東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』開幕カウントダウン連載 ―ルック・バック・イン・アクターズボイス―【第一回】高畑遊

2025.09.24

10月3日(金)から10月13日(月・祝)まで、東京・三鷹市芸術文化センター 星のホールにて東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』が上演される。本公演はMITAKA“Next”Selection 26th参加作品であり、東京にこにこちゃん10周年記念公演でもある。10年を迎える節目に、劇団史上最大規模の劇場での最長期間の上演。キャストも西出結、近藤強(青年団)、東野良平(劇団「地蔵中毒」)、立川がじら(劇団「地蔵中毒」)、土本燈子、高畑遊(ナカゴー)、加藤美佐江、江原パジャマ(パ萬)、てっぺい右利き(パ萬)とメモリアル&ロングラン公演にふさわしい、総火力の面々が集った。
ローチケ演劇宣言!では、そんな9名のキャスト個々の魅力を紐解くべく特別連載を敢行。開幕までの数日にわたり1人ずつ、俳優の現場からの声を、丘田ミイ子、折田侑駿、成島秀和の3人の書き手による俳優評とともにカウントダウン形式で紹介する。東京にこにこちゃん過去作品はもちろん本作でも鮮烈な存在感を放つ魅惑の俳優たち。果たして、その素顔と魅力とは…?

(企画・構成・文/丘田ミイ子)

【あらすじ】

東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』

物語の舞台となるのは、とあるアニメの収録現場。今回が声優デビューとなる新人から長年活躍してきた玄人ベテランまで、それぞれの思いを抱えながら今日も今日とて声優たちは、一心同体のそれぞれのキャラクターに魂を吹き込んでいく。日を重ねる毎、年をまたぐ度にその声への愛着は大きく広がり、確かなものになっていくのだが…。
声はきっといつか忘れてしまう。あんなに好きだったあの声も。それでも、「これは、声の物語。声が届くまでの物語」。今回も最高の“ハッピーエンド”でお待ちしております。

高畑遊

力強さと慈悲深さを兼備、座組の精神的支柱!

■プロフィール
高畑遊(タカハタ アソブ)
ナカゴー所属。東京にこにこちゃんには2022年『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・バルコニー!!』から連続出演。直近の出演作にザ☆夕方カレー『悲しみよ コニャニャチハ!』、画餅『ホテル・アムール』、映画『敵』など。

※高畑遊の「高」は、(ハシゴダカ)が正式表記

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・バルコニー!!』(2022年・下北沢シアター711)

『GS美神』アニメシリーズ 美神令子(声優:鶴ひろみ)
『ハイスクールミステリー学園七不思議』一条みずき(声優:富沢美智恵)
※特に次回予告からエンディングの不穏さが好きです

おっとりしていて天然そうに見えるけれど、芯がある先輩声優役です。

「マグノメリアー」(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・バルコニー!!』より)

「ねぇ、そのパンにソーセージ挟んだやつっていうの?完成したらさお姉さんたちにもちょうだいね?」(『RTA・インマイ・ラヴァー』より)

「あ!店員さん!ダメだ!また配膳ロボか。(笑いながら)人と配膳ロボの見分けもつかないとは、我ながら傑作なり。よし、これをブログにしたためておこうじゃないか。うけるぞ~」(『ネバ―エンディング・コミックス』より)

萩田さんは良くハッピーエンドを約束していますが、それと同じく面白さと熱量をお約束します。

以前にも共演したことのある皆さんと一緒に息の合った団体芸をお見せします!
劇場に作り出される手の込んだセットに私も今からワクワクしていますので、お見逃しなく!

剛力

俳優・高畑遊は無敵のファイター。『敵』という映画に出ているけれど、されども無敵。これが、私が高畑遊という俳優に出会って今日までで導き出した一つの答えです。その最たる理由は、「ただ強いだけ」では決してないところ。劇場に高らかと響き渡るドスの効いた大声、最後尾の観客まで一人残らず睨み倒すかのような鋭い眼光…もちろんその存在の強さはいつだってとってもかっこよくて、どうしても痺れてしまうけれど、私はその温かさ、懐の深さにこそ心を射抜かれてしまうのです。セリフの切り開き方や行間の取り方が繊細かつ丁寧で、作品全体を、登場人物全員を見渡す時の眼差しは涙が出てしまうくらい慈悲深くて、「強さとは優しさ」という言葉を想起せずにはいられない。そして、そんな高畑遊の魅力を思う存分堪能できるのが、東京にこにこちゃん作品のクライマックス。強さに痺れ、優しさに射抜かれる。舞台というリングからジャブとハグを同じだけの強さと温かさを以て与えてくれる。私はそんな高畑遊を前に、今日も今日とてKO負けを余儀なくされるのです。