「Club キャッテリア」~ドッグマフィアの襲来~ ゲネプロレポート

2026.01.08

©Stray Cityシリーズ「Club キャッテリア」~ドッグマフィアの襲来~製作委員会

Stray Cityシリーズ第3弾となる「Club キャッテリア」~ドッグマフィアの襲来~が、2026年1月8日(木)、東京・シアターHにて開幕。日本テレビのバラエティ番組から生まれた、荒牧慶彦企画・プロデュースの舞台作品シリーズも、今作で3作目となる。猫のホストたちを描く作品に、犬のマフィア【ドッグマフィア】が加わったことで、どんな化学反応が生まれたのか。初日を前に実施されたゲネプロの様子をお届けする。

ゲネプロレポート

夢の時間を売るホストの、胸に抱えた忘れられない夢の物語が描かれた約2時間15分。本作では、元保育士で王子様でありたいベンガル(福澤 侑)を中心に、新人ホストや、【ドッグマフィア】たちの心に迫るストーリーが、まるで猫の足取りのように軽やかなテンポで進んでいった。

ライバルながらも良い関係性を築いている【Clubキャッテリア】と【Club ギャラクシーMAO】合同イベントが華やかに開かれる中、突如現れたのはカブキマチを仕切る【ドッグマフィア】の面々。カブキマチ一帯の店舗は、会長の息子であるパグ(寺山武志)から法外なみかじめ料を請求される。さらにパグは、【Clubキャッテリア】に常駐すると言い出し――。大幅に増額したみかじめ料を支払えなければ、経営の継続は困難。各店舗のホストたちは大事な居場所を失ってしまうかもしれない。この窮地に、伝説のホスト・ラグドール(荒牧慶彦)は、ベンガル(福澤 侑)に一時的に店を託して行動を開始するが、ベンガルの表情はどこか晴れず……。

すでにシリーズとして確立しているとあって、「キャッテリア」らしい華やかさと、観終わった後に元気になれる力強さは健在。合いの手が楽しいシャンパンコールに加え、【Clubキャッテリア】のキャッチーな楽曲に、【Club ギャラクシーMAO】のムーディーな楽曲、そして【ドッグマフィア】のラップナンバーが加わり、楽曲面はいっそうの盛り上がりを見せる。初日およびゲネプロにゲスト出演し、本作の音楽を手掛ける廣野凌大の存在感も抜群。彼の音楽が作品全体の熱量を底上げしていた。新曲となる【ドッグマフィア】のテーマ曲では、福澤がREXとして担当した振付にもぜひ注目を。

芝居面では、ベンガルを演じる福澤とポメを演じる植田圭輔が大きな軸となって、観客の心をじわりと温めるドラマを丁寧に積み上げていった。大きな苦悩を抱えることになるベンガルに対し、ラグドール役の荒牧は厳しくも愛情ある眼差しで彼を上から引っ張り上げ、ポメ役の植田は言葉の裏にある優しさで彼の背中を押す。

新人組のトンキ(田淵累生)、アメショ(岩崎悠雅)、カール(塩田一期)も、既存在籍メンバーに負けず劣らずの濃いキャラクターたちばかり。彼らの初“おもてなし”もお楽しみに。後輩が増えたことで見えてくるソマリ(持田悠生)やミケ(泰江和明)の成長や、新人をおおらかに見守るシャム(田中涼星)の安定感も抜群。

今作から参戦となった【ドッグマフィア】はギャップの宝庫といえるだろう。マフィアとして登場するも、犬らしい愛嬌が見え隠れ。ゲネプロでも笑いを誘っていたパグ(寺山武志)に、忠犬度の高いシバヤン(北川尚弥)、若頭としてインテリな香りが漂うボダコリ(赤澤 燈)。そして、ある猫との意外な過去を持つポメ。実力派キャストが堂々の芝居で魅せるワンちゃんたちのドラマは、本シリーズの新たな可能性を示していたように思う。

冒頭のシーンでは、ベンガルとポメが登場し、絵本を読み上げる。絵本の中身は、ある王子様と怪獣の物語。どこかベンガルの心象風景と重なっていくこの導入には、脚本を手掛ける末原拓馬(おぼんろ)らしい幻想的なエッセンスが息づいている。一方で、猫ホストたちの賑やかなじゃれ合いや、【ドッグマフィア】のユーモラスなやり取り、ふと胸を打つ人間ドラマからは、同じく脚本を担う賀屋壮也(かが屋)ならではの温度も感じられる。

それぞれの作家性が混ざり合う物語を、演出を務める植田圭輔が優しくまとめ上げ、観客を自然と物語の世界へと導いていた。稽古場インタビューで植田は、「キャッテリア」らしさを損なわないことを大切にしつつ、自分らしさは会話の間などに自然と出てくるのではないかと語っていた。まさに植田らしさが行間に滲む、柔らかな作品に仕上がっていたといえるだろう。

シリーズ3作目にして、新たな風を吹き込んだ【ドッグマフィア】の参戦は、「Club キャッテリア」の世界をさらに広げていた。華やかで楽しく、それでいて心に残る物語は健在。キャラクター同士の関係性がより深まり、それぞれの“居場所”をめぐるドラマが、観る者の胸に静かに響くだろう。寒さも吹き飛ばす、観劇初めにぴったりな景気のよい「Club キャッテリア」~ドッグマフィアの襲来~は、2026年1月8日(木)~1月18日(日)まで東京・シアターHにて、1月22日(木)~1月25日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。

舞台写真

取材・文・撮影/双海しお