IHIステージアラウンド東京での約1年続いたロングラン公演、
劇団☆新感線『髑髏城の七人』“Season花・鳥・風・月”。その最終を飾る“Season極”が始動する。
完全新作となる本作の主演を務める天海祐希にスペシャルインタビュー!
東京・豊洲のIHIステージアラウンド東京にて2017年3月からロングラン上演中の劇団☆新感線『髑髏城の七人』。これまで脚本と演出、キャストを変え上演してきた“Season花・鳥・風・月”に加え、この企画の締めくくりとして発表された“Season極”は、メインタイトルを『修羅天魔』とした、劇団の座付作家・中島かずきによる“完全新作”だ。演出を手がけるのはもちろん、この360度観客席が回る特殊な劇場を日本で誰よりも把握していると言って過言ではない、新感線主宰のいのうえひでのり。物語はガラッと趣向を変え、重要な役を担っていた〈捨之介〉と〈無界屋蘭兵衛〉を登場させずに、これまでと一味違う“織田信長に愛された凄腕のスナイパー”で“渡り遊女”という設定になる〈極楽太夫〉を主人公にした、男と女の愛憎劇となる。
その〈極楽太夫〉を演じることになったのは、新感線には『蒼の乱』以来4年ぶり4回目の出演となる天海祐希だ。実は数年前に、劇団プロデューサーから“生誕半世紀公演”をやろうと打診されたことが、今回の舞台出演につながったのだという。
「50周年記念祭?ヤッター!なんて無邪気に喜んでいたら、こんな大変なことになるとは(笑)。でも、この観客席が360度回る特別な劇場で、同じ作品を5シーズン6チームでやるなんてことは、もしかすると私の人生でも最初で最後の機会になるくらい大規模なプロジェクトになるはずですからね。そういうものに参加させていただけるなんて、ありがたいことだと思いました」と、今回の舞台への思い入れを語る天海。
天海「これまでのいのうえさん、かずきさんのご苦労は私たちにははかり知れないものだけれども。出演者に合わせてその人が一番素敵に見えるように演出を変化させていくいのうえさんもすごいですし、ご自分が何年も前に書かれたものをここまで変化させていったかずきさんの力量も本当にすごいです。これは私の推測でもありますけど、きっとこの経験は演出家、脚本家冥利に尽きるんじゃないかなとも思いました」
そして“Season花”からずっと、観客席から観てきた『髑髏城~』は天海の目にはどう映ったのだろうか。
天海「あの劇場の席に座ると、遊園地の乗り物に乗る時みたいにものすごくワクワクするんです。最初は「今、動いてる?動いてない?」って気にしつつ、だけどだんだんお芝居が進むにつれて物語に取り込まれていってしまう。実際に自分の目の前でいろいろな出来事が起こっているかのように体感できる舞台になっていると思います。そしてこの劇場の真骨頂というか「待ってました!」と言いたくなる一番の武器と言えるのが、フィナーレ。観客席が一気にぐるっと回ってすべての場面が流れていく時、いつも泣きそうになってしまうんです。出演者たちはみんなそれぞれ、やり遂げたいい顔をしていますしね。あれは、まさにこの劇場でしか味わえない醍醐味ですね」
また〈天魔王〉を演じる古田との共演は、天海のたっての希望だったとも言われているが。
天海「やっぱり古田さんがいてくださると違いますからね、安心感が!前回ご一緒した『薔薇とサムライ~ GoemonRock OverDrive』では味方同士だったんですが、今回は“男と女の愛憎劇”ですし、立場的にも敵対しそうなのでがっつり戦うことになるはずです。だけど今回の天魔王のビジュアル、面と向かったら絶対怖いから!これ、ダメでしょ、怖すぎるでしょ!(笑)」
さらに共演者には福士誠治、竜星涼、清水くるみ、三宅弘城、山本亨、梶原善というロングラン公演のラストに相応しい華やかな顔ぶれが揃う。
天海「ともかくお客様に楽しんでいただくことを一番に考えて、初日から千穐楽までしっかり務められるよう、がんばってお稽古をしようと思っております。もしかしたらチケットを取るのが大変かもしれませんが、最初からあきらめずにせめて1回はトライしていただきたい!5シーズン6チームの最後を飾るいいシメ方をしようと思いますので、ぜひ豊洲まで足をお運びいただいて、日本初の360度の劇場をこの作品で体感していただけたらと思います」
インタビュー・文/田中里津子
Photo /村上宗一郎
※月刊ローチケより転載
【プロフィール】
天海祐希
■アマミ ユウキ ʼ67年8月8日生まれ。東京都出身。ʼ87年、宝塚歌劇団に入団、ʼ93年に月組トップスターに。ʼ95年に退団以降は映像に舞台に、幅広いジャンルで活躍。劇団☆新感線には『阿修羅城の瞳 BLOOD GETS IN
YOUR EYES』(ʼ03年)、『薔薇とサムライ~GoemonRock OverDrive』(ʼ10年)、『蒼の乱』(ʼ14年)に出演している。