PARCO PRODUCE 2026『プレゼント・ラフター』│稲垣吾郎 インタビュー

自身と重なる喜劇の主人公を演じる舞台への挑戦

「僕に合っていそうですよね。僕がプロデューサーだったら稲垣吾郎にやらせますよ(笑)」

そんなふうに、稲垣吾郎自身が茶目っ気を見せながら話すのは、舞台『プレゼント・ラフター』のことである。20世紀英国を代表する劇作家ノエル・カワードによる傑作ラブコメディで、1942年の初演以来、80年以上にわたって繰り返し上演されてきた。その愛され続けてきた作品の主人公ギャリーが、大人げないところがあるけれども憎めない、魅力たっぷりな人物。誰からも好かれるスター俳優という役どころも含め、まさしく稲垣のイメージに重なるのである。

「自分のことを分析して語るのは難しいですけど、なんとなく見えてくるんです。ギャリーのような自分が。自意識の塊で気分屋で、イラッとするけどすぐに機嫌が戻るところも、プライベートでも役を演じてしまうみたいなところも、同じ俳優としてわからなくもないし。孤独でいたいんだけど寂しがり屋なところとか、ちょっと人にいい顔をしてしまう人たらしのところとか、僕もそういうふうに見えているんだろうなと思うので。観る人が稲垣吾郎を投影しやすい人物だなとは思います」

これまでもちょっと偏屈な役は多かった。そのパブリックイメージを本人も楽しんでいる。

「自分としては、穏やかでそんなに考えすぎないシンプルな人間だと思っているんですけど、どうも眉間にシワを寄せているような役が来る傾向があるんですよね(笑)。ただ、そもそも演劇って、悲劇だろうが喜劇だろうが、主人公が苦悩する物語が多いですから、ちゃんと苦悩が似合う人間でいたいなと、確信犯的に思っているところがあるかもしれません。とはいえ、本当にナイーブで繊細な人間だったらそういう役はできないかもしれないですし。自分にもそういうところがあるのかないのかよくわからないところが面白いなと思いながらやっています。それに、俳優の仕事は、誰かにこういう役を演じさせたいと思ってもらうことでしか始まらないですから。どんな役も、『この役は稲垣さんをイメージしたんです』と言ってもらえることが本当にありがたくて嬉しいんです」

舞台上ではギャリーとして、人気俳優ゆえの孤独や老いへの恐れを抱きながら、次から次にギャリー邸を訪ねて来る、腐れ縁の元妻、秘書、彼に好意を抱く女性たちやギャリーの熱狂的ファンの青年らが巻き起こす騒動に翻弄されることになる。

「戯曲はウィットに富んでいてコミカルで。『ハリー・ポッターと呪いの子』を長くやっていただけに、またこういう台詞劇をやりたいと思っていました。ただ、このスピード感についていけるか。登場人物も多いし、同時にいろんなことが進行していたりするし、感情の切り返しも速いし、話していることに裏があったりするし。そのへんは、みんなで話し合って足並み揃えて稽古していかないと間違ってしまう気がするので。ゆっくり丁寧に作っていけたらと思います」

役についても、自分に合うというところにこそ「落とし穴があるかもしれない」と油断せず、表現者ならではの危機感をしっかり持つ。

「せっかくやらせてもらうからには、お客様にも何か新しいものを発見していただきたいし、俳優としてもアップデートしていかなければいけないと思いますから。自分が演じている想像はつくけれども、その想像を超えていけたらなと。そしてそれは、自分でこうしたいと考えることではなく、演出家のもとみんなで作っていくことで可能になると思うので。今回の演出の小山ゆうなさんとは初めてですが、おっしゃることを受け入れて、しっかり染まっていって、初日までにいいものに仕上げていきたいです」

インタビュー・文/大内弓子
Photo/中田智章
スタイリスト/黒澤彰乃
ヘアメイク/金田順子

※構成/月刊ローチケ編集部 1月15日号より転載
※写真は誌面と異なります

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【プロフィール】

稲垣吾郎
■イナガキ ゴロウ
元SMAPのメンバーで、現在は「新しい地図」として活動。俳優、歌手、タレント、ラジオパーソナリティなど幅広く活躍する。