Takayuki Suzui Project Vol.5 OOPARTS「リ・リ・リストラ~仁義ある戦い・ハンバーガー代理戦争」鈴井貴之 インタビュー

OOPARTSの第2章の始まりとなる舞台


鈴井貴之が手がけるソロプロジェクト「OOPARTS」。これまでに演劇作品4作を生み出してきた鈴井だが、OOPARTSでのモノづくりの魅力をどんな点に感じているのだろうか。

鈴井「正直、毎回手探りで作品に取り組んできたのですが、キャスト、スタッフに恵まれ、演劇への情熱が再燃し、その楽しさをより感じられるようになりました。またドラマや映画ではなかなか許諾してもらえない事柄も多いですが、舞台に関してはその制限が少ない。ですから、自分自身がどこかで諦めていた表現が、OOPARTSならできるのではないかと考えていて。OOPARTSは僕にとって、表現上での挑戦の場であります」


そんなOOPARTS待望の新作は、ハンバーガーショップを舞台にした、かつて反社会的組織だった、いわゆるヤクザたちの抗争の物語。

鈴井「10年前に映画用脚本として書きつつ、諸事情により中止となった『リストラ』という作品がもとになっています。ひと昔前までは考えられなかったことですが、北海道でも大手銀行が、そして自治体の夕張市までもが破綻しました。今や安定して保障されているものはありません。ならばヤクザの世界もその可能性があるのではないか。反社会的勢力と呼ばれる世界が破綻するとどうなるのか。そんな単純な疑問から派生した物語です」


ヤクザの物語というとシリアスなものをイメージしがちだが、そこはもちろん鈴井だけに…。

鈴井「やはりヤクザの話となると、抵抗を感じる方も多いと思います。それをどう払拭し、バカバカしい喜劇にするか。まずはそこに重きを置いて脚本を書きました。とにかく抱腹絶倒がすべてです。観客の皆さんには笑って、泣いて、爽快になっていただく。ただタイトルの『リストラ』にもあるように、物語は失望、絶望から始まるでしょう。しかしながら最後には希望を見出す。そういった展開の舞台にしていきたいと考えています」


キャスト陣には劇団EXILEの八木将康、竹井亮介、『水曜どうでしょう』(HTB)でもおなじみの藤村忠寿らが顔をそろえるほか、鈴井も出演する。

鈴井「キャストに対する期待は、稽古に入るまではまったくの白紙です。事前の期待に到達できるかどうか、といったことを考えるのは意味がありませんから。スポーツ競技ではないので、具体的な目標は持たず、実際に稽古に入ってからどう構築していくかを考える。それが演出だと思います。あとは既成概念にとらわれない、ということを大事に演出していきたいですね。ステレオタイプの物語にはなりたくないので。演じ手としては…、舞台は幕が開いたら止めることはできない。だからこそ出ることを続けているのだと思います」

 

シーソーやネット張りなど、大掛かりな仕掛けもこれまでのOOPARTS舞台の特徴。この新作ではどんな仕掛けを考えているのだろうか。

鈴井「今回に関しては、そういった仕掛けを排除した舞台を想定しています。つまりはストーリーを主軸に勝負するということ。そういう観点からも、OOPARTSの新たなる、第2章の始まりになるのではないかなと。そして観客の皆さんにとって有意義であったと感じられる時間を、この舞台から受け取ってもらいたいですね。それは感動であったり、癒しであったり、お客さまそれぞれだとは思いますが、その取っ掛かりになれればと。面倒臭いことをすべて払拭した、大笑いのバカバカしい舞台です。日常に疲れた人こそ、日々の憂さを晴らすために来ていただければと思います」

 

インタビュー・文/野上瑠美子

 

※構成/月刊ローチケ編集部 7月15日号より転載

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【プロフィール】
鈴井貴之
■スズイ タカユキ ’62年、北海道出身。地元の北海道を拠点に、タレント、構成作家、映画監督など、マルチに活躍中。