『渦が森団地の眠れない子たち』藤原竜也×鈴木亮平 対談

劇団モダンスイマーズの蓬莱竜太が作・演出を手掛け、藤原竜也と鈴木亮平がダブル主演で小学生を演じる“団地大河ドラマ”『渦が森団地の眠れない子たち』が今年10 月上演されます。
藤原竜也と鈴木亮平の同級生コンビが舞台で共演するのは10 年ぶり。脚本がまだ完成していないなか、ふたりに話を聞きました。

――脚本・演出の蓬莱さんと藤原さんと鈴木さん、3人で食事会に行かれたそうですね。

藤原「食事会というか、なんだろうね、あれは」

鈴木「食事会」


――(笑)

鈴木「僕は蓬莱さんとは初めてなので、僕の人となりを知って頂いたり、竜也くんは団地で育ったのでそのエピソードを話したりっていう、そういう時間でしたね」


――鈴木さんは蓬莱さんとお話ししてどうでしたか?

鈴木「蓬莱さんは地元が近くて、年齢もそんなに離れていないので(鈴木は83年生まれ、蓬莱は76年生まれ、共に兵庫県出身)、わりと同じ世界の中で育ってきた人なんだなという感じはしました」


――藤原さんは2013年に上演された『木の上の軍隊』で蓬莱さんの本(原案:井上ひさし)を演じられていますが、作品の魅力はどこに感じていますか?

藤原「物語のつくり方が優れているということと、お客様に対して、いろんな変化球なんだけれども強く訴えかけるメッセージを与えるところですね」


――今回も書き下ろしということで楽しみですね。

藤原「今回、失敗したら大変だよね(笑)」

鈴木「全部蓬莱さんのせいにしよう(笑)」

藤原「でもやっぱり10割バッターはいないんだから、ここらへんで躓いてもいいかもしれない(笑)」

鈴木「なんだったんだあれ?って」

藤原「そういうのがいいよね。皆さん期待して観に来てくださるでしょ?亮平と僕だって10年ぶりの共演だし、どんな芝居を見せてくれるんだろう?って思うだろうけどさ。『本は大したことなかったね!』って(笑)」

鈴木「(笑)。逆の可能性もあるけどね。本も演出もいつも通りよかったけど、なんだあのふたり?って(笑)」

藤原「そういうのがあってもいいよね、1本くらい(笑)」

鈴木「……俺、年に1本くらいしか舞台やらないんだからさ!」

一同「(爆笑)」

鈴木「成功させたいよ!」


――(笑)鈴木さんは蓬莱さんの作品にどんな印象をお持ちですか?

鈴木「素晴らしいです。とにかく台詞がすごい。センスもすごいですし、考えられていますし。“伝えたいこと”をハッキリとわかりやすく見せるのではなく、その一歩手前で止める。だけどしっかり伝わるし、と同時に想像の余地も残してくれる。そういうバランス感覚がすごいですよね。話の切り口も、奇をてらっているわけじゃないけど、すごいくうまい。蓬莱さんの作品は心から『素晴らしかった!』と言えるものばかりです」


――おふたりも10年ぶりの共演ですが、どう感じていますか?

藤原「10年ぶりに舞台でこうしてガッツリ組ませてもらえるのはね。頼もしいです、亮平の存在が。苦労しながらみんなでいい稽古期間になればいいいなと期待しています」

鈴木「10年前は僕はこの仕事を初めて数年という頃で、竜也くんを見て勉強している立場でした。今回ふたりで並んでやらせてもらえるということで、自分の成長も見せたいですし、竜也くんの剛速球や、ときには暴投も、バシッと受け止めてうまいこと投げ返していけたらいいなと思います。キャッチャー的な存在でいい仕事ができればなと思いますね」


――今作は、おふたりとも小学生役ですが、それを知ったときはどんな心境でしたか?

鈴木「意外と僕の中では『小学生か』くらいでした。小学生は経験してきているので、あの頃を思い出せば、いけるんじゃないかなって。皆さんは身体の大きさとか顔の老け方とか気になるんでしょうけど、僕からは見えてないので。(笑)心が戻れば、僕の中で違和感はないです!」

藤原「僕は、蓬莱さんが何を思って、僕と亮平で小学生というイメージが湧いたのか、蓬莱さんがここで描きたいテーマはなんなのか、ということは考えます。それは本を読まないとわからないから、早く知りたい。何を思って団地なんだろう、とか」

鈴木「僕は竜也くんを見ていて思いついたんだと思いますけどね。小学生だな…って。なかなかいないですもん、こんな童心を持ち続けている人は。しかもちょっと王様気質。今のところ、竜也くんの役どころはキングですから。キングといったら僕の中では藤原竜也さん」

藤原「カズじゃないの?」

鈴木「カズと並びますよ!」


――鈴木さんは今のところ、どんな役どころなのですか?

鈴木「僕は、そのお気に入りの部下です。右大臣みたいな感じ。まだわからないですけどね」


――おふたりはどんな小学生でしたか?

藤原「僕は埼玉の秩父の山奥で育ったので、絵に描いたような小学生でした。田んぼでザリガニとったり、川で鮎を釣ったり……」

鈴木「そんな小学生いないよ!昭和初期ですよ」

藤原「ほんとにそうなんだって!」

鈴木「なんか話してるとジェネレーションギャップを感じるんですよ。同い年なのに!」

藤原「(笑)」

鈴木「僕からはこんなエピソードは出てこないですよ。学校終わって学童終わったら、暗くなるまで草野球しているような普通の小学生でした。賑やかし役で、うるさかったと思います。明るくてバカでしたね。でも皆さん、小学生役ということでコメディを想像されていると思いますが、そうとは限らないのでね。プロット(あらすじのようなもの)を拝見する限りでは、けっこう権力闘争とかもありそうですし」

藤原「今こうやって話していることも、まったく関係ないかもしれないですから。そうなると今日のこの取材は無意味ですね(笑)」

鈴木「(笑)皆さん宣伝してくださるんだから、無意味じゃない」

藤原「真逆の本になる可能性ありますから」

鈴木「いきなり首掻っ切られるかもしれないしね」

藤原「でも企画としては本当におもしろいと思います。キャストに関しても、蓬莱さんは『この芝居に有名人はいらないんだ、実力者だけを揃える』『力のある俳優に直接声をかけて集める。彼らにとってもビッグチャンスだろうし、いい芝居をしてのし上がるための土台をつくるんだ』と言っていました。いい化学反応が起きると思います」


――最後にお客様に期待してほしいことがあれば教えてください。

藤原「お客様に絶望を、というテーマで」

鈴木「(笑)それはどういう意味ですか」

藤原「期待して観に来て、肩を落として帰っていく。それぐらいの意気込みで臨みたいと思います。お客様に、絶望を(笑)」

鈴木「舞台やりすぎておかしくなってる。宣伝の仕方がわからなくなってる」


――(笑)

鈴木「僕はちゃんとしたことを言いますよ。やっぱり竜也くんとやる以上は、僕と竜也くんが持っているものが全力でぶつかっている様をお客様に見せなければいけないと思っています。子供というフィルターを通した、人間のいいところも悪いところもお見せします。同い年の役者同士で芝居をぶつけ合って、火花が散ってるのを見ていただけたらと思います!」

藤原「そこまで意気込み語るけど、全然そんな本じゃないかもしれないからね!(笑)」

 

インタビュー・文/中川實穂