宅間孝行が作・演出を手がけるタクフェス第13弾『くちづけ』の東京公演開幕にあたり取材会を実施した。11月28日(金)から12月4日(日)までサンシャイン劇場にて上演する。その後、名古屋・大阪・福岡・札幌と全国で上演を予定している。
『くちづけ』 は、宅間が新聞に掲載されたある事件の記事に触発され執筆した作品であり、宅間が主宰していた東京セレソンデラックスにて2010年に初演し、2013年には堤幸彦監督によって映画化もされた人気名作だ。さらに、2015年にタクフェス第3弾、2020年にタクフェス第8弾にて再演。今回5年ぶりの再演となる。
物語の舞台は知的障がい者たちの自立支援のためのグループホーム「ひまわり荘」。かつて大ヒット作品を1度だけ世に送り出した、漫画家の愛情いっぽん(金田明夫)は、身体は大人だが心は子どものままのマコ(石田亜佑美)を連れて住み込みで働くことに。純真なマコの心の扉を開けたのは、ひときわ明るく元気なうーやん(宅間孝行)だった。惹かれあった2人は、マコの誕生日であるクリスマスの日に、“結婚しよう”と指きりを交わす。そして約束の日、うーやんはひまわり荘の仲間と一緒にマコがやって来るのを待つが…。純粋な恋と、親の深い愛が胸を打つーータクフェスが贈る、優しさと切なさの物語だ。






ゲネプロ後の取材会には、宅間をはじめ、金田明夫、石田亜佑美、松本幸大、鈴木紗理奈、浜谷健司、小川菜摘がステージに登場した。
キャストコメント
金田明夫:愛情いっぽん役
生きることの切なさや素晴らしさというものが、宅間(孝行)の芝居には本当に凝縮されていると思います。自分自身が何を考えて——というより、ちゃんとセリフを言って、みんなで芝居をすれば、大きなメッセージに繋がるということはわかっているので、安心してそこに向き合うだけです。お芝居は、100人いれば100通りの見方があると思っています。だからこそ“面白いな”と思いながら、さまざまな意見に耳を傾けて演じることが、とても大切だと感じています。今回、最後の『くちづけ』で“愛情いっぽん”を演じることになりますので、悔いのないように、精一杯燃焼して、燃え尽きてみせる——そんな思いで臨んでおります。
石田亜佑美:阿波野マコ役
今回、(金田)明夫さんが4回目の“愛情いっぽん”、そして宅間(孝行)さんが4回目の“うーやん”。このタイミングでマコちゃんをこうして演じさせていただけていることが、私にとって最高の経験であり、心から嬉しく思っています。実際に、知的障がいのあるお子さんを持つ親御さんと交流させていただく中で、この『くちづけ』が伝えていることは、舞台上だけの話ではなく、現実として存在するものなんだということを強く感じ、そのことを大事にしながら作ってきました。マコちゃんを演じるにあたっても、マコちゃんの性格や癖といった部分を少しずつ見つけながらやらせていただいてます。心を込めて、精一杯マコちゃんを演じさせていただいておりますので、千秋楽までどうぞよろしくお願いいたします。
松本幸大:夏目ちゃん役
僕は昨年のタクフェス第12弾『夕』に続き、2年連続で参加させていただいていますが、本当に嬉しく、そして光栄に思っています。その気持ちを、しっかりとステージの上でも表現したいと思っています。今回、初めて三枚目の役をやらせていただくんですが、最初はその立ち振る舞いが全然わからなくて…「三枚目ってなんだろう?」って(笑)。でも、初めての三枚目の役が“夏目ちゃん”で良かったなと、本当に思っています。何より、自分にとって悔いのないように、そして未来に繋がるように、精一杯“夏目ちゃん”を演じて、素敵な作品の一部になれたらと思っています。千穐楽まで、どうぞよろしくお願いいたします。
浜谷健司:国村先生役
私も、この『くちづけ』という心揺さぶられる作品に参加できて、本当に光栄に思っております。今回、初めて前説を一人でやらせていただくんですが、最初にやったとき、舞台袖に帰るなり鈴木紗理奈さんが「前説下手やな(笑)」って言うんですよ(笑)。一生懸命覚えて、一人で汗かいて、舞台袖に戻ったら若手の子の前で「下手くそやったなあ(笑)」って!デリカシーないですよね!(笑)そこから家で100回くらい練習しました!これで明日からやりますので、よろしくお願いします!
鈴木紗理奈:国村真理子役
この『くちづけ』はグループホームを舞台にした物語です。この劇中にもあるように、知的障がいのある方は人口の約2%と言われており、その数字からも決して少なくないと感じました。でも、一方で、私自身を含め、日常生活の中でそうした方々と触れ合う機会は多くなかったと思います。だからこそ、こうやって演劇というエンターテインメントを通して、この世界にスポットを当てて、たくさんの方に観ていたいただけることはすごく社会的意義があるなと思います。作品に描かれる世界を“ここで生きる”という意気込みで、カンパニー一同、真摯に向き合っております。一人でも多くの方にご覧いただき、さまざまな立場の方々に寄り添える世界が、一歩でも開けたらいいなと、勝手ながら願っております。よろしくお願いいたします。
小川菜摘:袴田さん役
私は今回、タクフェスに初めて参加させていただきます。“愛情いっぽん先生”の金田さん、そして“うーやん”の宅間さんによる最後の『くちづけ』という、意味のある作品に呼んでいただけたことは、自分にとって大きな宝物だと、舞台に立ちながらつくづく感じています。稽古場ではさまざまなチャレンジをさせていただき、半分以上は採用されないんですが(笑)、それでも自由にやらせていただける環境で、すごく楽しくさせてもらっています。劇中では、“うーやん”に何をツッコまれるかわからないシーンがあるんですが、そこが一番ドキドキしています(笑)。この作品はいろんな形の愛がいっぱい詰まっています。ご覧になったお客様がどのように受け取ってくださるのか、とても知りたい気持ちです。アンケートなどで感想を書いていただければ、みんなで読ませていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
宅間孝行:うーやん役
何はともあれ1つの集大成という形で今回上演したいと思ってます。これはいつもお話ししていることなんですが、お芝居を観るというのは、ある意味で“歴史に立ち会う”ことでもあると思うんです。金田さんによる最後の“いっぽん先生”のあのお芝居を、生で見届けたんだ。そのことを語り継いでいただきたいなという意味でも、ぜひ劇場に足を運んでいただければ嬉しい限りでございます。よろしくお願いいたします。
舞台写真








