2019年3月に大阪、4月に東京にて上演される『熱海殺人事件』LAST GENERATION 46の制作発表が2/14(木)に行われ、味方良介、今泉佑唯、佐藤友祐(lol-エルオーエル-)、石田明(NON STYLE)と演出の岡村俊一が登壇した。
『熱海殺人事件』は1973年に文学座で書き下ろされ、紀伊國屋ホールを拠点に何度も再演を重ね、東京の春の風物詩とも呼ばれるつかこうへいの代表作。
会見冒頭、この日のMCを務める★☆北区つかこうへい劇団出身の久保田創の呼び込みでキャストが登場。木村伝兵衛を演じる味方は会場中に響き渡る力強く滑らかなセリフ回しで記者陣を魅了。婦人警官・水野智子役の今泉は、憂いを帯びた表情と透き通るような歌声を披露した。 昨年に引き続き熊田留吉を演じる石田は本番さながらの熱い演技で魅せ、犯人・大山金太郎役の佐藤は、鋭いまなざしと堂々たる立ち姿で存在感を放った。
演出の岡村が「今年で46年目。この公演で平成が終わります。この作品が50年、100年…と生き延びられるように、演出も変え、若者に受け継ぎながら、次の世代につないでいきたいです。今年はミュージカルシーンをふんだんに盛り込んで、歌い踊る『熱海殺人事件』にしたいと思います」と口火を切ると、味方が「僕は平成の時代に生まれ、つかさんとお会いすることなくこの作品をやらせていただいています。その悔しさもありますが、この作品を通して、つかこうへいさんの意志を紡いでいく一つのピースになれるのが、すごく嬉しいことであり、怖いことでもあります。平成最後にこの作品を紀伊國屋ホールで上演する使命感を強く感じています」と熱く語った。
今泉は「初めての舞台なので、すごく緊張しています。お芝居について一から学んで、この期間で一回りも二回りも成長した姿をみなさんにお見せしたいと思います」と緊張しながらも力強く宣言。
「このような歴史ある作品で、僕がこの大役を果たせるのかというプレッシャーや、前回僕の後輩が大山金太郎を演じていたことによるプレッシャー、さらにまだ4人そろって稽古をしていないプレッシャーもあり…」と不安を覗かせた佐藤だったが、最後には「それらを一つ一つ乗り越えて、全力で演じたいです」と意気込んだ。
石田は「もう一度一から見直して、さらに上の熊田留吉を演じたいと思います。あと、芝居の途中に脱線部分のコメディがあるのですが、そこは完全に僕の作品となります。こちらもお楽しみいただけたらと思います」と笑顔を見せた。
さらに、昨年に引き続き共演となる味方と石田にお互いについて聞くと、「石田さんがいてくれる安心感があります。2人で新しい木村伝兵衛と熊田留吉像をディスカッションしながらつくっていきたい」と味方。そして「去年は稽古期間中2人で話し合う時間があまりなく、本番が始まってから話し合って新しいシーンができたりしました。今回はそれが稽古の段階からできるので、より深い『熱海殺人事件』になると思います。味方という全くブレない芯のある男にすべてを捧げたいと思います」と石田が続けた。
今年の『熱海殺人事件』について演出の岡村に質問が投げかけられると、「この作品はつかさんが22~23歳のころに着想したもの。描かれているのが若い人が考える寂しさや幸せであるなら、その若い世代の人たちがやるのが1番いいのではないか。すでに今泉の稽古を始めていますが、受け止める演技、リアクションは相当すごいです。近距離で見た人にしかわかりませんが、素晴らしいリアクションをしているので、今後が楽しみです」と期待を寄せた。
今作で本格的に演劇を始める今泉と佐藤へ経験者の2人がアドバイスを求められると、「稽古終わりにみんなでご飯を食べれば大丈夫。義理の父がやっている居酒屋は深夜12時を過ぎると閉店して、僕たちの舞台になります。みんなで“つか立ち”をして深夜稽古が始まるから」と石田と味方が“つか立ち”を披露し、笑いを誘った。
制作発表の後に行われた囲み取材では、この日がバレンタインデーということで、今泉と佐藤から報道陣へ今泉扮する水野の写真がプリントされたチョコレートがプレゼントされるサプライズも。
最後に味方から「僕らができること以上のことをやり、演劇って熱くていいよな、どんな時代にもこういうものはあるべきだよな、と思ってもらえるような作品を全員で一丸となって作りたいです。ぜひ劇場でその熱さを体感してください」と熱いメッセージが贈られ、会見を締め括った。
『熱海殺人事件』LAST GENERATION 46は、3/28(木)から3/31(日)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて。東京公演は全日完売となったため、4/20(土)・4/21(日)に追加公演が決定し、4/5(金)から4/21(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて上演される。
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