『大逆転!戦国武将誉賑(せんごくかーにばる)』|松平健&久本雅美&檀れい インタビュー

2023年3月に大好評を博した大逆転シリーズの第2弾『大逆転!戦国武将誉賑(せんごくかーにばる)』が、2025年9月~10月に東京・明治座、11月に大阪・新歌舞伎座にて上演される。松平健、コロッケ、久本雅美、檀れい、の4座長で繰り広げる、ありとあらゆるエンターテインメントが詰め込まれた本作。今回は戦国時代を舞台に、奇想天外な物語が展開するという。果たしてどのような公演となるのか、松平、久本、檀の3人に話を聞いた。

――前回、明治座150周年の企画で揃った4人が、また顔を合わせることになりましたね。

松平 前回の評判が大変良かったので、また一緒にできるのはすごく嬉しかったですね。

 私も嬉しかったです。また4人で集まって舞台に立てることが楽しみです。

久本 もちろん私も嬉しかったですよ。前回、一緒に立たせていただいたことが光栄でしたが、第2弾があると聞いて、もうワクワクドキドキしていました。

――なかなか揃わなさそうな4人が揃った作品となりましたが、共演されてみての印象はいかがでしたか?

松平 テレビのバラエティで活躍してらっしゃる方と一緒にお芝居ができて、そのお芝居を間近で見ているのが、もう面白かったですよ。もう、「テレビの人だ」っていう感覚でした。

久本 私は緊張しかなかったです。松平さんも檀さんも大スターですから。でもお2人ともにこやかに、穏やかに迎えてくださって。私とコロッケちゃんがアドリブとか面白いことをやったりすると、ニコニコ笑ってくださって、「今のいいね」とか言ってくださるから、もう心がでっかいな、と。檀さんも、お茶目で面白い方なんですよ。それを皆さん、知らなさすぎる! 品があるのに、チャーミングでお茶目な檀さんをもっと知っていただきたいです。

 久本さんとコロッケさんは、なかなかお会いできる機会が無かったので、そういうお2人とご一緒できるのがとっても楽しみでした。お二人の稽古を見ていると台本の膨らませ方が本当に素晴らしくて…。活字を飛び越えて、アドリブやアイデアもたくさん入れて、本当に楽しいシーンを作ってくださったんです。その遊び心はすごく大事だなと思いました。健さんもすごくお芝居を追求される方で、これだけ第一線で活躍されて、たくさんの引き出しをお持ちのはずなのに、それ以上の何かをずっと求めていらっしゃって…。見習いたい、こうありたいと、たくさん思える現場でした。

久本 いやいや、お2人とも手を抜かないんです。モノマネをやっても全力。犬とか猫とか、求めなくてもいいのに高いクオリティを求めて、後で反省していらっしゃるんです。そういうお人柄が面白いんですよ。可愛くて、素敵です。

――今回は、健さんが信長、檀さんが信長の妻・お濃、久本さんが秀吉の妻・ねねを演じられます。歴史上の人物ですが、どのように演じられますか?

 まず申し上げたいのが、みなさんが想像されるようなお濃を演じようとは思ってません(笑)

久本 演じられないよね。全然違うし。

 戦国時代のものとお聞きして、私はあまり詳しくないので調べないと、と思いつつも細川徹さんの脚本だし、大逆転シリーズなので、何でもアリだろうな、と。調べてイメージがつき過ぎても怖いので、台本を待ちました。そして台本を読んだら…

久本 役作りのしようがない(笑)

 ふふふ…(笑)。この細川さんのイメージされる世界観を大切に、それぞれの役の個性を大切にしながらお芝居をして、涙あり、笑いあり、なんでもありのところまで持って行きたいです。振り切るところは振り切らないと。崖から飛び降りるような気持ちで挑まないと、と思っています。

久本 私も檀さんと同じで、ねねってどんな人なんだろう?と一応は見たんですけど。細川さんがくださった台本を読んで、自分の個性を生かしながらやろうと思います。変な言い方ですけど、「久本さん、これでお願いしますね」と渡されている感じなので、どれだけ面白がって、膨らませていこうかな、と。やりながら近づけていくしかないですね。

松平 私は今回、すぐに本能寺で亡くなっちゃうんで…。

――先ほど、会見でそれを聞いてびっくりしました(笑)

松平 亡くなってからは幽霊になっちゃうので、本能寺までイメージ通りの信長でやれるんですが、幽霊になってからは、どんどん変わっていきますね。

久本 言えないけど、めちゃくちゃ面白いんです。びっくりしました。

松平 本当になんでもありで、幽霊になってからはいろんなことをやるので…結構、頑張らないと、と考えています。

 幽霊になってからのストーリーは本当にオリジナル。大いに楽しんで最後ビシッと収まるところに収まるのが、細川さんワールドって感じがします。

久本 こんな言い方もアレなんですが、遊ばれてます(笑)。観たことの無い健さんが見られるはずです。

――細川さんの描く世界観の面白さってどのようなところだと考えていらっしゃいますか。

久本 笑いがストレートじゃないんですよ。ちょっとしたひねり、いい意味でのイジワルさがあるから面白いんです。変化球の、あの人ならではの笑いがあるので、そこが好きですね。

松平 イメージをいかに壊していくか、みたいなね。だから、今までやったことのないことばかりになる。

 いつも楽しいことを考えていらっしゃる人ですよね。私から見て、健さんをこんなふうに演出しちゃうの⁉って驚くんですけど、でもそれも健さんだからこそ面白いっていう、すごくいいところを突いてるんですよね。

久本 特に健さんと檀さんの2人はそうですね。イジられまくってます。私とコロッケちゃんは、お願いしますよ、って感じ。

――どんなふうにイジられているのか、楽しみです。今回のようなコメディなお芝居を演じられる際に、意識していることや大切にしていることはありますか。

松平 コメディなのかな、これ?

久本 コメディっていう気持ちでやらないってことじゃないですかね。エンターテインメントです。

――見ている側はコミカルに見えていても、演じている側は違う、と。

久本 私はどちらかと言うとそっち分野のほうでして、それで言えることは、役柄からは絶対に外れないということ。役から外れてふざけたら、もう面白くないんです。ただ笑かそう、変なことして気をひこう、というのはお芝居の中のエンターテインメントからは外れてしまうので。私という本人に求められていることもあるんですけど、役からは絶対に離れない、というのは大事なところかな、と思います。

松平 笑ってもらうため、というよりも、真面目に台本通りにやっていたら、自然に笑っていただけると思うんです。だから、いかにリアルであるか、ということでしょうか。

 私もそう思いますね。私はあんまり、人を笑わせるようなお芝居の機会がなかったので、前回出させていただいた時も怖かったんです。台本を読んでここは笑っていただけるだろうな、稽古場でもみんな笑ってくれたな、という気持ちではあるんです。でも実際にお客さまが入った時、お客さまを笑わせてやろうとか、大爆笑を取ろうとか、そんなことは絶対に思わないようにしていました。役をちゃんと演じて、そこで笑っていただけたらいいと思っていました。本当に笑いのお芝居は一番難しく怖いと思います。

――楽しいお芝居ですが、みなさんが真摯に向き合っていらっしゃるのがお言葉から伝わってきました。大逆転といえばフィナーレの「マツケンサンバⅡ」もすごく楽しみなんですが、みなさんにとってのフィナーレはどんな印象ですか?

久本 めちゃくちゃ楽しいですよ! 健さんもきっと、何回踊っていても楽しいですよね。

松平 やっぱりみんなで一緒にやるのが楽しいんだよ。そのために作ったような曲だからね。みんなでやる。2~3人でやっても寂しいからね。

――個人的には前作を拝見したときに、檀さんがすごく得意分野のお顔でスッと踊りに入られたのが印象的でした。

 えっ、私ですか?(笑)

久本 私は仰っていること、分かります。やっぱり出てきたときに宝塚を感じましたもん。

 宝塚を退団して以来なので、すごく久しぶりにショーをやったんですよ。華やかな衣装でショーをしてきた人間としては、スパンコールのお着物でよりテンションも上がりますし、もうワクワクしました。やっとスパンコールの衣装が来たか、と、それはそれは嬉しかったです。

――シャンシャンがサンバ棒になり、テンションが上がっているのが客席からも感じ取れたのかもしれないですね。

 ちょっと健さんと向き合って絡むような振りもあって、そういうのも嬉しかったですね。久しぶりにこの感じ!と思いました。

久本 生で歌って踊るのを私も観ているわけで、そこに参加させていただいているので…ずっと言ってるんですけど、もうこの世に未練はないです! 本当にそう思ってますよ。

松平 これしかないからね(笑)。みなさんがこうやって、楽しんでくれているのが本当に、本当に嬉しいんです。

――こちらもとっても楽しみにしています! 最後に、公演を楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします!

久本 本当に、涙あり、笑いあり、なんでもありのエンターテインメントです! みなさまに喜んでいただくためにも、私も一生懸命楽しんでやれるように頑張ります! ぜひ、明日の活力になるように、嫌なことを忘れて楽しんでいただきたいです!

 2年ぶりにまたこの4人が集まって、舞台に立てるということはこの上なく嬉しいこと。お客さまがこの公演を見て、来て良かった、楽しかったと思っていただけるように、笑顔になっていただきたい一心で頑張ります。大笑いしにいらしてください!

松平 今回のお芝居も、みなさんに楽しんでいただけるものになっています。とにかくこの4人がその個性をもってやるお芝居が、今まで誰も観たことがないようなものになっています。きっと満足していただけるはずですので、期待してお越しください。

取材・文/宮崎新之