東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』開幕カウントダウン連載 ―ルック・バック・イン・アクターズボイス―【第五回】てっぺい右利き

2025.09.28

10月3日(金)から10月13日(月・祝)まで、東京・三鷹市芸術文化センター 星のホールにて東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』が上演される。本公演はMITAKA“Next”Selection 26th参加作品であり、東京にこにこちゃん10周年記念公演でもある。10年を迎える節目に、劇団史上最大規模の劇場での最長期間の上演。キャストも西出結、近藤強(青年団)、東野良平(劇団「地蔵中毒」)、立川がじら(劇団「地蔵中毒」)、土本燈子、高畑遊(ナカゴー)、加藤美佐江、江原パジャマ(パ萬)、てっぺい右利き(パ萬)とメモリアル&ロングラン公演にふさわしい、総火力の面々が集った。
ローチケ演劇宣言!では、そんな9名のキャスト個々の魅力を紐解くべく特別連載を敢行。開幕までの数日にわたり1人ずつ、俳優の現場からの声を、丘田ミイ子、折田侑駿、成島秀和の3人の書き手による俳優評とともにカウントダウン形式で紹介する。東京にこにこちゃん過去作品はもちろん本作でも鮮烈な存在感を放つ魅惑の俳優たち。果たして、その素顔と魅力とは…?

(企画・構成・文/丘田ミイ子)

※高畑遊の「高」は、(ハシゴダカ)が正式表記

【あらすじ】

東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』

物語の舞台となるのは、とあるアニメの収録現場。今回が声優デビューとなる新人から長年活躍してきた玄人ベテランまで、それぞれの思いを抱えながら今日も今日とて声優たちは、一心同体のそれぞれのキャラクターに魂を吹き込んでいく。日を重ねる毎、年をまたぐ度にその声への愛着は大きく広がり、確かなものになっていくのだが…。
声はきっといつか忘れてしまう。あんなに好きだったあの声も。それでも、「これは、声の物語。声が届くまでの物語」。今回も最高の“ハッピーエンド”でお待ちしております。

てっぺい右利き

専売特許級 彼にしか扱えない語尾を聞け!

■プロフィール
てっぺい右利き(テッペイ ミギキキ)
FMG所属。パ萬メンバー。2018年より東京にこにこちゃん作品に出演するほか、コンプソンズ、劇団スポーツ、いいへんじなど話題の公演に出演。直近の出演作に桃尻犬『春のお花見桃祭り』、くによし組『ケレン・ヘラー』など。

『ヤンキー海に帰る』(再演)(2018年・王子小劇場)

『おくびょうなカーレッジくん』カーレッジ(声優:菅原淳一)

良い音を出す役

「浄化されちゃうよー」(『さよならbye-bye、バイプレイヤー』より)

一番多く出ている劇団です。楽しいですし。

いつもより丁寧におもしろくなっている気がします!

音感

一度目にしたら忘れられない特徴的な芸名を持つ俳優は多数いるが、彼らが勝負をするのは芸に身を投じるときの名ではなく、当然ながら芸そのものだ。てっぺい右利き──一度目にしただけで繰り返し口ずさんでしまう名を持つ彼は、板の上で躍るその姿もまた、一度目にしたら繰り返し欲してしまう。クセになる、ヤミつきになる俳優である。参加するどの作品でも彼の強烈な個性はいつも際立っているが、だからといってそれは周囲を圧したり、ひとりだけ前へ出ようとするものでもない。ごくごく自然と各作品の持つ世界観に溶け込み、調和を保ちながら上演時間を生きている。小劇場シーンにおいて引っ張りだこの俳優であり、とりわけ“笑い”にウエイトが置かれた作品では彼こそが要だ。“お笑いの世界”をモチーフにしたくによし組『ケレン・ヘラー』への出演や、数秒に一回は客席から笑い声が上がる東京にこにこちゃんの大常連であることが、それを証明しているだろう。「てっぺい右利き」と誰もが口ずさむ日がやってくるのは、そう遠くはないだろうと踏んでいる。