恋を読むvol.2『逃げるは恥だが役に立つ』木村達成 インタビュー

朗読劇の枠を超える朗読劇でさまざまな挑戦!


劇団「ロロ」の三浦直之が脚本・演出を務める朗読劇シリーズ《恋を読む》。その第2弾として人気コミック『逃げるは恥だが役に立つ』が初舞台化する。シリーズ第1弾『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』に続き、朗読劇出演は2作目という木村達成は、前作でその魅力に目覚めたようだ。

木村「初めての朗読劇は、いやぁ…面白かったですね。お客さんの反応がダイレクトに感じられて、こういうところに反応してくれるんだというのが、いつもよりももっと見えた気がします。それから、普段の芝居のときよりも、愛の言葉をささやく恥ずかしさとか、それを言うときのナチュラルな緊張を感じたなと思います。そのドキドキ感は役に必要なものだったのであえて残しながらやったんですけど、それもすごく楽しかったです」


『逃げ恥』は、“独身のプロ”津崎平匡と、彼に“雇用としての結婚”を提案する森山みくりの契約結婚から始まる物語を描くラブコメディ。平匡の同僚・風見涼太とみくりの叔母・土屋百合との関係を交えて今回、4人の朗読劇として描き出す。木村演じる風見は、女性にはモテるが“結婚にメリットを感じない”と言い切る一癖あるイケメンだ。

木村「風見の結婚に対する姿勢はあまり理解できなかったんですが(笑)、自分の時間を大事にしたいというのは共感できましたね。毒舌というか、相手の気持ちも考えずにズバズバ言えちゃうところはちょっと酷いなと思いつつも、最近は僕も丸くなって昔に比べて気持ちを素直に言うことが減ったので、少し羨ましくも思いました」


そんな風見の人物像は、木村にとって挑戦の多い役どころでもあるようだ。

木村「風見って、最初すごく嫌な奴じゃないですか。僕は嫌な役を演じたことがあまりないので、今回どこまでナチュラルに嫌なことを言えるかみたいなことは考えています。しかも、朗読劇という普通のお芝居よりも制限がある中でそれをやることになるので、より試行錯誤していくつもりです」2人芝居の前作を経て、今回の4人で朗読劇を作る初挑戦にも、「楽しみ」と目を輝かせる。

木村「対3人になるので、一層自分の中のキャラクター像をしっかりさせないといけないですね。全員初共演なのですが、意思をしっかり持って相手に発信していけるお芝居ができればなと思います」


朗読劇の枠を超えると話題の三浦直之による演出も、今回またどのようなものになるか注目だ。

木村「前作では映像を使ったりと、見ている方が楽しめる演出がありました。あと、たとえばふたりの心の距離が遠くなっていくセリフを言うにつれ、物理的にも離れていくという演出をつけてくださったり。朗読劇ってただ静かに座って本を読むみたいなイメージだったので、すごく面白いなと思いました。今回もどんな演出になるのか楽しみですし、また三浦さんとご一緒できるのがすごく嬉しいです」


日々挑戦と進化を続ける木村だが、その心にはひとつ役者として大切にし続けるものがある。

木村「自分の芝居に対して正直であることです。芝居というのはそもそもが嘘。でも、その嘘が少なくなるほど、お客さんにリアルに感じてもらえると思う。だから、この役はこういう気持ちになったからこう動くし話すんだという、心の流れに違和感のある芝居は絶対にやりたくない。その心のルートを探すのがすごく楽しいし、そうしなきゃ僕が演じる意味はないとすら思うんです」

 

インタビュー・文/髙橋裕美
Photo/篠塚ようこ

 

※構成/月刊ローチケ編集部 8月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります

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【プロフィール】
木村達成
■キムラ タツナリ ’93年生まれ。東京都出身。ミュージカルを中心に数多くの作品に出演。現在、ミュージカル『エリザベート』に出演中。