
舞台『エグ女2025』が2025年10月3日から5日まで、東京・日本青年館ホールで上演される。
2017年に初演された本作は、実話に基づいた女性たちのリアルな姿を描いたオムニバス作品として話題を呼び、2020年には無観客生配信公演『エグ女2020』として上演。今回は新脚本・新演出版として、男性キャストの演じる「女子」が、女たちのリアルを明るく軽やかにお届けする。
今回、本作への出演が決まった木原瑠生にインタビュー。特撮テレビドラマ『魔進戦隊キラメイジャー』の射水為朝/キラメイイエロー役や、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズのへし切長谷部役などで人気を博し、今月にはワンマンライブを控える木原に、ビジュアル撮影の裏側や、本作に懸ける思いを聞いた。
――出演が決まったときは、どんなお気持ちでしたか?
まず「エグい女子」って何だろうと思いました(笑)。よく噂で聞くような話が物語になるのかなと思っていたんですが、実際の構成シナリオを読んでみると、僕の頭の中では計り知れない、度を超えた世界が広がっていて……!女装をすることについては、そんなに抵抗感はなかったですね。というのも、僕は8年ぐらい前に一度女装をしてお芝居をしたことがあるんです。オタクの女の子の役だったんですが、すごく楽しかったんですよ。今回はまた違った役だと思いますが、楽しくできたらいいなと思います。
――ビジュアルはどういうイメージで撮影されたのですか?
メイクさんによると、一応「平成のキャバ嬢」がテーマだったようです。僕は舞台作品に出演することが多いので、メイクについては「ここにこの色を入れたらこうなるんだ」などと勉強させてもらうことが多かったですね。ワンピースもぴっちりしたタイプで、肌の露出もあったので、動きづらさは感じませんでした。一方、女性らしい仕草や所作は大変でした。自分が思っているなんとなくのポーズはあったのですが、可愛いを追求すると、いろいろ気にしなくてはいけなくて、「可愛いって大変だな」と思いました。それからヒールを履いたんです。3センチのヒールなので、多分女性にとってはそんなに高くないヒールだと思うんですが、僕はめちゃくちゃ歩きづらくて、まっすぐ歩けなかったです……。
――出来上がったビジュアルは、ご自身としては何点ですか?
100点ですね!もう少し男っぽくなるかなと思ったんですが、思ったよりいけました(笑)
――周りの反応はいかがでしたか?
ファンの方は「綺麗」とか「かわいい」と言ってくれますね。僕は普段、男っぽい方なので、周りの人も「意外といける」という反応でした(笑)
――今回の共演者のビジュアルをご覧になっていかがですか?やってみたい扮装はありますか?
みんなかわいいですよね!そうだな、やってみたいのは、この磯野さんの格好。いわゆる地雷系というかゴスロリ系というか、そういうファッションを一生に一度やってみたいです。
――今回の脚本を読んだ感想を教えてください。配役はまだ決まっていないそうですが、やってみたい役はありましたか?
僕は比較的平和に人生を過ごしてきたので、「こんなことってある?!」「まじか?!」と思う場面が多々ありました。僕が今感じているちょっとした違和感だったり、怖さだったりが、いわゆる「エグい」という感情につながるのかもしれないなと思っています。オムニバスでいくつか役を演じる可能性があるそうですが……まずは気持ちとしては新人天使役でいたいです。振り回される役どころも面白そうですし、「こうやってみたいな」と思いながら本を読み進めることが多かったので。女性役はどれも難しそうですが、やってみたいのはとある場面に出てくる芯の強い女性ですかね。
――共演者の方についてはどんな印象をお持ちですか?
佐藤信長くんは女装が似合いそうだなと思っていたら、予想通り似合っていました。それから、鳥越裕貴先輩。僕の中で鳥越さんが女装した姿をイメージできなかったんですが、かわいいですね(笑)
――どんな稽古場になりそうですか?
今回はこの「女性」の「エグい」という感情を男性キャストが演じる舞台です。村上さんのコメディ作品ですし、なだぎさんを始めとする先輩キャストもたくさんいらっしゃるので、すごく楽しい現場になりそうだなと。
――村上さんとは以前ご一緒されたことがあるそうですね?
はい。それこそ8年ぐらい前ですね。僕の中ではコメディに突出したエンターテイナーという印象があるので、今回の脚本も楽しみにしていましたし、演出も楽しみにしています。前回ご一緒したときは、僕がまだお芝居を始めたばかりの頃で、右も左も分からないまま終わってしまったので……今回はしっかりとコミュニケーションを取れたらいいなと思います。この8年間の間の経験や学んだこともたくさんあるので、村上さんに成長を見てもらいたい気持ちもなくはないですが、またゼロからのスタートとして、いろいろと貪欲に挑戦させてもらいたいです。コメディ作品はずっとやってみたかったジャンルですし、僕はまだ「女性」の心理をよく知れていないと思うので、いろいろ学ばせてもらいます!
――コメディー作品にはずっと出演したかったんですね。
はい。少しジャンルが違うかもしれないですけど、僕はザ・ドリフスターズが子どもの頃から好きなんです。人を笑わせることは簡単なことではないですし、自分に素質があるのか分かりませんが、やはりお客さんが笑顔になったり、笑ってくれたりするのは素敵なことだと思うので。
――ご自分が「女子力高いな」と感じる瞬間は?
そんなに詳しくはないんですけど、美容には気を使っています。僕は新しいものを使うのが好きで、SNSで流れてきたスキンケア商品やサプリメントで気になったものを使ってみたりしています。なるべく短期間に効果を出したいので、肌の調子に合わせて美容液を変えたりもしていますよ。あと、「女子力」とは言わないかもしれませんが、ハンカチやティッシュは持ち歩いています。手を洗った後に拭いたり、鼻をかんだりするほかにも、意外と役に立ちます(笑)
――最後に観劇を楽しみにされている皆さんに一言お願いします!
この『エグ女』は、今までやってきたものとは全然違うものになるので、僕自身にとって挑戦の部分が多くなりそうです。それは裏を返せば、お客様にとっては新鮮で、今まで味わったことのない感覚で観られるということだと思うんです。素敵なキャストさんがたくさんいらっしゃるので、皆さんと一緒に「女性」の「エグさ」を研究して、面白い作品を作り上げていきたいと思います。劇場でお待ちしています!
取材・文:五月女菜穂