舞台『サド侯爵夫人』|宮本亞門&成宮寛貴 インタビュー

宮本亞門が演出するスリリングな三島戯曲に、
成宮寛貴らスリリングなキャストが挑む

これまで『金閣寺』や『ライ王のテラス』などの三島由紀夫作品に新たな息吹を与え舞台化してきた宮本亞門が、2026年1月、戯曲『サド侯爵夫人』に取り組む。
キャストはオールメール(男性のみ)で主人公のサド侯爵夫人・ルネには成宮寛貴が扮するほか、東出昌大、三浦涼介、大鶴佐助、首藤康之、加藤雅也という注目の顔合わせが実現する。

実は、宮本演出による舞台『滅びかけた人類、その愛の本質とは…』(2000年)がデビュー作だった成宮。この作品が12年ぶりの舞台出演となることでも話題を呼びそうだが、宮本と仕事を共にするのはそのデビュー作以来、約25年ぶりとなる。

宮本 どんどん活躍していく姿を見ていて、いつかまた一緒に舞台ができたらいいけど、あんなに忙しかったら無理かもなって思っていたんです。一時、僕ら同じビルに住んでいたことがあって。それがわかってからは、家に遊びに来てもらったりしていたんですよ。

成宮 そう、共通の友人もいたのでプライベートでは定期的にお会いしていたんですけどね。もちろん、僕だって亞門さんとまたお仕事したいなという想いは常にありました。やはり僕の原点、始まりの地でもあるので。

宮本 そうしたら、また偶然会えてね。

成宮 半年前くらいに、友人たちのイベントがあって海に行ったんですよ。すると目の前に亞門さんがいたので驚きました。その時ちょうど復帰を考えていたタイミングだったので、そのお話をさせていただいたんです。

宮本 復帰したいんだ。じゃあ、何かやってみる?と。でも舞台だと本気でやらないと大変だし、もしやるならこっちも本気でいくよ!って話になったら、もちろん本気でやりたいです!と言ってくれて。そして以前からどうしてもやりたかった作品がこの『サド侯爵夫人』だったので思い切って提案してみたんです。よく断らなかったね(笑)。

成宮 僕も、え、久しぶりの舞台で三島由紀夫?しかも『サド侯爵夫人』?とは思いましたが、亞門さんがおっしゃってくださるには、これは僕の芸能の勘のようなものですが、絶対やるべきだと感じたんです。

宮本 三島作品は、現代人が生きるテーマに繋がるものもあるんです。でも特に『サド侯爵夫人』は膨大なセリフ量も含め、これを演じる俳優さんには地獄に落ちるほどの大変な想いをさせるわけで(笑)、実現は難しそうだと思っていたんだけど。でもここに本気でやろうと言う人がいるのだから、おそらく本気の人が集まってくるはずだと思ったし。

成宮 確かに僕も現代に通じると、直感的に思いました。僕が演じるルネは制約がある中、自分の生きる道を選び、それを突き通した意思の強い女性。その彼女の孤独、心情、そして最後に静かな決意をするまでを、この作品を通してお見せできると思っています。亞門さんと一緒にやらせていただく作品としてとても高いハードルではありますが、これを飛び越えられたら次が見える、とも思いました。これまでの経験をすべて活かす気持ちで、台本と向き合っています。今の自分を、生々しく魅力的に演じたいですね。

宮本 スリリングな作品を、まさにスリリングなキャストと一緒に、清水の舞台どころじゃないとんでもない高さから飛び降りようという覚悟で臨みます。最近こんな芝居なかった、と思っていただけるくらいの生々しいものにできたらと思っています、ご期待ください。

インタビュー・文/田中里津子
Photo/篠塚ようこ

※構成/月刊ローチケ編集部 11月15日号より転載

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【プロフィール】

宮本亞門
■ミヤモト アモン
演出家。トニー賞4部門にノミネートされた『太平洋序曲』をはじめ、数多くの作品の演出を手掛ける

成宮寛貴
■ナリミヤ ヒロキ
ʼ00年、宮本亞門演出の舞台『滅びかけた人類、その愛の本質とは…』で俳優デビュー。以降、ドラマ・映画・舞台に数多く出演し、幅広い役柄を演じてきた。主演を務めたABEMAオリジナルドラマ『死ぬほど愛して』で8年ぶりに俳優復帰を果たした。