パルコ・プロデュース 2026『メアリー・ステュアート』|若村麻由美 インタビュー

2人の女王が対峙する人間ドラマ
「緊張感やスリルを味わえるはず」

女優・宮沢りえがスコットランド女王に扮し、演出家・栗山民也と『オーランド』以来の再タッグを組んで上演される舞台『メアリー・ステュアート』。メアリーに対峙するイングランド女王エリザベス1世を演じるのは、宮沢とは初共演となる若村麻由美だ。

「栗山さんは大好きな演出家。パルコ・プロデュースの作品では『チルドレン』以来になります。戯曲そのものが素晴らしいんですが、今回は現代的なエッセンスも含めて演出されるというお話も聞いているので、栗山さんがどのように作っていかれるのか、とても楽しみです。実はこのところ、幽霊の役が続いていまして、やっと生きている人の役を演じられる!と思ったら国家に幽閉されていました(笑)。なぜ私がエリザベス1世なんだろう?と思いつつ、不安はすべて栗山さんが払拭してくださるという経験値があるので、今回も安心して楽しもうと思っています」

若村が演じるエリザベス1世は、卓越した知性と確かな政治手腕で知られている偉人。だが若村は、彼女の生きた宮廷の中での孤独や覚悟の隙間に、人間らしさを感じ取ったという。

「エリザベスは子どもの頃は幽閉されて、突然に女王になるように言われて即位しています。自分では選択できることがない中で自らの信念を貫き、女王としての責務を果たそうとしているんですね。覚悟のある女性だと思います。彼女はヴァージン・クイーンと呼ばれて、国家と結婚した女王という印象がありました。当初はもっと固い鎧を着ているようなイメージでしたが、今は彼女のより人間的な部分を感じられています。とはいえ、彼女にとっては結婚すら交渉カード。判断のすべてが、国家にどう自分が役立つか、ということなんですよね。女性のリーダーがどんな苦悩や葛藤を抱え、国家や国民のために何を考えているのか。その裏側が見える作品です。今、上演する意味があると感じています」

一方のメアリーは、確かな血統と美貌を持つものの、宗教的対立など王位をめぐる陰謀に翻弄されていく女王だ。2人の立場は対照的だが、近しい部分も感じているという。

「メアリーは物理的に幽閉されていますが、エリザベスは国家に幽閉されているようなもの。対照的ではありますが、共通点もあり、果たしてどちらが牢獄なのか、という問いもあります。決して遠い昔の異国の話ではない何かがあるし、現代にフィードバックできるものがありますね」

原作は、さまざまな解釈がなされてきたフリードリッヒ・シラーの戯曲。今回は、大胆な解釈で話題となった英国の演出家、ロバート・アイク翻案によるバージョンを、豪華なキャストにより体現していく。

「素晴らしいキャスティングが揃っていますので、その中で自分をしっかりと持って演じなければ。丁々発止のやりとりができる個性豊かな方ばかりなので、面白くならない訳がないですよね。セリフ劇と言ってよいくらいの分厚い台本で、策略などすべてが言葉で表現されていますので、緊張感やスリルを存分に味わっていただけるはず。誰を信じていいのかわからない、愚かで間違いだらけの人間たち――そういう部分は現代でも通じるところ。それは、今もずっとその間違いを続けているということでもあるんですよね。栗山さんのお言葉によれば、2人の物語は孤独な魂の衝突で、間違いだらけだけれど、限りなく美しい人間ドラマとして描きたいとのことでした。今という時代を生きながら、それを客観的に見ることができるというのも、演劇の持つ力のひとつ。ぜひ、楽しみにしていただきたいです」

インタビュー・文/宮崎新之
Photo/中田智章

※構成/月刊ローチケ編集部 2月15日号より転載
※写真は誌面と異なります

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布

【プロフィール】

若村麻由美
■ワカムラ マユミ
NHK連続テレビ小説『はっさい先生』でデビュー。以後、ドラマ、映画、舞台、CMと幅広く活躍する。