
7月31日(木)に東京・新宿シアターモリエールにて、舞台『怪人21面相』が開幕した。
舞台『怪人21面相』は昭和の犯罪史に残る「グリコ・森永事件」を題材に、劇作家・野木萌葱が書き下ろしたオリジナル作品。初演は2006年、同氏主宰の劇団「パラドックス定数」版。その後2017年に和田憲明氏演出によるウォーキング・スタッフプロデュース版にて第25回読売演劇大賞優秀作品賞を受賞し、多くの注目を集めた。
今回、この骨太な演劇の力に向き合うべく集まったのは、演出家の古谷大和と河合龍之介、章平、定本楓馬、輝馬の5人。古谷は今作にて初めて本格的なストレートプレイの演出に挑戦。俳優陣は、2.5次元作品からグランドミュージカルまで幅広い作品で活躍し続ける実力派ばかり。
初日を迎え、5人からのコメントと舞台写真が到着した。
コメント
演出:古谷大和
稽古楽しかったなぁ。本番楽しみだなぁ。今回の作品は何度も上演され、過去に演劇賞も受賞しているとても素晴らしい脚本をお借りしています。見どころは、そういう脚本を今回新たに集まった役者、スタッフと普段役者である私という演出家が集まって、脚本はそのままに、今の時代に上演するところにあるなと思っています。野木さんの時の環境だから表現できたことと、今回私たちがやるからこそ表現できること。脚本は同じでも集まった人たちが変わって、表現が変わるということが魅力だなと思っています。稽古期間中、この作品と向き合って、私たちなりの新しい形を作ってきたつもりです。お客様に何か少しでも届けられるよう、本番もキャストとスタッフが頑張ってくれると思います。劇場という彼らのアジトでその世界を体験してください。
白砂駿嗣役:河合龍之介
いよいよ初日の幕が開きます。ここからそれぞれの役者がそれぞれの役と共に転げ回り、ぶつかり合い、得体の知れない何かに挑んでいきます。毎回どんな景色に辿り着くか予想できないヒリヒリした舞台。正に“Like a Rolling Stone”の気持ちで新鮮に、皆さんと共に駆け抜けていきたいと思います。
幸村統夷役:章平
7月7日(月)からカンパニー一丸となって丁寧に創り上げてきました。この作品の底知れない世界観を今日、やっと皆様と見ることができます。日本の未解決事件ということで、当時のことを知っている方もそうでない方も、この作品を通して、現代に生きる我々のフィルターを通して、どのように映るのか。フィクションではあるものの、この事件を共有するきっかけとして、2時間皆様と考察できることに感謝して大切に演じて参ります。どうぞよろしくお願いいたします。
鳥羽山基役:定本楓馬
ついに初日になってしまいました。今回この作品をやるにあたって事件のことを沢山調べました。まだ知らないことばかりなんだと痛感しました。この作品をしっかり届けなきゃいけない、その想いでがむしゃらに向き合ってきました。千秋楽まで気を抜かずに、最後までこの作品とぶつかり続けたいです。応援よろしくお願い致します。
蓮見雅尚役:輝馬
怪人21面相。蓮見役を演じます輝馬です。実際にあった事件になぞって作られている今作。ちゃんと丁寧に作り上げないといけないなという使命感と役者としてのワクワクが混ざった状態でお稽古を進めていきました。4人で作り上げる2時間ということもあって苦労や悩みは多かったですがその分濃密な時間と稽古を重ねてきました。演出家の古谷さん筆頭に素晴らしいスタッフの方々。役者さんたち。かなり濃い作品になっていると思います。決して華やかな作品ではないのは確かです。ですがそれ以上に人間味をしっかり感じることができる作品になっていることは間違い無いので、ぜひ劇場でご観劇ください。
舞台写真




©Nelke Planning co.,ltd.
あらすじ
「どくいり きけん たべたら 死ぬで」。
とある建物の一室。人を喰ったような凶悪かつふざけた文面が、一文字ずつタイプされていく。部屋に出入りしているのは4人の訳ありな男たち。そして、彼らが軽口を叩きながら企てているのは、複数の大企業を相手にした大掛かりな脅迫事件だった…!
「けいさつの あほども え」。
大胆かつ緻密に遂行される幾つもの犯罪はことごとく捜査の網をすり抜け、ワイドショーから株価まで、日本中を振り回し脅かすほどの大事件となっている。しかし外界の騒動とは裏腹に、この部屋にあるのはどうしようもない閉塞感と、膨大な言葉の応酬と、各々が抱える葛藤の積み重ねだ。動機は?目的は?彼ら4人の関係は──。
移りゆく季節の中、この犯罪シナリオのエンドマークは何処に?