
10月3日(金)から10月13日(月・祝)まで、東京・三鷹市芸術文化センター 星のホールにて東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』が上演される。本公演はMITAKA“Next”Selection 26th参加作品であり、東京にこにこちゃん10周年記念公演でもある。10年を迎える節目に、劇団史上最大規模の劇場での最長期間の上演。キャストも西出結、近藤強(青年団)、東野良平(劇団「地蔵中毒」)、立川がじら(劇団「地蔵中毒」)、土本燈子、高畑遊(ナカゴー)、加藤美佐江、江原パジャマ(パ萬)、てっぺい右利き(パ萬)とメモリアル&ロングラン公演にふさわしい、総火力の面々が集った。
ローチケ演劇宣言!では、そんな9名のキャスト個々の魅力を紐解くべく特別連載を敢行。開幕までの数日にわたり1人ずつ、俳優の現場からの声を、丘田ミイ子、折田侑駿、成島秀和の3人の書き手による俳優評とともにカウントダウン形式で紹介する。東京にこにこちゃん過去作品はもちろん本作でも鮮烈な存在感を放つ魅惑の俳優たち。果たして、その素顔と魅力とは…?
(企画・構成・文/丘田ミイ子)
※高畑遊の「高」は、(ハシゴダカ)が正式表記
【あらすじ】
東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』
物語の舞台となるのは、とあるアニメの収録現場。今回が声優デビューとなる新人から長年活躍してきた玄人ベテランまで、それぞれの思いを抱えながら今日も今日とて声優たちは、一心同体のそれぞれのキャラクターに魂を吹き込んでいく。日を重ねる毎、年をまたぐ度にその声への愛着は大きく広がり、確かなものになっていくのだが…。
声はきっといつか忘れてしまう。あんなに好きだったあの声も。それでも、「これは、声の物語。声が届くまでの物語」。今回も最高の“ハッピーエンド”でお待ちしております。
東野良平
全編一挙手一投足に光る、誇り高き表現力!

■プロフィール
東野良平(ヒガシノ リョウヘイ)
マッシュ所属。劇団「地蔵中毒」メンバー。東京にこにこちゃん初出演は2016年、キャストの中では最古参。直近の出演作に『きみは一生だれかのバーター』(作・演出:金子鈴幸)、はえぎわ『幸子というんだほんとはね』(作・演出:ノゾエ征爾)など。
◆東京にこにこちゃん初登場作品はなんですか?
『悲劇な家族』再演(2016年・シアターバビロンの流れのほとりにて)
◆好きなアニメのキャラクターとその声優(敬称略)
『学園戦記ムリョウ』守山那由多(声優:朴路美)
※朴路美の「路」の字は、王偏に「路」が正式表記
◆今回演じる役はどんな人?
のらりくらり声優を続ける人
◆過去作含めて印象的なセリフ
「ゾイ!あ、間違えた。相槌と自分の名前を間違えるなんてね」(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・バルコニー!!』より)
◆あなたにとって東京にこにこちゃんとは?
ともだちの劇団
◆今作『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』の魅力、見どころは?
俳優が決して我を出さず、戯曲に身を捧げるところ。
◆萩田頌豊与がこの俳優を熟語で表現すると…
孤高
俳優評(文/折田侑駿)
東野良平という演技者に魅せられてからというもの、演劇を観るのが格段に楽しくなった。彼はステージ上に現れるだけで観客の心を弾ませる。大小高低と的確に操る声はいつだって私たちの胸にストレートに響いては揺さぶりをかけ、しなやかでキレのある身体表現にはときにクラクラとめまいを起こしそうになる。演技者としての基礎力が怪物級に高いのだろう。ごくまれに、たったひとつのセリフやアクションで時間も空間も支配してみせる俳優がいるが、東野もそのひとりだ。それに加え、『ドライブイン カリフォルニア』で大人計画の面々と並んでも引けを取らない個性の持ち主でもある。萩田頌豊与とのタッグ作でいえば『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・バルコニー!!』での好演も記憶に新しいが、彼は東京にこにこちゃんの初期作にも参加している経験を持つ存在だ。果たして記念すべき10周年公演ではどう魅せてくれるのか。これを機に演劇に触れるのが楽しくてしょうがなくなる者が増えるのは間違いないだろう。