春の訪れと共にあの感動物語が再び!博多座に満開の笑顔が咲き誇る★
桜も咲き、春爛漫な季節となった3月30日。お天気にも恵まれ、花見で賑わう福岡市内では、その賑わいにも負けず劣らずの場所がもう1つ!博多座にて、舞台版『めんたいぴりり ~未来永劫編~』が開幕した。
本作は、福岡出身で今や朝のお茶の間の“顔”とまでになった博多華丸が主演し、博多土産の定番・辛子明太子の誕生と明太子作りに情熱を注いだ夫婦の生きざまを描いた作品。2013年にテレビ西日本がドラマを制作・放映し、2015年には続編とともに日本各地で大反響を呼び、同年3月には博多座で初舞台化となった。それから4年・・・。今年の1月には映画版、そして3月30日からは博多座にあの感動物語が帰って来た!!
今回の舞台版では「未来永劫編」と題して新しいエピソードが綴られ、キャストも一部新メンバーが登場!地元福岡の、そして芸人としても華丸の大先輩にあたる小松政夫をはじめ、華丸と同じ所属事務所の先輩の原西(FUJIWARA)、後輩のワッキー(ペナルティ)。また、藤吉久美子(久留米市出身)、川原和久(北九州出身)といった同郷の役者陣の他にも、相島一之や元宝塚歌劇団宙組トップスターの大空ゆうひといった豪華新メンバーが脇を固める。もちろん、ドラマ版のファンにもおなじみのキャストたちも登場し、パワーアップした『めんたいぴりり』が、ただいま絶賛上演中だ。
ローチケ演劇部では、初日前夜に行われた囲み取材会と通し稽古にお邪魔した。
■囲み取材会レポート
初日前夜の通し稽古前。報道陣を集めて舞台上で行われた囲み取材には、博多華丸をはじめ、出演者一同とドラマ版から脚本を手がけている東憲司が登場。初日を目前にした感想をメンバーが一言ずつ語った。
まずは、真面目な表情を浮かべつつも華丸からは、「いよいよ明日から開演…ということで、そのわりには緊張感がないという(笑)」との発言に、周りからはツッコミと笑いが起きる中、「…ということは?イイんじゃないかと!順調に来たんじゃないかと思っております」と語ると、小松政夫から「素晴らしいっ!」との声が。
続いて4年ぶりに博多座に帰ってきた酒井は、「また『めんたいぴりり』で博多座に立たせていただけることが嬉しいです。短めの稽古期間中で、最後は皆でギュッと集中して取り組んで、いいものが出来たと思っております」と笑顔で挨拶をした。
次に、ドラマ版には出演していたが舞台版は初出演となる小松政夫からは、「あのドラマからこんなに大きく花開いて、こんな素晴らしい劇場で、博多色いっぱいの中でやれること、お手伝い出来ることは博多の人間として幸せだなと思います。博多ってスゴイところだなと思って観て頂けたらと思っております」と、本作の舞台となった博多で生まれ育った真の博多っ子だからこそ、より感慨深い思いがありそうだ。
そして、久留米出身の藤吉久美子は、「ずっと出たかった博多座で、しかも地元の言葉でお芝居出来るので嬉しいですし、福岡弁が一番うまい女優になりたいという思いがフツフツと湧いてきています」と、やはり地元の舞台に立てる喜びが笑顔からもわかる。
また、藤吉と同じく博多座に立つのが初となる、ドラマ『相棒』シリーズでもおなじみの川原和久は、「僕は北九州の八幡出身なんですが、博多の夜にのみこまれないように自分を律し(笑)」との発言に、キャスト全員からの総ツッコミが。華丸からも「夜の話ばっかり!(笑)」と笑いながら鋭くツッコミまれた川原は、「ひたすら!ひたすら自粛し、『めんたいぴりり』に集中したいと思います(笑)」と挨拶。
今回で博多座の舞台は2回目となる相島一之は、「福岡に関係がある方たちに囲まれてお芝居が出来るのがすごく楽しいです。本当に素敵な、大好きな場所なので、そこで芝居が出来る喜びもあります」と語れば、元宝塚歌劇出身の大空ゆうひは「私は今回初参加ですが、映像などで見て大ファンになった、とても感動した作品の中で自分が生きられることが嬉しいです。この博多座は宝塚時代にトップのお披露目公演をやって頂いた、とっても思い出深い場所でもあるので、久々に来て鳥肌が立つような気持ちです。博多座のお客様にお会いできるのも楽しみ」と、今作に携われる喜びを噛み締めていた。
そして、キャスト陣の挨拶もまだまだ続くなか、こちらも博多座出演は初めてとなるFUJIWARAの原西からは、「今回、野々村という日本兵の役なんですけども、好評であれば秋頃には…スピンオフで野々村主演の舞台をやれたらと思っています!その時はまた皆さんもどうぞ!」と出演者も報道陣も驚く“野望”発言が飛び出し笑いを誘った。
一方のワッキー(ペナルティ)はというと、「そんな野望がある原西さんとWキャストをやらせて頂くんですが、楽屋が二人一緒なんです。さっき稽古が終わって、原西さんが『明太子食いて~』と言った瞬間に、このお芝居は大成功するな!と思いましたね(笑)。観ているお客さんも明太子食べたいな~と絶対に思うんじゃないかというくらい、素晴らしい舞台になっています。僕も気合を入れて頑張りたいです」と、気合十分のコメントで締めた。こちら動きのある芸でおなじみの二人がWキャストだけに、華丸との芸人同士の芝居上での掛け合いにも注目だ。
他にも、「僕自身、感動するシーンには出ていませんが、感動する舞台です(笑)」とオトボケ発言で舞台同様に場を和ませる芸人・ゴリけん。パラシュート部隊の斉藤優は「『もうすぐ(舞台)始まるね!』と、いろんな方から声をかけていただきます。『めんたいぴりり』は山笠・どんたくに続く福岡の三大行事の1つだと思っています!」と、周囲からの期待の高さを誇らしげに語った。
続いて記者からの質問で稽古の中で大変だった点を聞かれた華丸は、「出演者の半分が東京、半分が福岡在住ですので、稽古にはどうしても行ったり来たり…が発生しました。ゴリけんや優くんなんかは福岡で忙しく活躍していますから、なかなか稽古場に来れなかったりもしましたが、そこは代役を立てて稽古することが多かったですね。でも、おかげさまで…代役との息もピッタリで!(本人たち)いらないんじゃないか?ってくらいに(笑)」と、焦るゴリけんと斉藤優を横目に笑みを浮かべ、苦労した点も笑い話に。
一方、静岡県出身でありながら前作では見事な博多弁を披露してくれた酒井美紀は、「前作の時、本番は大丈夫だったんですが、最初の本読みで華丸さんが私の方言を聞いて『大丈夫かな?』と心配されていたと後から聞いていたんです。なので今回、一幕の本読みが終わった時に華丸さんから『大丈夫じゃん!』って言われて・・・」と話すと、すかさず華丸が「”じゃん!”とは言わん(笑)。コッチが(方言)忘れとるやん(笑)」と慌てて訂正を。そんな慌てぶりに酒井も笑いながら「”じゃん”は違いますね(笑)。博多弁でなんて言うんですかね?大丈夫だよってことをおっしゃってくださって!前回の記憶が体の中に残っていたのかな?と思いましたね。それで、ちょっとしたアドリブも、博多弁…使ってます!前回よりパワーアップしてます!」と自信に満ち溢れた笑顔をみせた。
最年長の小松政夫からは「博多弁については、目上の人への使い方、職業などでも使い方はいろいろ変わってきますが、みなさん合格点。とても勉強されたんだなと感心しました」と、ネイティブな博多弁を使う小松からキャストたちに博多弁の太鼓判が押された。
最後に華丸からは、「ソフトバンクホークスも、本日あと30分ほどで開幕を迎えてますし、4月1日には新元号が発表されます。そんな時代のターニングポイントで『めんたいぴりり』が偶然にも同じ時期に上演されることは、何か一つの後押しをされていると思いながら、千秋楽まで頑張っていきたいと思います」と、大好きな野球ネタを交えつつも熱い意気込みを語ってくれた。
■通し稽古 観劇レポート
前作や映画版とは違ったエピソードが綴られている本作。小松政夫の往年のギャグがあるかと思えば、Wキャストの原西の動きで見せるアノ笑いや、ドラマ版からのゴリけんや斉藤優たちと華丸との掛け合いもテッパンで、終始笑いが絶えない。そんな中、酒井美紀の発信で吉本新喜劇を彷彿とさせるような笑える場面も盛り込まれているのだが、これもなんなくこなしており、お笑いもこなせる酒井美紀の女優魂に驚かされた。囲み取材で彼女から語られたように、アドリブを博多弁で入れているというほど(2月の取材会でも語っていた)博多弁への不安は嘘のように、酒井の方言は全く違和感がなく、本当は博多出身では?と思えるまでナチュラルな域に達しており、前作同様とてもチャーミングな千代子を演じていた。
そして、最近ではドラマに映画にと役者として活躍も見せ、演技のキャリアを積み上げつつある華丸。2月に行われた取材会で酒井が役者・華丸のお芝居に関して、「前回、お芝居が自然で、本当にすごいなと思いました。役者ってどこか身構えてしまうところがあって、普通の空気感を出すのが大変なんです。でも、華丸さんは最初から力が抜けていて、本当にそこにお父ちゃんがいる!みたいな雰囲気があったんです。だから、今回はさらにパワーアップしていると思いますよ」と語っていたが、こちらもその言葉どおりだった。
めんたいこ作りに一生懸命でお金がない中、戦争で仕事もお金もなく彷徨う博多人形師・丸尾をはじめ、夢を諦めかけていた子供たちの担任教師、激戦地からの息子の帰還をひたすら待ち続けるおかみなど、様々な悩みを抱える人々に手を差し伸べる人情味あふれる主人公の姿。その立ち振る舞いも自然だからこそ余計に涙を誘う。
2月の取材会では華丸がこんなことも語っていた。「どこかで『(役者は)本業じゃない。何かあったら吉本の本社に逃げ込めばいい(笑)』とか、気楽な気持ちを持つようにしている部分があるのがいいのかな?と思いますね」。そんな謙遜な発言をしていたが、何事にも必死でまっすぐなお父ちゃん、主人公の姿は華丸自身に重なるものがあるからこそ自然な演技につながっているのかもしれない。そして、前作よりもさらに役者・華丸としての“自信”が、本人も気づかないところで演技につながっていたのではないかと思えた。
泣かせる場面の1つとして個人的に注目したのは、小松政夫演じる丸尾の場面。年齢を感じさせない軽やかな動きでギャグも披露してくれるのだが、そのギャップもあいまってだろうか、明るさの裏に隠された、ふとした哀愁漂う表情や姿を見ると胸を絞めつけられるような思いにかられた。
脚本と演出を手がけた東が『演劇の力を信じている』と語っていたが、お芝居以外にも今回は最後にスペクタクルなセットが登場。また、客席を舞台の世界観にグッと引き込むようなアッと驚く最後の演出まで、観客を楽しませてくれた。
人と人とのつながりが希薄化している現代とは違って、古きよき昭和の時代に生きた人々の人情味あふれる人との絆を描いた『めんたいぴりり』。平成という時代が終わる今、本作を観れば大いに泣いて笑って新時代を清々しく迎えられるだろう。次の時代に語り継ぎたくなる“博多愛”にあふれた人情物語。観終わった後、ちょっと人に優しく出来たらなと思えるに違いない。
今秋には東京・明治座でも上演が決定しているという本作。博多座での公演も折り返しとなり、いよいよ4月21日まで!博多が舞台の物語はぜひ博多で!!チケットはローソンチケットでも発売中です。