栄ですし、すごく今から興奮しています。小栗さんからは「清野は走りの担当だから」と言われたので(笑)、今体力づくりから一生懸命にやっているところです。長い期間なので、ケガがないように最後までしっかりやっていきたいと思います。

近藤 僕は15年くらい前ですかね、新感線は「阿修羅城の瞳」という作品で新橋演舞場でお世話になったんですけれども、それ以来になります。この間ゲキシネでBlu-ray版で発売されたのを見まして、あの時は楽しかったなーなんて久しぶりに思っていた時に偶然いのうえさんにお会いしたんです。その時に「久しぶりに新感線出たいですよー」なんてお話をさせていただいたら、新感線のプロデューサーの方と偶然喫煙所でお会いして(笑)、「こんちゃん、来年空いてる?」と訊かれ「新感線ですか?!出たいです!」なんて二つ返事でお受けしたんですが、蓋を開けたらこういうことになっているという…騙されたような気持になっています(笑)。もちろん360°回転という生まれて初めての舞台に立つことは幸せだなと思いますが、あと80ステージというのがまたミソだと思っております。僕もいろいろな舞台をやらせていただいていますが、だいたい60ステージくらいで、あとは大阪だったり場所が変わるんですが、同じ場所で80ステージというのは…(笑)。どこまでみんなが仲良くなることができるんだろうと、その辺の人間関係も楽しみたいと思います。

古田 90年の初演のときには僕はここ(小栗の位置・中心部分を指して)にいた訳です。それが段々と端になっていく…この年月の恐ろしさ(笑)。でもこのメンバーでできるというのは非常に楽しみです。あとね…豊洲に飲み屋がない!(笑)ぜひとも来年の春くらいまでに我こそはと思う方がいましたら、我々絶対に行きますので店を出してください(笑)。お願いします。

 

今回、なんといっても目玉となるのが、360°客席が回転するという特殊な劇場での公演というところ。そもそも「360°客席が回転する」というのを聞いたときに、キャスト陣はそれをうまくイメージすることはできたのだろうか?

小栗 ちょっとイメージがなかなか湧かなかったですね。「360°の舞台で客席が回るんだよ」と言われても「それ、どういうことですか?」っていう感じでした。でも今は劇場自体が一つのアトラクションのような場所に思えてすごく楽しみです。

山本 さっき裏で古田さんと話をしていたんですが、客席が回るということは、我々が捌けなくてもいいんですよね。通常であれば捌けて衣装替えをしたりするところを、舞台上に残りながらでもできるから利点だと思って言ったら、ずっと「捌けられないんだよ」と(笑)。「捌けなくていい」じゃなくて、「捌けられない」と言われてなるほど、と思いました。でも観ている方にはとても心地よいと思うんですよね。状況がどんどん回っていくし、場面転換も無限にできるわけですから。その分僕らはもっと苦労もあるのかなーと思いますが…。

りょう できれば先ずは丸の中(客席)に入りたかったです。でも、初めての劇場で舞台に立てるのはとても光栄なことですので。ただ、なんか…目が回りそうです(笑)。360°舞台があるって想像つかないですし、自分がどこにいるのかわからなくなってしまいそうな気がします。

成河 どうなるか本当にわからないんですが、いのうえさんをご存知の方は分かると思いますが、このチャレンジが本当にいのうえさんらしいと言いますか、新感線らしいと言いますか、ピッタリだなと思います。すごく賭け事、ギャンブルのようですし、どうなるか誰にもわからない。先ほど、いのうえさん、中島さんから話がありましたが、初めて聞くことが多かったですね(笑)。劇場がアトラクション化していくというのは良い面も悪い面もあると思うんですが、突き放してアトラクションを楽しんでもらうだけではなくて、その世界に入っていく誘導装置のような役割があるんだということをおっしゃっていたことが僕は印象的でした。そういうことを新感線でできるというのが素晴らしいんじゃないかと思っています。わからないからこそ楽しみです。

青木 360°って、360°までなんですかね?それ以上も…?ぐるぐる回るということは720°とか何周も行けるってことですよね??つまり、360°いったら戻るという訳ではないから…(困惑)。

いのうえ 前のシーンに戻ることもあれば、回り続けることもあります。

青木 つまり、ずっと走り続けることになる可能性もありうるのかな?と思って、ビックリしました(笑)。

近藤 なるほど効果的だなと思ったのは、役者が走るときに客席が逆に動くと倍速に見えること(笑)。それを伺って、それは効果的だなと。

いのうえ どちらかと言えば追いかけていく方が多い。

近藤 あーなるほど…倍速じゃなくてね。つまりその手法はあまり使わないということですね(笑)。僕には適してるかなと思ったんですが(笑)。

清野 まだ完成を見ていないのでなんとも言えないんですけど、客席が動くということは映画の4DXみたいにお客さんも一緒に体験できるのかなと思いました。楽しみです。

古田 いのうえさん、中島さん、菜名ちゃんも言ってましたけど、4Dとかの映画並みの臨場感。いやいや演劇は最初から立体だから(笑)、ここでおならしたらみんな臭い訳だし、4Dにする必要はない!(笑)みんな、勘違いしちゃいけない。お客さんが真ん中にいるということはお客さんが逃げられないということだから、途中で帰ろうにも帰れないということで、それが利点ですね(笑)。僕らがどこかで酷いことをしても途中で帰れない。どれだけ酷いことをしてやろうかって思ってます(笑)。

これまでに7年ごとに上演されてきた作品だからこそ、同じ役を様々な演者が演じてきている。そんな風に様々な出演者が脈々といる中で、今回自分はその役をどう演じていきたいか、この人は超えたいと意識をしている人がいるかという質問が飛んだ。

小栗 僕はやはり古田新太さんかな。前回も同じ役をやらせていただきましたが、古田さんがずっと演じてきて作り上げてきたものですし。前回は古田さんと同じ板の上に立てなかったんですが、今回は一緒に立たせてもらえることになりましたので、“新感線にいる古田さん”を見られるのがとても楽しみです。いろいろ学びたいなと思っています。

山本 演者が違うということは全く違うものになるということだと思うので、特に誰かを意識してということはありません。ただまだ台本もいただいていないのに、撮影の時にああしてほしいこうしてほしいというイメージを言われまして、こっちは真っ新で来ているのにそういうものが既にあるんだなと思いました(笑)。

古田 僕はりょうちゃんには負けたくない(笑)。極楽太夫は花魁の役だけれども、僕もそっちに寄せていこうと。色っぽい贋鉄斎を作っていこうと思っています。最終的に「りょうちゃんより古田さんの方が色っぽかったよ」と言われたい。

りょう …勝てる気がしないですね(笑)。前回の2011年のワカドクロの公演のDVDや台本をいろいろ見てみたんですが、極楽太夫の小池栄子さんがものすごく素敵で、それを見ながら「あー、このセリフなくなるんだろうなあ」とか「これはカットだなー」とか(豊満な胸を示すジェスチャーをしながら)思ってました(笑)。台本ができるのが楽しみです。

 

最後に結婚後初の舞台となる青木に心境を伺う質問が飛ぶと、「ロングランですから、しっかり体力、精神力を培って両方やっていきたいと思っています。」とコメントが。「両方?!」という反応がほかのキャストからも飛び出し、会場を沸かせていた。

2017年3月から2018年まで1年3か月にわたって、キャストも演出も変化させながら上演し続けるという前代未聞の企画となる今回。その第1弾としての“花”シーズン。こけら落としともなるこの公演は、戦国時代の織田信長亡き後の関東の地を舞台に繰り広げる、アクションあり、ロマンあり、笑いありの誰もが楽しめる壮大なチャンバラアクション時代劇。
次に続く“鳥”“風”“月”それぞれのシーズンを楽しみに待ちつつ、まずはこの新しい試みを体験すべく飛び込んでみてはいかがだろうか。

【ものがたり】

時は天正十八年(1590)。織田信長が死に、豊臣秀吉が天下を治めていたこの頃、都から遠く離れた関東の村々は<天魔王>率いる関東髑髏党に荒らされていた。
この日も、とある村が髑髏党の鉄騎兵たちに襲われていたところに傷だらけの<沙霧>が飛び込んでくる。彼女は、天魔王らの居城・髑髏城の抜け道が記された絵図面を持っていたために追われていたのだ。と、そこに派手な身なりの傾奇者たち・関八州荒武者隊の面々が登場する。先頭に立つのは、頭目の<兵庫>だ。しかし仲間の<三五>の裏切りにより、みるみるうちに窮地に陥る荒武者隊。そこへフラリと現れた着流し姿の男が、手にした大きな鉄煙管で鉄騎兵を叩きのめす。男は自らを<捨之介>と名乗り、沙霧に傷の手当てをさせるため、兵庫と共に関東一の色里“無界の里”へと向かう。
色里“無界”は宿場も兼ねているため人の出入りも賑やかで、その中には何か事情を隠していそうな怪しげな牢人<狸穴二郎衛門>らの姿もある。この色里一と評判の<極楽太夫>は「沙霧をかくまってほしい」という兵庫らの頼みを快く引き受けてくれた。
その夜。店の裏で再び沙霧は髑髏党に襲われそうになるが、捨之介と“無界の里”の主<蘭兵衛>がそれを阻む。そこに突然現れる、天魔王。実は捨之介と蘭兵衛と天魔王の三人は、ある時期、共に時間を過ごした間柄だったのだ。南蛮製の鎧と仮面を装着した天魔王には、捨之介の刀も蘭兵衛の短筒も歯が立たない。しかしこの場は、狸穴二郎衛門が間に割って入ったことで難を逃れられた。
天魔王、そして髑髏党との戦いを覚悟した捨之介は山奥にこもる刀鍛冶<贋鉄斎>を訪ねて、無敵の鎧を叩き斬る刀、必殺の“斬鎧剣”を打ってほしいと頼み込む。
しかしその頃、蘭兵衛は単身で髑髏城へ行こうとしていた。それに気づき、こっそりと後を追う沙霧。
捨之介、蘭兵衛、天魔王が抱える深い縁とは……。天魔王の謀略を、捨之介たちは阻止することができるのか……。