成長している姿をお見せしたい
劇作家・脚本家・演出家の西田大輔が描く本格派ミステリ作品『ONLY SILVER FISH』シリーズ。第5弾作品となる音楽劇『OLD WATERCOLOR FISH』が5月7日から上演される。
“魚の本当の名前を呼ぶことができれば、一度だけ過去を振り返ることができる”という、一匹の魚を巡る物語を描く『ONLY SILVER FISH』シリーズ。今回は、画家のエミール・ベルナールとポール・ゴーギャンがゴッホの死を止めるために、ゴッホが死の直前に描いた一枚の絵に隠された秘密を辿る。
ルノワールやロートレックのモデルを務め、後に画家として活躍するマリー(シュザンヌ・ヴァラドン)を演じる岡田奈々に公演への思いを聞いた。
――まず、今回の出演が決まったときのお気持ちを聞かせてください。
最初に聞いたときは「怖い」という気持ちが大きかったです。舞台に立つのは3年ぶりになるので、不安と緊張でいっぱいでした。
――そうした不安はだんだんと、解消されてきましたか?
まだまだ不安ですが、今回は音楽劇なので。私はAKB48を卒業してからもずっと歌を続けてきたので、大好きな歌は自信を持って堂々と頑張りたいと思います。今回、共演者の皆さんは本当に歌が上手く、“歌うまおばけ”のような方ばかりなので、たくさん吸収して、もっと成長できたらと思っています。
――これまでの『ONLY SILVER FISH』シリーズはご覧になりましたか?
実はまだ観ることはできていないんです。ただ、ネットなどでどんなお話だったのか調べました。先輩の高柳明音さんがシリーズに出演されていたので、お話を聞けたらいいなと思います。それから、今回、私は画家たちのモデルであり、後に画家となる役柄を演じるのですが、これを機に美術館巡りをしてみようと思っています。私の演じるマリーは、ルノワールのモデルをしていたそうなので、「ルノワール展」が開催されるのを待って実際に観てみたいです。
――岡田さん自身は、絵を描いたり、絵画を観たりすることにはあまり馴染みがないですか?
そうですね。中学の頃は美術部でしたが、幽霊部員だったので、ほとんど絵に触れずに卒業してしまいました。今回、美術や芸術というものに触れて、学ぶ機会になればいいなと思っています。
――すでにビジュアル撮影も終えたそうですが、実際にお衣裳を着てみた感想は?
真っ赤なスカートがすごく素敵でした。こうした赤いスカートを履ける女性は、きっと魅力的で、自信に溢れた人なんだろうなと感じるので、魅力的な女性を演じられるように頑張ります。
――作・演出の西田さんの作品には初出演になりますね。
これまでプライベートでお話する機会がありましたが、作品でご一緒するのは初めてなのでとても楽しみです。
――西田さんの作品にはどんな印象がありますか?
すごく面白くて、眠くならない作品という印象があります(笑)。どの作品も集中して観ていられるので、すごいなと。すごく憧れていたので、何度も出たいというお話をさせていただいたのですが、なかなかタイミングが合わなくて。今回、ようやく出演が決まったんです!なので、すごく嬉しいです。
ただ、西田さんの作品にはアドリブが多い印象もあって。私はアドリブが苦手なので、もし、「ここからはアドリブです」と言われたら困るかもしれません(苦笑)。作品としては、そうしたアドリブも好きですし、アドリブのために上演時間が予定よりも大幅に伸びてしまうというのも好きです(笑)。何回観ても楽しめる作品ばかりだなと思います。
――共演者の皆さんの印象も教えてください。
(取材当時)まだ顔合わせなどはこれからなのですが、鍵本輝さんとはビジュアル撮影のときにご挨拶をさせていただきました。本当にご挨拶だけだったので、お稽古が始まってからまたお話をさせていただければと思いますが、とても真面目で優しそうな雰囲気だなと感じました。吉原雅斗くんとは、3年前に出演したミュージカルでも共演していて、今回、2度目なので、何かあったら頼ろうと思っています(笑)。
先ほどもお話ししましたが、今回は歌がうまい人を集めたキャストという印象があります。なので、この中に自分が入っていることがすごく不思議ですし、不安でもありますし、追いつかなくちゃいけないと今、少しプレッシャーも感じているところです。

――これからお稽古が始まりますが、お稽古に向けて今、準備しようと考えていることはありますか?
まずは美術館に出向いて本物の絵画に触れたいと思います。それから、歌にも力を入れたいです。これまで自分で曲を作ったり、歌詞を書いたり、アルバムを出してきたりしてきましたが、ミュージカルの歌はポップスとは全然違うので、ミュージカル作品にも触れて、ミュージカルについても学んでいきたいです。
――ポップスとミュージカルでは、発声方法から違いますよね。
3年前にミュージカルに出演したときもそう感じました。言葉で具体的に説明するのは難しいですが、歌唱稽古を通して成長していけたらと思います。
――今回、3年ぶりの舞台出演ということですが、舞台に出たいという思いはこの3年間もあったのですか?
お芝居には苦手意識があるのですが、歌うことが大好きなのでミュージカルに出たいという思いはずっとありました。また出たいと思いながらも、自分のアルバム制作に時間を費やしていたので、その機会がなかなかなくて。ようやく3作連続でのリリースできたので、いったんはアウトプットの時間が終わり、ミュージカル作品に触れてまたインプットしたいという思いに変わりました。
――お芝居に苦手意識があるんですか?
お芝居もダンスも苦手です(苦笑)。AKB時代にもお芝居には挑戦したのですが、なかなか苦手意識はなくならないですね。今回も足を引っ張らないようにしなくてはいけないと今から緊張しています。ただ、それでも、舞台には稽古期間が1カ月くらいありますし、稽古を重ねていくにつれて成長していることを実感できるのは楽しくて、そこが舞台の好きなところでもあります。成長させてもらえるありがたい場所だなと思うので、今回もみっちり稽古をして、成長していきたいです。
――お稽古の中での成長は舞台の楽しさの一つなのだと思いますが、逆に難しさはどんなところに感じているのですか?
毎回、新鮮に物語をお見せしなくてはいけないので、新鮮な気持ちでいないといけないというところかなと思います。映像だったら、撮影が終わればそのシーンは(俳優にとっては)完成ですが、舞台は何十公演もあって、しかもそれらは毎回、違うものです。違うからこそ難しいのかなと。ですが、稽古があって、何十公演もあるからこそ、成長できるのだとも思います。以前に出演したミュージカルでは、稽古が始まった当初は、演出家さんにボロボロに怒られていましたが、本番が始まる頃には「良くなったね」と褒めていただけたので、今回も怒られても食いついていく覚悟で挑みます。
――怒られて伸びるタイプなんですね!
そうですね! 怒られるということは伸び代があるということだと思うし、期待されていることだと思うので、怒られて喜ぶタイプです(笑)。何も言われない方が不安なんですよ。どうしたらいいんだろうと迷ってしまうので、西田さんにもビシバシご指導いただきたいです。

――今回、久しぶりの舞台出演になりますが、今後もお芝居や舞台には挑戦していきたいと考えていますか?
苦手意識はありますが、食わず嫌いせず、ガンガン挑戦していきたいという思いはあります。なので、この作品が終わった後、誰かの目に留まって、またオファーしていただけるように頑張りたいです。
――具体的にこういう作品に出たいという夢はあるのですか?
特にこのジャンルとかこの作品ということはないですが、歌が好きなので、歌で表現できるような作品に挑戦できたらと思います。
――ところで、「魚の本当の名前を呼ぶと、一度だけ過去が振り返ることができる」という本作ですが、もし岡田さんが過去を見ることができるとしたら、どんな過去を覗きたいですか?
難しい質問ですね…。過去かぁ。もう一度振り返ることができるとしたら、自分がAKBに在籍していた当時、最後にセンターを任せてもらったときの自分を見てみたいです。考えられないくらい努力をしていて、今思えばすごく頑張っていたなと思えるのですが、当時の自分は意味も分からずに過ごしていました。とにかくがむしゃらに日々「センター」という重圧と戦いながら、ダンスレッスンに励んで、歌番組やステージに立ち続けていたので、当時の自分を見てみたいです。頑張っていた時期があると思えたら、今の自分も勇気がもらえると思いますし、自信にもなるのではないかと思います。
――最後に改めて公演への意気込みや読者へのメッセージをお願いします。
今回、私が演じるマリーという役柄はみんなの憧れの的という女性です。そんな魅力的な女性をどのように演じているのかを楽しみにしていただきたいと思います。音楽劇なので私の大好きな歌もてんこ盛りです。歌の上手い皆さんに食らいついて成長している姿をお見せしたいので、ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。
インタビュー・文/嶋田真己
