THE CONVOY SHOW vol.37『星屑バンプ』出演メンバー7名 インタビュー

1984年に結成し、歌、タップ、ダンス、芝居とあらゆるエンターテインメントを現在まで繰り広げ続けてきたパフォーマンス集団、THE CONVOY SHOW。2017年の初演、昨年の再演と好評を博し、近年の代表作ともいえる「星屑バンプ」が、新メンバーを迎えて上演されることになった。連日の稽古の合間を縫い、今回はフルメンバー揃ってのインタビューを敢行。それぞれの胸中を語ってもらった。

 

――今回で再々演となりますが、公演に向けて今どんなお気持ちですか?

瀬下「最高です! メンバーも変わっているので新作の気持ちでやっていますけど、自分がこの作品が大好きなので幸せですね。」

本田「もう、待ってました!という気持ちです。」

今村「「星屑バンプ」という作品は、僕にとっても印象深い作品ですが、やるたびにメンバーが変わっているので、今回も新作のような感じで取り組んでいるというのが本音ですね。今回の「星屑バンプ」が、今の段階だったらどういう作品になるのかな? と、ワクワクしています。僕は“星屑ニューバンプ”って言っているんですけど、前よりももっといいものになると思っているので。メンバーそれぞれ成長してきていますし、トクちゃん(トクナガクニハル)と(バーンズ)勇気が新しく入って、俺たちが見たことのない景色を稽古の中でも見させてくれている。自分で作っておきながら、改めて「星屑バンプ」ってコレだったのか!と感じさせてくれるんですよ。作品って終わりはねぇな、って思いましたね。今までの「星屑バンプ」とは比べ物にならないようなものになると確信しています。」

加藤「僕は再演が初めての「星屑バンプ」への参加で、ちょうど1年くらいの早いタイミングでもう一回できるというのはびっくりしました。前回は必死すぎてしまったので、また新しい挑戦を今回はしていきたいなと思います。」

バーンズ「僕は今回が初めて。最初に台本を読んだ時に自分と重なる部分じゃないけど…僕自身、一度お芝居やダンスから離れたことがあったので、感じ入る部分はありました。オーディションで歌った曲が、泣きそうになるくらいフィットしたんです。再スタートという部分で燃えるような気持ちはあります。ジャズダンスもタップも初めて挑戦するので、苦戦しているところもあるんですが、皆さんに見せたいという気持ちも大きくて。楽しみですね。ワクワクしています。」

トクナガ「54歳の新人、トクナガでございます(笑)。この年齢でまさか新人になるとは思いませんでしたけど、本当に心機一転。ゼロスタートから始められて、本当にシンプルで誰もが胸を打つ、誰もが共感できる、人生のバイブルのような作品に携われる喜びを感じています。いや、大げさじゃないですよ? とても素敵なメンバーなので、そこで揉まれながら、日々楽しく、飛躍して取り組めたらと思います。」

伊藤「僕は3度目になります。でも皆さんの言葉を借りているような感じになってしまいますが、「星屑バンプ」は演じていても大好きな作品なんです。それを3度目の正直じゃないですけど、また劇場でお届けできるというのはとてもうれしいこと。今回ならではの新しい発見をして、その良さを初めての方にはもちろん、以前にご覧いただいた方にもお伝え出来ることが楽しみでしょうがないですね。」

――星屑バンプは愛される理由は、どんなところにあるでしょうか? まずは再演組のみなさんからお聞かせください。

瀬下「最近のコンボイはおっさん集団としてやってきた部分があるんですけど、若い人と一緒にやることになって、それをねずみさんが「こういう奴が来るなら、こう書こう」ってやってくれて。お互いからみたギャップとかを書いてくれてるんですよ。僕ら目線から出会ったり、若者目線からであったりとか。」

今村「大人も子供もないっていうことなんですよね。結局は。」

瀬下「そう。僕らも若者も目指すところは一緒だし、やっていることは一緒なんですよ。だからどのお客さんが観ても共感できるんじゃないかな?」

本田「ねずみさんは、どうやって書いたのかな?って思いますね。僕らの気持ちも表現されていて。初演で引っかかった言葉、再演で引っかかった言葉っていうのがそれぞれあって、今回は今回でまた違う言葉が引っかかったりして。男の子、女の子、職業…その時のネガティブな気持ち、いいことがあった嬉しい気持ち、本当にその時の状況で、「星屑バンプ」の見え方って変わってくると思うんです。そこが何よりの魅力なんじゃないかと、今の僕は思います。」

伊藤「演じ手が楽しんでいる姿が見えるのは、特殊なのかな?とちょっと思ったりします。勇気くんが言ってくれたように、「星屑バンプ」の内容が僕ら役者と被る部分がすごく多い作品。3回目となると、セリフからコンボイの皆さんの顔がパッと浮かびますし、僕らも普段の僕たちと同じようなテンションで行ける。その姿を舞台上で見せていける、表現していけるんです。ぶつかったり、気持ちを吐露したりがあまりにもドキュメントなんですね。そこが魅力に映るかもしれないですし、僕らがこの作品を好きで届けているというのもあるんじゃないかな?」

加藤「セリフのひとつひとつが刺さるんですよ。どんな仕事、どんな年代の人でも刺さる言葉がちりばめられていて、必ず何かを確実に、得て帰れる。その中に最高のエンターテインメントがそこにあるんです。実際演じていても、グサグサくるんですよ。」

 

――今回から参加した2人は新鮮な気持ちで稽古に臨んでいると思いますが、どこに魅力を感じますか?

トクナガ「新人なんで、ちょっとよくわからないところもあるんですけど(笑)。予想はあるんです。人って、生まれるじゃないですか。人には歴史があるんです。一人じゃ何もできないけど、人が必然に出会って、ドラマが生まれる。「星屑バンプ」はそこがものすごく引っかかっていて、人々のドラマを背負いながら共感せざるを得ないくらいにお互いの気持ちを理解していくんです。そして、世界を広げていく。ものすごく深い友情というか、人と人が支え合う話なんです。僕もこの中で支えられるように、頑張っていきたいですね。」

バーンズ「普段から、僕は年上の方と一緒に居ることが多いんです。「星屑バンプ」の現場でもそうなんですが、対等におふざけをしてくれる方ってすごく好きになっちゃうんです(笑)。僕の中では皆さんにリスペクトがある、だからこそ余計に。そういう部分が舞台の上でもリアルにあるんですね。なかなか本気でふざけるってないじゃないですか。そういうのを観ていると嬉しい気持ちになりませんか? それを皆さんにお届けできるというのが新鮮だし、魅力的ですよね。」

――今村さんは「星屑バンプ」にどのような想いを込めているのでしょうか?

今村「星っていっぱいあるじゃないですか。これだけあるのに、もしかしたら同じ星を見ている人がいるかもしれないぞ?と思ったんですね。理由は無いけど、好きだからとか気になるからとかで、星を見ている。同じ星を見ている何人かがいたとしたら、そういうものに対して正々堂々と好きだとか気になるとかを宣言して、そこに向かっていくような、そういう図太い作品を作りたかった。それがこの作品の始まりなんです。後追いで、よく考えてみたら、ですけど。大声だして「俺は好きだ!」「夢を叶えるぞ!」ってね。いくつになっても夢を持っている人は持っているし、向かっている人は向かっている。それは若い人でも年取っててもね。絶えず生きている。そういうのがいつも頭にちらつくんです。それを台本にしたら、若者とおっさんのコラボレーションで、こうなっちゃったってことなんですね。「夢が叶う」とか薄っぺらい言葉かも知れないけど、それを言い続けることが僕らのエネルギーになる。今回はそこを真正面にみんながやる。若いとか年寄りとか関係なくね。それが「星屑バンプ」なんじゃないかな。」

 

――世代の違う人々の交流が大きなポイントになりますが、若い世代の4人からみて、おじさんたちの魅力はどう見えている?

瀬下「それ、ちょうだい、ちょうだい!(笑)」

今村「(笑)」

トクナガ「かわいいとことかか?(笑)」

バーンズ「(笑)。でも、本当にそのままというか…アドバイスもスパイスもあったりするんですが、たまに面白いことを言ってくれたりとか。稽古に入って1週間ですが、ファミリーのような、気持ちをリラックスできる部分があるんです。もちろん、バシッと決めるところは、決めるし。そのギャップがすごく魅力的です。」

本田「もう、理想でしかないです。こうなりたい、こうありたい、という。理想という言葉に当てはまるもののすべてが詰まっているんです。役者として。言葉にするとなんだか軽くなってしまうかもしれませんが。汗だくになっている姿も、次の日にボロボロになっている姿も、カッコいい。昨日の稽古でのことなんですけど、休憩中に芝居の流れのまま、皆さんだけで続いていて、全く新しい芝居ができ上っていたんですよ! それを見て、こういう役者さんになりたいと本当に思いましたね。それが本番に乗るかはわからないけれど、あの場面を稽古場で見れる自分たちってとても贅沢。幸せな瞬間を見られました。」

伊藤「語弊がある言い方かもしれませんが、遊び方を教えてもらっているような感じなんです。さっきのエピソードもそうですけど、休憩中に遊びながら何かが生まれているんです。それが作品になるときもあるし、その次の何か新しい階段を上るようなことになっていたりもするし。50代、60代の方に僕らが遊びを教わっているシチュエーションって、ものすごく面白いなと思いますね。」

加藤「すべてにおいて、全力で楽しむっていう姿を僕たちは見せてもらっていて…そこがカッコいいですね、本当に。(隣の今村をちらっと見て)カッコいいですね。」

一同「(笑)」

加藤「本当に、一度稽古場に来てくださいよ!見たらわかりますから。とにかくカッコいい。それがカッコつけているとかじゃなくて。自然に僕らも頑張らなきゃな、ってなる感じなんですよね。」

――今回の作品には戦隊ヒーローが登場します。皆さんが考えるヒーロー像とはどういうものですか?

今村「うーん、僕らの世代はウルトラマンとか仮面ライダーとかになるのかな? ヒーローという枠組みではちょっとおかしいかもしれないけど、西城秀樹さんは僕にとってヒーローでしたね。ダンサーとして一緒にやっていたりとかもしたんですけど…本当に失礼なんですけど、亡くなってからヒーローだったな、と思って。スーパースターだったな、と。長嶋茂雄さんとかもそうですね。何か、みんな託すことができる人なんですよね。「彼らになら…」ってね。ウルトラマンにはなれないけど、自分に置き換えたらこうかな?とか考えられる。まったくかけ離れたものじゃないんですよね。」

加藤「僕はキングカズ(サッカーの三浦知良選手)。」

今村「俺、キングカズのジャージ持ってるぜ?」

加藤「うぉおお!マジですか! すげぇ…いいなぁ。やっぱカッコいいですね(笑)」

トクナガ「女性に対して、カワイイななんて思うことあるじゃないですか。こう、ハートマークに。そういう感じで、女性じゃなくてハートマークになっちゃう人が他にもいるんです。プロレスラーなんですけどね。」

一同 「(笑)」

トクナガ「アントニオ猪木とかね。中学の時にマジでお袋に「プロレスラーになりたい」って言って、やめなさい、って言われたんですよ(笑)。でもそれくらい好きだった。プロレス会場に観に行って、猪木カッコいいなーなんて思って。当時の付き人が長州力さんとか藤波辰爾さんとかで、俺が猪木さんに近づいて行って「猪木! 俺と勝負しろ!」って言ったんです。で、若手だった長州力さんに「お前何やってんだ!」ってエルボーを食らった瞬間に、この人もカッコいい…!って(笑)」

瀬下「僕は昔からロックが好きだったので、ロックスターですね。今、また流行ってますけどクイーンのフレディー・マーキュリーとか。KISSとかエアロスミスとかその世代だったんですけど。暴れん坊のロックスターも多くて、そういう破天荒な洋楽のロックスターは憧れましたね。日本だとB’zさん。コンボイを観てくださって、僕らもコンサートに行ったんですけど。同年代なんですよね。「オラ、行くぜ!」って言って、声援を受けてる姿を見たら本当にカッコよかったな。」

バーンズ「僕は…マイケル・ジャクソン。動画サイトであるアワードのショーをやっているところを見たんですけど、マイケルにスポットが当たって踊り始めたときに、お客さんが2人くらい気絶してるんですよ。周りなんてどうでもよくなって、とにかく「マイケル!!」ってなっている姿を見て、ものすごくウワーッとなりました。」

本田「これ言っちゃうと、変な感じになりそうですけど…コンボイです。」

一同「ウェ~イ!」

本田「いや、そうなるじゃないですか(笑)。でも、本当に真剣に考えたんですよ。ちょっと生意気に聞こえるかもしれないんですが、僕は舞台に立つうえでは全部背負って立つべきだって思っているんです。いろんな人が関わっているんだから、その全部の責任を背負って立つ、と。でも「asiapan」の時に、「あ、ムリだ」と思っちゃったんです、正直。これは、とても背負いきれるものじゃないと。その時にタップや芝居とかで、皆さんが引き上げてくれるんです。”ほら、来いよ”って。そうやって背中を押されて、前に立たせてもらっている。それを感じたときに、ヒーローだなと思いました。今思い出して、泣きそうになってきた(笑)。忘れらんないんですよ。」

伊藤「僕は具体的な名前は浮かんでこないんですけど…。でも、出会った人たちに恵まれていると思うんです。基本、みんなスゲーなって。今回も、この中で一番年下なんですけど、今までであってきた人、コンボイさんも含めてみんな、あんなふうになれたらいいなという憧れがあるんですね。その背中を見せてくれている先輩たちが僕の憧れで、あんなふうに強くなりたい、あんなふうに歩いていきたい、どんな道でも歩いていくんだな、と。先輩はみんなヒーローです!」

 

――最後に今村さんに、公演に来られる方にメッセージをお願いします!

今村「再々演になりますが、やるたびにメンバーが変わり、そのたびに作品が一味も二味も違う感じになっていますが、今回はさらに、もっと違う“星屑ニューバンプ”をお届けできると思っています。ぜひ劇場でお会いできることを楽しみにしていてください!」

 

取材・文/宮崎新之