KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『出口なし』Huis Clos 本日1/25(金)ついに開幕!

2019.01.25

白井晃が切り開く、“言葉”と“身体”の新たな世界!

2019年1~2月、KAAT 神奈川芸術劇場では、KAAT神奈川芸術劇場芸術監督白井晃の演出による舞台『出口なし』を上演いたします。
出演者には世界的なバレエダンサー首藤康之、振付家としても活躍する中村恩恵、そして実力派女優・秋山菜津子を迎え、J.P.サルトルの代表作で密室における会話劇として名高い『出口なし』を、“演劇”と“舞踊”の境界を越える作品として創作いたします。
これまでKAAT神奈川芸術劇場で上演された白井晃演出作品においては、『Lost MemoryTheatre』『夢の劇』では日本を代表するコンテンポラリーダンサー森山開次、『マハゴニー市の興亡』では世界的なダンスコンテストでの優勝歴もあるRuuら、著名なダンサーたちが振付として参加してきました。「身体」による表現は白井晃作品の中では言葉・音楽とともに重要な要素であり、戯曲の魅力を観客に伝えるために大きな役割を担ってきました。本作『出口なし』では、身体表現の要素を前面に打ち出し、ダンサー首藤康之らとともに、戯曲に描かれた“言葉”と舞台に存在する“身体”の新たな可能性を探ります。

哲学者サルトルの思想を強く反映する密室劇

『出口なし』は哲学者としても有名なフランスの劇作家サルトルの代表作であり、1944年の初演以来、様々な形で上演されてきました。主な登場人物は密室に閉じこめられた素性の知れない3人の男女のみ。窓や鏡はなく、鍵のかかった扉が1つあるだけのその部屋の中では、自身の姿を見ることはできず、相対する他者によってしか自己を認識できない。本作は、哲学者であるサルトルの思想である実存主義(人間は存在が先にあって、その後他者との交わりによって目的や意義を得る)を強く反映した作品でもあります。
3人の男女によるスリリングな会話劇『出口なし』を、ダンサーと俳優の混合キャストで上演することで、20 世紀を代表する哲学者サルトルが戯曲にこめたメッセージがどのように劇空間に立ち上がるのか、ぜひその目でお確かめください。

首藤康之×中村恩恵×秋山菜津子
演劇、舞踊、それぞれのジャンルで傑出したパフォーマー3名が結集!

本作には3人のパフォーマーが出演いたします。密室の“男”には、マシュー・ボーン、モーリス・ベジャールなど現代の世界的振付家の作品に多数出演するなど海外でも活躍し、近年は俳優としての活動にも力を入れている首藤康之。KAAT では2011 年の開館より『DEDICATED』シリーズを継続的に上演し、高い評価を得てきました。“女”役には首藤のダンス・パートナーであり、自身も振付家として精力的に活動する中村恩恵。そして映像・舞台と幅広く活躍し、野田秀樹、栗山民也、長塚圭史など、名だたる演出家が厚い信頼を寄せる女優・秋山菜津子がもう1人の“女”として出演します。今回、白井晃演出作品に『中国の不思議な役人』(2009年)以来9年ぶりの出演となります。KAAT の中スタジオという戯曲の場面設定の「密室」に近いコンパクトな空間で、演劇、舞踊、それぞれのジャンルで傑出したパフォーマー3名が生み出す、新たな『出口なし』にご期待ください。

KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオにて2/3(日) まで上演。

 

撮影/大河内 禎