舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」 芸劇オータムセレクション ダミアン・ジャレ×名和晃平『Planet[wanderer]』

2025.08.08

© Rahi Rezvani

鬼才の振付家ダミアン・ジャレと、京都発の彫刻家 名和晃平のコラボレーションによる『VESSEL』に続く舞台作品が、いよいよ東京・京都で日本初上演!

今秋、芸劇オータムセレクション主催公演として、ダミアン・ジャレ×名和晃平『Planet[wanderer]』の上演が決定した。『Planet[wanderer]』は、2016年秋にロームシアター京都で世界初演を迎え、その他国内では岡山、神奈川で上演し好評を博した『VESSEL』に続く舞台作品。『Vessel』が日本最古の書物『古事記』の二つの世界、すなわち「黄泉の国(死者の世界)」と「高天原(神の住処)」を描いたのに対し、『Planet[wanderer]』は三つ目の世界である「葦原中国」―私たちが生きる世界を舞台にしている。
本作では、人間が葦のように力と脆弱さ、調和と生存、破壊と進化の間に揺れ動く様子を表現。副題「wanderer」は、「Planet」の語源となるギリシャ語が持つ「さまようもの」という意味と重なる。生者と死者の境界線で、人間の身体と宇宙世界の構成要素や重力の不可分な関係を描き出す本作は、日本の彫刻家と欧州の振付家の共同作業ならではの唯一無二の世界観を提示する。
2020年に東京・東京芸術劇場にて上演を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期となり、このたび上演する運びとなった。
ダミアン・ジャレ、名和晃平よりコメントが到着した。

アーティストコメント

ダミアン・ジャレ

© Rahi Rezvani

『Planet[wanderer]』をついに日本で上演できることに、大変感動し、高揚しています。日本は、名和晃平氏とともに構想を温め始めた場所であり、この複雑なプロジェクトの最初のリサーチ・ワークショップを京都と石巻で丹念に作り上げた場所でもあります。当初はもっと早い時期での上演を目指していましたが、新型コロナウイルスのパンデミックやその他の技術的な要因により、実現が叶いませんでした。
『Planet[wanderer]』はこれまで世界各地で上演されてきましたが、日本の観客の皆様は、この作品のコンセプトの背景と表現形式の両方に見られる、計り知れないほど多くの深く日本的な文化的要素をすぐに認識されることでしょう。この作品は日本でこそ、他の国では成し得ないほどの共感を得ると信じています。
例えば、古事記における「葦原中国」、京都の枯山水、雅楽が未来的なエレクトロ・アコースティックな層が対話するティム・ヘッカー氏の音楽、8人のダンサーの一つ一つの動きに見られる儀式的な正確さとテンポ、吉本有輝子氏が作り上げた心を捉える陰影に富んだ照明デザイン、作品の中核をなすダンサーの湯浅永麻氏の力強いパフォーマンス、そしてその他にも数多くの要素が盛り込まれています。
これらの公演は、私が名和氏とのコラボレーションを始めて10周年という節目でもあります。名和氏は今や私にとって最も重要なコラボレーターの一人であり、彼からは本当に多くを学んできました。11月に東京と京都でお会いできることを楽しみにしています!

名和晃平

©Michael Somoroff

ロームシアター京都は2016年秋に『VESSEL』を初演した劇場であり、その成功が、以後の継続的な舞台作品制作の契機となったといっても過言ではありません。いわば、10年以上にわたるジャレとのコラボレーションの原点にあたる記念すべき場所です。三部作のひとつである『Planet[wanderer]』もこの流れの中に位置づけられ、これは今年5月にスイス・ジュネーヴで初演を行った最新作『Mirage』へとつながる極めて重要な作品です。本来、2020年および2022年にロームシアター京都で上演予定でしたが、新型コロナウイルスの影響によって叶いませんでした。今回ようやく公演が実現することを、心から嬉しく思っております。

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ダミアン・ジャレ×名和晃平『Planet[wanderer]』をめぐって
2016年にロームシアター京都で初演された『VESSEL』以来、長年にわたって共同作業を続けてきた振付家・ダンサーのダミアン・ジャレと彫刻家の名和晃平。国際的に注目される二人の鬼才による『VESSEL』に続く作品、『Planet[wanderer]』がいよいよ東京・京都で日本初演を迎える。
彼らのコラボレーションの原点である『VESSEL』が「古事記」における「黄泉の国(死者の世界)」と「高天原(神の住処)」を描いたのに対し、『Planet[wanderer]』では三つ目の世界である「葦原中国(私たちが生きる世界)」を舞台としている。異ジャンルのアーティストの共同作業から誕生した、唯一無二の世界観を持つ本作。今年11月の上演を前に、その魅力を語り合う。

登壇:ダミアン・ジャレ(英⇒日通訳あり)、名和晃平
司会:小崎哲哉(ジャーナリスト/アーツ・プロデューサー)
日程・会場:8月27日(水)19:00~20:30 京都・ロームシアター京都 パークプラザ3F
料金:無料(事前申込優先)

申込フォーム:https://business.form-Mailer.jp/fms/0b166328301160