四十七人の赤穂浪士による仇討ち「赤穂事件」を題材に、“令和版『忠臣蔵』”として、舞台『忠臣蔵』が2025年12月に東京・明治座にて幕を開ける。
演出・堤幸彦、脚本・鈴木哲也がタッグを組み、大石内蔵助役の上川隆也、その妻・大石りく役の藤原紀香、吉良上野介役の高橋克典といった豪華キャスト陣が揃う。さらに次世代を担う、立石俊樹、藤岡真威人、崎山つばさ、岐洲 匠、石川凌雅、近藤頌利ら若手俳優陣が名を連ねる。
12月の上演へ向け絶賛稽古中の11月下旬、大高源吾を演じる石川凌雅へインタビュー。稽古を経て掴みつつあるという役や作品への手応えについて話を聞いた。
――絶賛稽古中となりますが、手応えはいかがですか?今感じている挑戦や課題があればお聞かせください
手応えはまだこれからという感じですね。今やっと、自分が演じる大高源吾のシルエットが見えてきたという段階です。時代劇なので使い慣れない表現が多い分、セリフに思いを乗せるのが大変で(笑)。手応えを感じるにはもう少し時間がかかりそうですが、いい予感はしています。
挑戦という点では、現代人らしい立ち居振る舞いの癖を抜いていくことですね。あの時代に生きた人間としての所作を、稽古の中で体に落とし込んでいるところです。あとは、“令和の忠臣蔵”を追い求めるとはどういうことなのか。カンパニーの皆さんとも色々な話をしながら、僕らだからこそ見せていけるものを作っていこうと、日々、試行錯誤しています。
――演じる大高源吾についてシルエットが見えてきたとのこと。稽古前と今、人物像の捉え方に変化はありますか?
稽古が始まって強く感じているのは、大高源吾は器用でありながら、非常に繊細で人間らしさがにじみ出ている人物なんだなということですね。稽古に入る前は、器用は器用なんですが、もっと頭脳派というイメージで、内面にある感情的な部分があまり想像できなかった。その内面の人間らしさというのは、稽古の中で僕の想像を超えてきた部分ですね。
――そんな彼をどう演じていこうと思っていますか?
今作での源吾は、なぜ討ち入りをするのか、その意味とは何なのかを問う代弁者でもあるんです。血気盛んな同志たちがズンズン進んでいく中で、源吾は常に冷静に俯瞰した立ち位置で物事を見ていく。ある意味すごく現実主義的で、お客様の視点に近い存在だと自覚しているので、そこにこだわって演じていきたいなと思っています。

――上川隆也さんをはじめ、藤原紀香さんや高橋克典さんといった、そうそうたる顔ぶれが揃います。実際に一緒に芝居をして、どんな刺激や学びを受け取っていますか?
真摯にご自身の役と向き合いながら、毎日少しずつ積み重ねて芝居を作られている姿を見て、自分がやっていることの延長線上に先輩たちもいらっしゃるんだなというのを、日々実感しています。皆さん大先輩ですが、カンパニーの全員が等しく作品を担うピースであって、全部が合わさって大きな感動を生む作品になるんだということを、改めて感じていますね。
詳しくはネタバレになってしまうので言えないのですが、実は大石内蔵助役の上川さんとは重要なシーンを一緒に演じさせてもらっていて、掛け合いも多いんです。上川さんの背中からは、絶対的な信頼感と安心感、そして真ん中に立つ人の覚悟が伝わってきて、僕も気が引き締まる思いです。
――稽古の合間にお話することも?
ありますよ!先日も僕が早めに到着して、朝からカップ焼きそばを食べていたら、上川さんが「朝からジャンキーなの、いくねぇ。実は僕もそういうの大好きなんだよ」と(笑)。すごく気さくに話してくださって!同じ視座でコミュニケーションを取ってくださって、「気を使わなくていいんだよ」ということを、言葉ではなく日頃の接し方で伝えてくださるのがすごく嬉しいですね。
――堤さんとの作品づくりはいかがでしょうか
すごく楽しいです!役者のポテンシャルに信頼を置いてくださっているなと感じる瞬間が多く、持っていった芝居やアイデアを汲んでくださる方という印象です。
映像作品を多く手掛けてきた方でもあるので、僕がこれまで経験した稽古の進め方と違う部分もあって新鮮ですね。シーン全体をまとめて稽古して、修正したらシーンの頭から通し直すという形ではなく、一つのシーンをもっと細かいセクションに分けて稽古していくんですよ。映像作品の1カットごと稽古をつけていくようなイメージで、演劇だけど映像っぽくもあるなと感じています。細かく分けるからこそ求められる集中力もあって、この現場ならではの経験をさせてもらっているなと感じています。
――『忠臣蔵』といえば殺陣も見どころになるかと思います
醍醐味ですよね。今回の殺陣はこれまでの経験した殺陣ともまた違っていて、人と人の命のやり取りについて、今まで以上に本気で考えて取り組んでいます。なので、刀を握ると自然と目の色が変わるような感覚ですね。
源吾は頭脳派であって武闘派ではないので、実は命を狙われることが多くて(苦笑)。なので、刀を握るときも常に危機感がつきまとっていて、いつもドキドキしながら殺陣をしています(笑)。

――初日まで1ヶ月を切っていますが、この舞台『忠臣蔵』は石川さんにとってどんな作品になりそうですか?
現時点では、日本人として生まれてきてよかったなと思わせてくれる作品ですね。現代の中ではなかなか感じることのない、大和魂というか武士道というか。そういうものを吸収して、日本人の本能みたいなものを呼び覚ましてもらっているなと感じています。それはきっと、幕が開いたらよりいっそう感じることになるのかな。この作品を通して、また新しい自分に巡り会えるんじゃないかなと思うとすごく楽しみです。
――最後に、石川さんの見どころと共に、読者へのメッセージをお願いします
侍の時代といえど斬りあうことが多くはなくなってきた時代において、源吾は現実主義的で、武士らしさとはまた違うところで葛藤するような人物です。討ち入り以外の方法も模索していた彼がどんな思いで討ち入りに参加するのか。そういった心の動きを感じ取っていただけたらと思います。
『忠臣蔵』が好きな人はもちろん、本作で『忠臣蔵』に初めて触れるという方にも、正義を貫く彼らの生き様に、美しさや感動を味わっていただけると確信しています。ぜひ上演を楽しみにしていてください!
取材・文・撮影/双海しお
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