『桃山ビート・トライブ』山本亮太&原嘉孝 WEBインタビュー

安土桃山時代に三味線&笛&太鼓&舞いで魅了するロックバンドがいた!? という、史実をベースにした奇想天外な物語『桃山ビート・トライブ』(原作・天野純希)。
“もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ”の一環として2017年に舞台化され、躍動感溢れる演出も話題を呼んだ同作が、『桃山ビート・トライブ~再び、傾(かぶ)かん~』として帰ってくる。

主人公の一人である破天荒な三味線弾き・藤次郎を演じるのは、初演からの続投となる山本亮太(宇宙Six/ジャニーズJr.)だ。

山本「ジャニーズ以外の作品で初座長を務めるということもあって、初演ではとにかくプレッシャーが強かったです。周囲のアドバイスを日々真摯に受け止めながら、ひたすら藤次郎として突っ走っていた記憶があります。そんな僕の背中を見守ってくれたキャストの方々に『亮太が座長でよかった』と言っていただけたのが、初演の一番の思い出です。とにかく仲のいい座組で、みんなでたくさん意見を交わしながら魅力ある作品にできたことも、今回の再演につながったのではないかと思います」

そしてもう一人の主人公である、出雲のお国一座出身の笛役者・小平太を演じるのは、昨年の新感線☆RS『メタルマクベス』でやはりジャニーズ以外の舞台に初挑戦し、注目を集めた原嘉孝。初演の目黒蓮に続き、山本と同じ宇宙Sixからの抜擢となる。

「初演を観させていただいたときに、時代ものなのに重きを置くポイントが音楽というユニークさや、脚本の面白さにまず惹き込まれました。音楽ありダンスあり笑いありで飽きさせなかったですし、最後には僕もお客さんと一緒に泣いてしまいました。そんな作品に出られるということで本当に光栄です」

同じグループのメンバーでW共演、さらに小平太役をメンバー間で引き継ぐということもあり、互いにさまざまな思いをかみしめているという。

「初演では亮ちゃん(山本)本人の熱いキャラクターがすごく藤次郎にハマっていて、いつもの亮ちゃんのようでありながら、板の上で藤次郎として生きているということに不思議な感覚を覚えました。同じグループの仲間ですが、あの演技にはかなり刺激を受けました」

山本「それは素直にうれしい(笑)。原のほうは目黒から役を引き継ぐにあたって、越えなければいけない壁がいろいろと出てくるとは思います。小平太はどちらかというと気持ちを抑えがちな、この物語の中ではある意味すごく“普通の人”。今まで彼がお芝居で演じてきたキャラクター性が強かったり、ストレートさが魅力な役とはかなり違います」

「そんな小平太という人物を演じることも、僕の中では一つの挑戦といえます。今回、目黒と僕が同じ役を演じることになって、目黒にも最初に小平太を演じた意地があるでしょうし、僕も目黒とは違う小平太を見せなければというプレッシャーを感じています。予習をしようと原作も読みましたが、初演での目黒の小平太が頭の中にチラつくので困ってしまいました(笑)。ただ、役をいただいたからにはまっとうしなければいけないですし、この再演で自分なりの小平太を演じることが座組のいいスパイスになって、初演とはまた違った見方をしていただけるならうれしいです」

藤次郎と小平太は、織田信長の元家臣である太鼓の名手・弥介(副島淳)、天才的な踊り子・ちほ(Elina)と“藤次郎一座”を結成。型破りなステージで世の人々を惹きつけていく。
4人は庶民への支配を強める豊臣秀吉(本間剛)に対し、音と踊りの力で立ち向かおうとするのだが…。

山本「同じ一座の副島くんの第一印象は『デカい! 怖い!』(笑)、Elinaさんのほうは寡黙で、稽古場でもストイックにダンスに集中している印象が強かったです。稽古がスタートした頃に『一度、4人でメシに行かない?』と誘って、そこで腹を割って話したら、副島くんはすごくおおらかでフレンドリーな人柄ですし、Elinaさんは演技やダンスについて熱いものを持っている人だとわかって、あっという間に打ち解けました。今回は原が加わりますが、一座の4人にしかない関係性や絆の見せ方も物語のカギになってくると思います」

「副島くんはいい意味で予想を裏切るようなギャップが魅力的な役者さんだと思います。そして僕らも歌やダンスを仕事にしてきましたが、小さな体であれだけのダイナミックな表現ができるElinaさんのダンスには本当に衝撃を受けました。他にもジャニーズの大先輩の佐野瑞樹さんも出演されるので、心強いです」

山本「初演では悩むことも多かったので、佐野さんや山崎樹範さんといった先輩方にいろいろなアドバイスをいただけたことも励みになりました。これまでたくさんの作品に出させていただきましたが、この作品で芝居に向き合う気持ちも変わったと思います」

本番に向けてテンションを高めているという2人に、教科書では描かれない歴史の興味深いできごとにスポットを当ててきた、同シリーズの魅力についても聞いてみた。

「学生の頃は歴史の授業をあまりきちんと聞けていなかったのですが、このシリーズで歴史の面白さに触れることができました。たとえば学生さんがこの作品で歴史の授業を楽しめるようになったり、観ていただく方にもこれまでと違った視点から歴史に興味を持ってもらえる機会になればと思います」

山本「僕もこれまで歴史にはあまり詳しくなく、ゲームで親しんできたくらいでした。初演のときに石田三成のお墓や、作品ゆかりの地に足を運びましたが、実際の現場に立つことで、戦乱の時代の空気がリアリティを持って感じられる部分がありました。作品を通して、平和な今に暮らせるありがたみを伝えるのも僕たちの役目なのかなと感じています」

初演で豊臣秀吉を演じた山崎樹範が一座の恩人となる林又一郎を演じるなど、内容も一部リニューアルされており、「再演ではなく、あくまでも新作の感覚で臨みたい」(山本)と語る。

山本「登場人物たちの一つ一つの出会いがパズルのように組み合わさって、思いもよらない方向に物語が転がっていきます。作品自体が持つ面白さもありますが、初演よりグレードアップしたものをお見せできなければ、僕たちが選ばれた意味がないとも思います。自らにプレッシャーをかけつつ、頑張ります!」

「音楽やダンスの要素が入り混じったライブ感のある演出など、この作品が持つ楽しさも満喫していただきつつ、最後には僕らの芝居でちゃんと泣かせたい!というのが目標です」


【プロフィール】
山本亮太
■ヤマモトリョウタ ’89年、千葉県生まれ。ジャニーズJr.のユニット・They武道を経て、’16年に宇宙Sixを結成。グループ全員で劇団・30-DELUX とのコラボ作品に挑戦するなど、舞台にも精力的に出演している。

原嘉孝
■ハラヨシタカ ’95年、神奈川県生まれ。宇宙Sixのメンバー。’15年にドラマ『お兄ちゃん、ガチャ』(日本テレビ)に出演し話題に。昨年の新感線☆RS『メタルマクベス』disc2ではレスポールJr./元きよしの二役を演じた。