東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』開幕カウントダウン連載 ―ルック・バック・イン・アクターズボイス―【第八回】江原パジャマ

2025.10.01

10月3日(金)から10月13日(月・祝)まで、東京・三鷹市芸術文化センター 星のホールにて東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』が上演される。本公演はMITAKA“Next”Selection 26th参加作品であり、東京にこにこちゃん10周年記念公演でもある。10年を迎える節目に、劇団史上最大規模の劇場での最長期間の上演。キャストも西出結、近藤強(青年団)、東野良平(劇団「地蔵中毒」)、立川がじら(劇団「地蔵中毒」)、土本燈子、高畑遊(ナカゴー)、加藤美佐江、江原パジャマ(パ萬)、てっぺい右利き(パ萬)とメモリアル&ロングラン公演にふさわしい、総火力の面々が集った。
ローチケ演劇宣言!では、そんな9名のキャスト個々の魅力を紐解くべく特別連載を敢行。開幕までの数日にわたり1人ずつ、俳優の現場からの声を、丘田ミイ子、折田侑駿、成島秀和の3人の書き手による俳優評とともにカウントダウン形式で紹介する。東京にこにこちゃん過去作品はもちろん本作でも鮮烈な存在感を放つ魅惑の俳優たち。果たして、その素顔と魅力とは…?

(企画・構成・文/丘田ミイ子)

※高畑遊の「高」は、(ハシゴダカ)が正式表記

【あらすじ】

東京にこにこちゃん『ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス』

物語の舞台となるのは、とあるアニメの収録現場。今回が声優デビューとなる新人から長年活躍してきた玄人ベテランまで、それぞれの思いを抱えながら今日も今日とて声優たちは、一心同体のそれぞれのキャラクターに魂を吹き込んでいく。日を重ねる毎、年をまたぐ度にその声への愛着は大きく広がり、確かなものになっていくのだが…。
声はきっといつか忘れてしまう。あんなに好きだったあの声も。それでも、「これは、声の物語。声が届くまでの物語」。今回も最高の“ハッピーエンド”でお待ちしております。

江原パジャマ

暴れながら場を整える、脅威のバランス力!

■プロフィール■
江原パジャマ(エハラ パジャマ)
ファザーズコーポレーション所属。パ萬メンバー。蓬莱竜太作品をはじめ、pityman、コンプソンズ、セビロデクンフーズなどの劇団に客演。直近の出演作に優しい劇団volume九劇『暗黒提灯物語〜娯楽町のさびしいお祭り〜』、NHK朝ドラ『あんぱん』など。

『さよならbye-bye、バイプレイヤー』(2021年・荻窪小劇場)

『ホーホケキョ となりの山田くん』キクチババ(声優:ミヤコ蝶々)

みんなの間に入る人

「いっけぇ~!!」

笑っちゃう空間

東京にこにこちゃんの総決算

整地

令和的な狂気は江原パジャマさんの演技に集約できると思ってるんですけど、狂気的なもの以上に、私は江原さんの持っている優しさが大好き。その優しさは、作品に合わせていろんな形に変容しています。
たとえば優しさを不器用さと組み合わせていたり、子供への愛情にしていたり、街へのまなざしに溶け込ませていたり、ぐにゃりと歪ませて背筋をぞわぞわさせるものに変えていたりする。
出力のボリューム感も多彩で、繊細で緻密な演技も、デフォルメの中に閉じ込める演技も、観客の心をゆさぶる感情を大爆発させる演技もある。
戯曲の真芯を捉える読解力と、大小強弱自在な表現力。物語を背負えるし、支えることもできる。企画力もある。演出家は、江原さんのこと頼りにしたくなっちゃいますよ、それはもう、どうしたって。
優しい江原さんには幸せになってほしいので、絶対にハッピーエンドになるはずの東京にこにこちゃんで、どうか今回も、最後の最後は幸せになってほしいです!!