東京・明治座で2026年6月12日(金)より上演中の舞台『おだまり、お辰!』の合同取材会が公演に先駆けて行われた。
物語の舞台は、一足飛びに近代化が進む明治時代。気位の高い伯爵未亡人とその女中を中心に、恋の三角関係から四角関係、喧嘩しては仲直り、出会って別れてまた再会と、さまざまな人生の悲喜交々を描いていく喜劇作品となっている。
取材会には、藤山直美、高畑淳子、吉田栄作、ベンガル、岡本圭人、柄本明の6人が登壇。
個性的な役衣装での登場に、藤山は「なんの集まりかわからないような恰好をしておりますけれども、楽しくて仕方のないお芝居ですので、ぜひ明治座に足を運んで」と、ユーモアを交えてコメント。続いて高畑は「大阪・新歌舞伎座での公演を終えての、明治座。大阪でお客様から頂いた笑い声のパワーを東京でも起こせるように努めたい」と、笑いと熱気のある作品にしたいと話した。
そして吉田も「メジャーリーグのホームランのように、気持ちが晴れるような舞台にしたい」とあいさつ。ベンガルは「お客さんがとにかく楽しく喜べる芝居を目指して稽古してきました」と明かし、岡本は「喜劇初挑戦。不安はありましたが、大阪で喜劇の素晴らしさを実感しました」と、初めての喜劇を楽しんでいる様子。柄本は「(派手な衣装とメイクに)この顔ですから、何をどう言っていいのかわからないですが(笑)、劇場に足を運んでいただけると嬉しいです」と会場を笑わせた。
会見での各人の主なコメントは下記の通り。

■藤山直美
「なんの集まりかわからないような恰好をしておりますけれども、観ていただいたら楽しくて仕方のないお芝居ですので、どうぞ明治座に足をお運びいただきたく思います。
一座27名、ここに並んでいる役者以外の方もいらっしゃるんですが、もうフル回転なんです。本当なら60人体制のお芝居だと思います。(ここにいない方々も)本当にすごく一生懸命にやってくださって、その方たちに気持ちを動かされているのが私たち、みたいなところがあります。隅々まで見ていただけたら、感動していただけると思います。
私の役はこちらの奥様(高畑演じる伯爵夫人)に雇われているんですけども、ずっと故郷と母子の関係を引きずって生きているんですね。私はそこが、すごく良いことやなと思って、心地よく演じさせてもらっています。
いろいろと下を向いてしまうようなニュースがほとんどですけども、そういう時に演劇に来ていただきまして、楽しく微笑んで観て帰っていただけたら、本当に私たちの役者の使命が果たせるのではないかと思います。どうぞお越しいただきますようにお願い申し上げます」
■高畑淳子
「大阪の新歌舞伎座での公演が終わりまして、明治座での公演がスタートいたします。大阪では劇場に人が集って、笑い声が劇場の中にこだまするということがこんなに幸せなことなのかというくらい、もうお客様から力をいっぱいいただいて。笑いを浴びに来たような、そんな劇場っていいなと思いました。東京でもそういうことがまた起こりますよう、努めたいと存じます。
私の役は、皆さん力を合わせて世の中を良くしていきましょうとか、寄付をいただいて看護学校を作りましょうとか、良いことを言っているようなふりをしているんですけど……なんかすごい怒りん坊。きっとすぐ火種を起こすんでしょうね。その欠落しているところ、そういうダメなところが、ものすごく好きです。
ただ大阪で(たくさん笑っていただいて)ちょっと甘い汁を吸ってきているので、少し怖いんですけども(笑)。でも芝居の根幹は人と人が話して心を開いて、心を預けたりもらったりすること。そこに立ち戻ってやりたいです」

■吉田栄作
「僕の役は、藤山さんと高畑さんから思いを寄せていただくような役なんですけれども、ちょっとそのシチュエーションの中に裏があったり、その裏の裏があったりもしますので、その辺を見ていただきたいなと思います。
最近はいろんなことが世の中で起きていますが、メジャーリーグでポーンとホームランを打ってくれるとすごく気が晴れるように、この舞台を見ていただく皆さんにもそんな気持ちになっていただけるんじゃないかと思います。ぜひ明治座の方でお待ちしております。
僕の役は、16、17歳で大志を抱いて東京に出ています。まるで自分の過去のように感じながら、自分のライフストーリーとリアルに重ね合わせて演じている部分も、少しあったりします。人生いろんなことがあるっていうのが、今回の物語の面白いところ。なかなかいろんなことがままならなかったりとかしますから。
僕も明治座は初めてで、花道を使える舞台というのは、あまり出たことがないので。新歌舞伎座もそうでしたけど、明治座でもその花道を使って、走りまくりたいと思います」
■岡本圭人
「僕は喜劇が初挑戦で、稽古中は本当に怖かったんです。でも、新歌舞伎座で本当に温かいお客さんに恵まれてたくさん笑っていただいて、喜劇って本当に素晴らしいものなんだなと実感しました。生きていてちょっと大変だな、最近笑っていないなという方々には、本当におすすめしたい舞台です。
僕が演じる役はストーリーテラー的な役割で、舞台上からお客さんと会話をするんです。新歌舞伎座では、僕が語りかけると大阪のおばちゃんたちが『カレーパン食べた』『ビール飲んじゃった』とかどんどん返してくれて(笑)。毎回何が返ってくるか分からない怖さはありますが、本当に新鮮な気持ちで楽しんでやらせてもらっています。
最初にお話をいただいた時は、この大先輩方の中で自分がどうやっていくのか、圧倒されていました。自分自身の力ではどうしても敵わないんですけど、本番が始まってお客様の力をもらうことで、僕もこの大先輩方と同じ土俵にちょっと立てているのかな、なんて勘違いしています。
明治座は個人的にも大好きな劇場で、客席から舞台を見ることが楽しみの一つでした。まさか自分がここに立てるなんてと、ものすごく楽しみにしています。花道からの登場もありますので、普通の舞台とは違ったお客様との近さを感じながら、しっかり努めたいです」

■ベンガル
「大阪と東京だと、笑いのツボが、だいぶ違うところ、ちょっと違うところとっていうのもあると思うんです。東京での公演の中で、お客さんとの様子を見ながら、少しずつ変わっていくんじゃないかなと思っております。
大阪ではもう私たちを盛り上げに盛り上げて、どんどん有頂天にさせてくださいました。ですので、このまま東京の皆さんにもお見せして、心から楽しんでいただければと思っております。
ただ、感じ方は百人百様なので、僕らから『ここが見どころ』ということは言えませんが、こうやって(メンバーを)見てみると、なんか恐ろしい芝居だなという感じがします(笑)。ぜひお楽しみください。
私の役は、奥様に従順な執事の役です。僕が出る舞台は大体チャーミングな人がいつも周りにいて、『自分もチャーミングに見えるようになりたい』と思って勉強させてもらっています。今回も皆さんがすごくチャーミングなところをいっぱい持っていらっしゃるので、そういうところを盗んで、自分もチャーミングに見えるようにいつも勉強して、努力しているつもりです。
こうやって6人がこの格好になると、『どんな芝居なの?』と皆さん思うでしょうけども、とにかく私たちはお客さんが楽しく喜んでいただける芝居を目指して稽古を重ねてきました。ぜひ明治座にお越しください」
■柄本明
「大阪と東京で違いはあるのかもしれませんけど、自分として努めたいと思うのは、座長(藤山)がこういう方ですから。やっぱり芝居は『生もの』で、そこで生きる、その瞬間を生きるんだというところを忘れないでやればいいのかな、と思っています。
役は、金貸しの役をやらせていただきます。一生懸命やります。いつもそうなんですけど、役をいただいて、その役をしましょうとなっても、実はその役のことがよく分からない。変な言い方なんですけど……(演じるので)分からないことはないんだけど、やっぱり分からないんです。だからいつも思うのは、その『分からない人』を探す旅に出たんだな、そんなことを思いながら、一体どんな人なんだろうと本番でもやらせていただいています。
まあ、こんな顔ですから(笑)。何をどう言っていいのか分からないんですけど、まあ、観ていただければ分かりますので、とにかく色んな方に劇場へ足を運んでいただけると嬉しいです。何卒皆様のお力もお借りしまして、よろしくお願いいたします」

明治座公演『おだまり、お辰!』は2026年6月12日(金)~21日(日)まで、東京・明治座にて上演中。
取材・文・撮影/宮崎 新之
