Casual Meets Shakespeare『ヴェニスの商人 CS』|ウチクリ内倉&田口涼 インタビュー

シリアスとコメディの2バージョンで上演

シェイクスピア作品を現代の解釈で上演していくCasual Meets Shakespeareシリーズの最新作「ヴェニスの商人CS」が11月1日に幕を開ける。本作は、物語の喜劇性と悲劇性の両面を表現すべく、C(コメディ)とS(シリアス)の2バージョンで上演。親友のため、自分の肉1ポンドを担保に借金をしてしまう商人アントーニオを演じるのは、ウチクリ内倉と田口涼の2人だ。

ウチクリ シリアスとコメディが表裏一体であることを体現しているのがこの企画の一番の魅力です。アントーニオは本当に正義感に溢れているし、友情に熱い。初志貫徹しているけど…見方によっては敵役となるシャイロックのほうに気持ちが傾くこともあって。でも最後には、アントーニオのように正義を貫くことが間違いないと信じて、今、稽古を進めているところです。

田口 アントーニオは、いい人すぎて…人のためにすごく動くんですけど、だからこそ本当の感情が見えてこない。僕はSバージョンに出演するんですけど、今回はCが先に稽古をしているので、それを見てからSをどうするかを考えられるんですね。どう演じたら面白くなるのか、しっかり考えていきたいと思います。

同じ役ながら、悲劇と喜劇の別アプローチに挑む2人。演出の松崎史也からの言葉は、芝居への大きな指針となっている。

田口 以前、史也さんが『今日、初めて言うセリフがお客さんの前ではダメだろ』って言っていたんです。だから、本番前に必ず1回はセリフを舞台上で言っておくようにしています。それは史也さんの作品に限らず、守り続けてますね。史也さんの作品だとみんな守ってるから、本番前は舞台上で取り合いですけど(笑)。

ウチクリ でもその自主練の量は、涼が一番多いよね。僕は前に、シリアスとコメディの境目ってそんなに無いんじゃないか、という話をしたことがあって。コメディだから面白く、シリアスだから真面目に、という一辺倒じゃない視点に、天啓を受けたような感覚がありました。

「普段着でシェイクスピア」のコンセプト通り、難解とされる物語を再解釈していく本作。前回好評だったシャッフル公演や日替わりゲストなど、多彩な挑戦を繰り広げていくという。

ウチクリ 400年以上シェイクスピアは楽しまれている中で、CMSも足元に及ばずとも、5年10年と楽しんでいただけるコンテンツになっていくんじゃないかと感じています。シャッフル公演もどうなるか分からないですが(笑)、頑張りますので、ぜひ楽しんでください。

田口 CMSはなかなか真似できない企画で、カッコいい俳優たちがCS演じ分けているところも見どころかと思います。とても大好きな企画なので、たくさん応援していただけると嬉しいです!

11月6日(木)と8日(土)の計4公演では鑑賞サポート(バリアフリー字幕タブレットの貸出、受付およびロビーでの手話通訳)を実施する。

インタビュー&文/宮崎新之

【プチ質問】Q:手土産を選ぶポイントは?
A:
田口 ナタ・デ・クリスチアノのエッグタルト!美味しいので間違いないです。

ウチクリ その時に自分が一番食べたいもの。

※構成/月刊ローチケ編集部 10月15日号より転載
※写真は誌面と異なります

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
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【プロフィール】

ウチクリ内倉
■ウチクリ ウチクラ
俳優、演出家。12月上演のミュージカル「ブルーサンタクロース」の演出を務める。

田口涼
■タグチ リョウ
俳優として多くの作品に出演。近作は舞台『MANKAI STAGE「A3!」 ACT3! 2025』、舞台「死神遣いの事件帖 終」など。