東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』開幕カウントダウン連載 ―ルック・バック・イン・アクターズボイス―【第七回】立川がじら

2025.09.30

10月3日(金)から10月13日(月・祝)まで、東京・三鷹市芸術文化センター 星のホールにて東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』が上演される。本公演はMITAKA“Next”Selection 26th参加作品であり、東京にこにこちゃん10周年記念公演でもある。10年を迎える節目に、劇団史上最大規模の劇場での最長期間の上演。キャストも西出結、近藤強(青年団)、東野良平(劇団「地蔵中毒」)、立川がじら(劇団「地蔵中毒」)、土本燈子、高畑遊(ナカゴー)、加藤美佐江、江原パジャマ(パ萬)、てっぺい右利き(パ萬)とメモリアル&ロングラン公演にふさわしい、総火力の面々が集った。
ローチケ演劇宣言!では、そんな9名のキャスト個々の魅力を紐解くべく特別連載を敢行。開幕までの数日にわたり1人ずつ、俳優の現場からの声を、丘田ミイ子、折田侑駿、成島秀和の3人の書き手による俳優評とともにカウントダウン形式で紹介する。東京にこにこちゃん過去作品はもちろん本作でも鮮烈な存在感を放つ魅惑の俳優たち。果たして、その素顔と魅力とは…?

(企画・構成・文/丘田ミイ子)

※高畑遊の「高」は、(ハシゴダカ)が正式表記

【あらすじ】

東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』

物語の舞台となるのは、とあるアニメの収録現場。今回が声優デビューとなる新人から長年活躍してきた玄人ベテランまで、それぞれの思いを抱えながら今日も今日とて声優たちは、一心同体のそれぞれのキャラクターに魂を吹き込んでいく。日を重ねる毎、年をまたぐ度にその声への愛着は大きく広がり、確かなものになっていくのだが…。
声はきっといつか忘れてしまう。あんなに好きだったあの声も。それでも、「これは、声の物語。声が届くまでの物語」。今回も最高の“ハッピーエンド”でお待ちしております。

立川がじら

落語仕込み?!間とハケ際を見極める超技術

■プロフィール■
立川がじら(タテカワ ガジラ)
落語家。立川志らく門下に入門後、2016年に立川流二ツ目に昇進。劇団「地蔵中毒」メンバーとしても活躍。東京にこにこちゃんには2018年より出演。直近の出演作に『渋谷らくご』、上州事変『長野原日和〜2025応桑区民講座〜』など。

『ヤンキー、海に帰る』(再演)(2018年王子小劇場)

『るろうに剣心』魚沼宇水(声優:流山児祥)

アニメの制作側の人間で、まだ台本ができあがってないので分かりませんが、裏方の苦悩を表現すると思います。

「制服の胸のボタンを下級生たちにねだられ」(『シュガシュガ・YAYA』より)

つらい時期を支えてくれた薬箱

人間の未来にかける想いが、希望にもなれば呪いにもなるというところをきちんと表現してくれているのが魅力だなと思います。

この人にはその場の空気が目に見えているのかもしれない。言葉の意味って、行間でこんな風に醸成されるんだ。初めて舞台上で立川がじらを見た時、私はそう感じました。それには「落語家」という生業も影響しているかもしれないけれど、私はどこかがじらさんその人に備わった天性のようなものにも感じられてやまないのです。そんな立川がじらが最も面白いのは、持ち場から去る瞬間。そこには「終わりの終わり、ハケのハケまで手を抜かない」という、“笑い”に対する高潔なまでの哲学と徹底した技術をも感じずにはいられない。人を笑わせるには足し算だけではダメで、引き算だけでもダメで、足し方と引き際が肝心なのだということを、私は東京にこにこちゃん演劇を底支えする立川がじらという俳優に教わりました。本当にかっこいい落語家で俳優ですが、東京にこにこちゃんで演じる役はズルい大人とか、セコい先輩とか、ただただ迷惑なクラスメイトとかちょっとその辺にいそうで、その実いないヤバイやつ。「ヤバイやつ」を「愛すべきヤバイやつ」にしちゃう愛嬌と技量。そこもまた、がじら節です!