「演劇宣言 The Show Begins!」野上祥子&池田なみ子 インタビュー&ラジオ収録レポート 

「演劇宣言 The Show Begins!」(「ショウビギ」)はFM COCOLOにて4月からスタートした演劇を語るラジオ番組。パーソナリティを務めるのは、これがラジオDJ初挑戦となる舞台制作会社 ネルケプランニングの代表取締役社長・野上祥子。パートナーは、長年ラジオDJを務める池田なみ子氏が担当する。舞台の“今”がわかる舞台情報番組としての側面を持つと同時に、野上氏がゲストの魅力や本音に迫る聴き応えたっぷりのゲストトークも同番組の人気の秘訣となっている。 

今回は、パーソナリティ、そしてゲストからあふれる演劇愛を楽しめる「ショウビギ」の収録現場に潜入。インタビューを通してパーソナリティのおふたりに本番組への想いを聞くと同時に、収録現場の様子をお届けする。 

ラジオも演劇も熱量は変わらない、人の心に届くエンタメを

――4月の番組スタートから約3ヶ月。演劇ファンやリスナーの反響など、どう受け止めていますか。 

野上 社長自らがラジオDJをやるということで驚いた方も多かったんじゃないかな。皆さんがざわざわとしていたのは感じていました(笑)。会社としては、ネルケWESTという関西エリアのエンターテインメントの発信に力を入れているところで、大阪のFMラジオであるFM COCOLOさんで演劇の番組を、というお話をいただいたので、すごくいいタイミングだったなと思います。関西の演劇ファンの方々もすごく喜んでくれたみたいで。あとは他の番組ではなかなか流さないミュージカル楽曲を、なんだったらセリフ入りのまま流すこともあるので、それはすごく喜んでいただけているなと感じています。 

池田 FM COCOLOは以前から演劇に力を入れているところがあって。私も東京の作品を拝見してから、大阪公演の前に番組で紹介する機会もあったので、FM COCOLOリスナーの皆さんが演劇に興味を持つ土台のようなものはあったのかなと思います。ただ、ネルケさんの得意とする2.5次元ミュージカルという点では、私も含めリスナーの皆さんも初体験の部分が大きい。その橋渡しになればいいなという思いで、番組に臨んでいます。 

――野上さんはラジオDJ初挑戦となりますが、ご自身の手応えとしてはいかがですか。 

野上 これが予想以上に楽しいんですよ! 

池田 よかったです。それを聞いて安心しました(笑)。 

野上 人前でスピーチするのは得意なんですが、ラジオは耳だけで聴いていただくもの。私は普段から身振り手振りが多い話し方をするのですが、この動きに乗せた情報や感情はラジオでは伝わらないじゃないですか。そこに関しては、ラジオDJの大先輩である(池田)なみ子先輩をすごく参考にさせてもらっています。“聞く”ではなく、心の字が入っている“聴く”に特化した話し方というのは意識している部分です。 

――観るコンテンツである演劇の魅力を、耳で伝える。すごく難しいことだと思うのですが、どんなことを工夫されていますか。 

野上 難しいですよね。三谷幸喜さんの『ラジオの時間』で、聴いている人に情景を浮かばせないといけない、というシーンがあって。そこはすごく意識していて、ただ単に言葉を並べるだけではダメだなと思っています。ゲストとのトークや楽曲、池田さんとのトーク、いろんな要素の相乗効果で、リスナーの前向きな気持ちを生み出す。そうやって複合的な要素で成立している1時間ですし、それがラジオの魅力なのかもと感じています。 

池田 まさにラジオって想像力のメディアで。映像や舞台の魅力を耳で届けるというのは難しくはあるのですが、作品のイメージを全て届ける必要はないんですよね。劇場に行ってみたいと思ってもらうこと、そしてそこでリスナーとの間にラリーが生まれることがすごく大切なんです。なので、音で伝えるというよりも、熱量を伝える。そこを今後も番組で積み上げていけたらいいなと思っています。 

――改めて、この時代に“ラジオで演劇を語る意義”については、どう捉えていますか。 

野上 “心を動かす作用”というのは、耳で聴くラジオであっても、五感で楽しむ演劇であっても、等しくあるんですよね。どちらも熱量の部分は変わらない。ラジオDJを務める中で、耳と心に届く番組を作るということは、あたかも演劇を作るかのように五感をフル稼働させて作る芸術なんだなということが見えてきました。それがこの番組の意義なんじゃないかなと思っています。 

――ここまでご一緒されてきて、おふたりの“ラジオ的な相性”はいかがですか? 

池田 すごくいいと思います。野上さんの熱量があって、かつ俯瞰で物事を捉えられる部分と、一方で私がある種、2.5次元ミュージカルに関して素人的な立場で質問ができる部分。そこのバランスがすごくいいですよね。 

野上 お互い観てきた演劇ジャンルも違っているので、それもいいバランスになっていますよね。一方で、音楽に関しては彼女がすごく詳しいので、選曲の際にはすごく助けられています。毎回収録前に、ゲストとのトークやテーマに合わせて楽曲提案もしてくれるんです。ダジャレっぽい選曲なこともあるんですけど(笑)、私はそこに乗っからせてもらっています。私はそれくらいラフな状態でいていいのかなと思っていて。 
というのも、音楽も演劇も、「好きなのに、こんなことも知らないの?」と思われるのが怖いから飛び込めない、となってしまうのはすごく嫌なんですよ。この番組はもっとハードルを低くして、音楽も演劇も、ちょっとでも興味を持てるところがあって好きになってくれたら最高だよね、と。日常の中で、思い出したらちょっとハッピーになれる、そんな一振りのスパイスになれたらいいなと思っています。

――池田さんは数々の番組でDJを担当されていますが、この「ショウビギ」ならではの面白さ、魅力をどんなところに感じていますか。 

池田 やっぱり野上さんの人柄ですよね。本当に魅力的なんです! 私が打ち合わせでいろいろ提案させてもらうのも、そのやりとりを通して“野上さんのカケラ”を集めているような感覚なんです。私としては、この番組は野上さんのファンクラブのようなイメージで、番組の核である野上さんの魅力を引き出したいなと思いながら、収録に臨んでいます。 

野上 この番組で初めてご一緒させてもらっていますが、池田さんには隠し事が一つもないくらい、全部お話しています(笑)。 

――野上さんがDJだからこそゲストの皆さんもざっくばらんに話せる部分があるかと思います。トークを通してゲストの魅力を引き出すうえで、どういった準備や心がけをされているのでしょうか。 

野上 もともと知っている方がゲストに来てくれることが多いのですが、これまでだと甲斐翔真くんと髙橋颯くんが初対面でしたね。プロフィールを事前に確認して、あとはこれまでの出演タイトルを確認しておく。そうすると、絶対に引っかかる作品があるんですよ。実際に観劇していたり、知り合いが出演していたり。それだけを頭に入れておく感じですね。やっぱりお互い演劇やエンタメが好きだから、絶対に共通言語があるんです。気づくと自然と盛り上がっていますね(笑)。 

――逆によく知っているゲストの場合、数ある話題の引き出しの中からどのエピソードを使うのか、迷ってしまいそうですね。 

野上 そうなんですよ。先日は10年来の付き合いの有澤樟太郎くんとの収録だったんですが、収録前30分の打ち合わせ時間に、番組2週分くらい喋っちゃって(笑)。よく知っている方がゲストで来ると、収録前から話が止まらなくなってしまいます。樟ちゃん(有澤)や、初回ゲストだった加藤和樹くんとか、2.5次元ミュージカルがきっかけで業界に入った方は、意外と当時のエピソードが世間に出ていないことが多い。私はオーディション会場に大体いますし、誰がどんな稽古着で参加していたかまで覚えているんですよ。なので、ファンの方も知らなかったような話も、番組を通してお伝えできているんじゃないのかなと思います。 

――今後の放送も楽しみにしています。では最後に、番組を楽しみにしているリスナーへのメッセージをお願いします。 

池田 どんな芸事も血が通って初めて型になると思うのですが、野上さんは初回からラジオという型に、しっかりと血を通わせていらっしゃる。私はそんな野上さんを、この番組でこれからも存分に楽しませてもらいたいと思っています(笑)。そして、リスナーの皆さんには一緒に盛り上がって、参加しながら楽しんでもらえたら嬉しいですね。 

野上 「ショウビギ」はみんなが作る番組だよ、というのはお伝えしておきたいです。番組が始まってまだ3ヶ月。これからも恐れずにいろんなことにトライしていきたいと思っています。願わくば、番組を聴いた皆さんにとって励みになるような、生活のプラスアルファになるような番組にしていきたいと思っていますので、今後もぜひ耳を傾けていただけたら嬉しいです。 

観劇前のおしゃべりのように、収録前の“仕込み時間”に密着

2人の番組での軽快なやりとりは、実際の現場ではどんな空気感で生み出されているのか。今回はその収録の裏側にも密着した。 

笑い声に満ちた和やかなインタビュー後は、収録に向けての打ち合わせがスタート。オープニングのトークテーマを何にするか、選曲はどうするか。池田氏が準備した、野上氏いわく「ダジャレ的」なアイデアや、野上氏が事前に収録したゲストとのトーク内容をヒントにしながら、2人でのMCパートの土台を作り上げていく。2人の熱く芯のあるやりとりは、まるで観劇前のおしゃべりのよう。これから始まる“ショー”を前にした、ワクワクとした様子が印象的だった。 

この日は7月25日放送回と8月1日放送回の収録日。例えば、7月25日なら夏休みの話から入ろうと決まると、そのまま「のがしょ家の夏の恒例行事って何でした?」と池田氏が振って話題を広げていく。池田氏は野上氏の話に楽しそうに耳を傾けながら、時折、さらさらっとペンを走らせてメモを取り、「じゃあ最初のテーマは夏休みから入って、子供時代の夏休みの思い出の方向に広げていきましょう」と、軽やかにトークの芯を固めていった。 

ゲストとの関係性や番組内で紹介する作品からキーワードを拾い、池田氏がピンポイントで「こういうバンドのこういう楽曲があるんですけど、どうですか?」と圧倒的な知識量の中から選曲していく過程も面白く、まだ打ち合わせだというのに番組かと思って聴き入ってしまったほどだ。 

想像より何倍も賑やかな打ち合わせを終えると、すぐさま収録へ。打ち合わせから一段階ギアを上げた2人は軽快にトークを進めていく。曲紹介まで終えると、次のMCパートの収録に入るまで少しだけインターバルがあるのだが、「私ずっとワチャワチャしてるの!」と語る野上氏の楽しいトークは止まらない。 

今回の収録では、本来予定になかった野上氏の妹へ話題が飛び、そこから性格が正反対だという妹とのエピソードが次々と飛び出した。これには池田氏はもちろん、ブースの外で聴いていたスタッフ陣も大盛りあがり。「ここもすごく面白くなったから使いましょうよ!」と前のめりな野上氏の姿勢が印象的で、面白いものを届けたいというエンタメへの飽くなき情熱の一端に触れられた気がした。 

番組では2週に渡り、ゲストと野上氏のトークを放送。野上氏だからこそ知るゲストの素顔やオーディション時の裏話をはじめ、ゲストが今挑んでいる作品への熱い想いなどを聴くことができる。野上氏がパーソナリティとあって“ここだけ”の話題も多く、舞台ファンを中心にじわじわと「ショウビギ」の存在感も強まりつつあるのではないだろうか。 

パーソナリティ2人によるトークでは、関西エリアで上演される作品や、リスナーから番組に寄せられた推し舞台や推し舞台俳優への愛あるお便りが紹介される。打ち合わせ時、2人はすべてのお便りに目を通しながら「本当に嬉しいよね」「もっと長文でラブレターを送ってもらえるような場所にしていきたいね」と語り合っていた。インタビューでも野上氏は、「ぜひリスナーの皆さんにも積極的に番組に参加してもらって、一緒に番組を盛り上げていってほしい」と語り、「あなた(リスナー)がいて完成する番組です」と力強いメッセージを伝えてくれた。 

毎週金曜21時のお楽しみ、ラジオ番組「演劇宣言 The Show Begins!」。舞台への情熱が交錯する“耳で聴くショー”を、あなたの観劇体験のひとつに加えてみてはどうだろうか。 

取材・文・撮影:双海しお 

【番組情報】「演劇宣言 The Show Begins!」

◆番組名:「演劇宣言 The Show Begins!」
◆放送局:FM COCOLO
◆放送日時:毎週金曜21:00~22:00
◆出演者:野上祥子、池田なみ子、ゲスト
◆番組提供社:ローソンチケット

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聴き方簡単 3ステップ

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