3月31日(土)に2018美輪明宏版「愛の讃歌~エディット・ピアフ物語~」が開幕しました。
歌と愛に生きたエディット・ピアフの波乱万丈な生涯をドラマティックに描き、タイトルロールの「愛の讃歌」をはじめとするシャンソンの名曲を主演の美輪明宏が迫力の美声で披露し、観客を魅了しました。
撮影:御堂義乗
【STORY】
<第1幕>
1930年代、パリのいかがわしげな下町。エディット・ジョバンナ・ガシオンは街角で歌い、妹のシモーヌ、娘マルセルとの生活費を稼いでいた。彼女の歌声はどの辻でも人垣が出来るほど魅力的だったが、今は生きるための掏りの片棒を担ぐ羽目になっていた。そんな彼女の歌を、高級クラブの経営者ルイ・ルプレが聴いていた。彼女に大きな才能を見出したルプレは、自分のクラブへの出演を持ちかける。迷いながらも申し出を受けた彼女に、彼から新しい名が贈られた。“ラ・モーム・エディット・ピアフ(小雀エディット)”。
上流階級の人々が集うクラブで彼女が歌い終わると、一瞬の静寂の後、割れるような喝采が沸き起こった。「天才!聖なる怪物。女王ピアフ!!」と。
だが喜びは束の間だった。ルプレが何者かに殺害され、第一発見者のエディットに容疑がかけられたのだ。評判は地に落ち、追い討ちをかけるよう愛娘のマルセルが病死。残されたのは歌だけだった。
再び街角で歌い始めたエディットを救ったのは、作詞家レーモン・アッソーだ。アッソーはエディットの恋人になり、彼女を一流の歌手にすべく教育する。一流クラブの舞台を手配し、作曲家マルグリット・モノーを紹介するなど勢力的に援助するアッソー。第二次世界大戦が終わる頃、エディットはスターの座に君臨していた。
<第2幕>
そんなエディットをマネージャー、ルイ・バリエの紹介だと言い、売れない歌手イヴ・モンタンが訪ねて来た。ほどなく2人は恋に落ち、エディットはモンタンに歌に必要な「心」のこと、「愛の歌」の必要性を説く。かつてアッソーがしたように、今度はエディットが若手を育てる番だった。
時が経ち、エディットは新たな恋人の存在で世間の耳目を集める。相手は妻子あるボクシング世界チャンピオン、マルセル・セルダン。2人は地位や名声をかなぐり捨て、その人自身を愛した。ところが、リサイタルを控え一足先にパリに戻ったエディットが聞いたのは、マルセルの乗った飛行機が墜落した知らせ。彼への思いを綴った詩に、マルグリットの曲で、新曲『愛の讃歌』が完成した矢先のことだった。荘重な愛の歌はマルセルに捧げる弔歌になってしまう。
<第3幕>
50年代、マルセルを失ったエディットはぼろぼろだった。膨大なギャラは酒と麻薬、そして治療代に消え、取り巻きで一杯だった自宅も今は誰も訪れる気配がない。唯一そばに残ったのは、シモーヌ、マルグリット、ルイ・バリエの3人。だが、彼等は知っていた、
自分たちだけではエディットを立ち直らせる事ができないことを。自分のためだけでは生きる価値が見出せない彼女は常に誰かを愛し、その愛こそが彼女の生き甲斐になる。彼女には愛が必要なのだ。
そこへギリシア人の青年テオ・サラポが現れた。親友3人の願いが叶い、2人は愛を育み始める。21歳の年齢差をものともせずに、「名声ではなく1人の可愛い女を愛している」と純粋な愛を誓うテオ。そしてエディットはテオを歌手にしようとレッスンを始める。やがてテオのデヴューとエディットのカムバック・リサイタルが実現。そして、結婚。
新聞は“オランピアの奇跡”と書きたて、全ては再び順調に回り始めたかのように見えたその時、エディットが再び倒れる。自分の残り少ない時間をテオのレッスンに当て、彼女は生まれて初めて神に祈る“彼を素晴らしい歌手にして欲しい”と。彼の歌に語りかけるエディット。「もっと愛を!そうよ、そうよ・・・」。