「ももクロ一座特別公演」ゲネプロレポート

2019.08.18

ももいろクローバーZが明治座に初進出を果たした公演「ももクロ一座特別公演」が8月17日に開幕した。初日公演に先駆けてマスコミ向けなどにゲネプロが公開されたので、その模様をレポートする。

今回の公演は、佐々木彩夏を座長に、大江戸娯楽活劇のお芝居パートと、4人が元気いっぱいに歌い踊るライブパートの2本立てで繰り広げていく。第一部は、江戸時代のうちのどこかの時代が舞台。人望に厚い桃亀藩藩主・桃井富之介の江戸の屋敷では、決して裕福ではなかったが藩主を慕う女中たちが賑やかな声を響かせていた。桃亀藩から唐突にやってきた藩主の一人娘・あや(佐々木彩夏)の言いつけで、女中のかな(百田夏菜子)、しお(玉井詩織)、れに(高城れに)ら家来たちは、少々早めの花見の余興を練習させられているのだ。冒頭から舞台オリジナル曲『江戸春小町』で華やかに歌い踊る。だが、女中たちの心持ちは曲ほど晴れやかではなさそうだ。姫のあやは、天真爛漫だが少々ワガママが過ぎる様子で、余興は半ば無理やりさせられていた。花道から扇子で顔を隠しながら現れたあやは、自分こそが主役、自分が顔を見せてしまうとつい輝いてしまうから心の準備をして、と家来たちに語り掛ける。つまりは、扇子を外したらその笑顔の輝きに“眩しがるように”とのお達しだ。それは、家来だけでなく、池の鯉(客席)にも要求されるので、ぜひ心しておいてほしい。うまく姫を喜ばせられたら、もしかしたらご褒美をもらえるかもしれない。母を早くに無くしたあやは、藩主がおしめを代え、男手ひとつで育てられた。藩主は娘のあやを大切に思うあまり、屋敷から出すことは無く籠の鳥状態。家来たちは「おしめ」とあやをからかい、あやは『あーりんは反抗期!』の替え歌『姫は反抗期!』を歌い、その胸の内をぶちまける。座長として主演を張る佐々木は、堂々とワガママだがどこか芯のある姫を冒頭から印象付けた。かな、しお、れにら女中3人組は、夜になるとこっそり屋敷を出てどこかに出かけていく。それを目撃したあやは、家来をうまく言いくるめて彼女らを追いかけた。たどり着いた場所は、神田亀池町の長屋にある居酒屋「黒屋」。実は女中たちはくノ一の末裔で、黒屋の亭主・黒兵衛(松崎しげる)を師匠に稽古とつけてもらっていたのだ。実は桃亀藩と縁の深い神田界隈を乗っ取る計画が噂されており、万一のために鍛錬を重ねていたのだ。とはいえ、れにはパワー不足、しおはすぐに痛がり、かなはコントロールが効かず…。ドジを踏むばかりのキュートな3人にしっかり注目だ。 女中ら家来たちが訓練しているところに現れた、あや。家来たちは驚くが、あやは自分も一緒にやりたいと言い出す。黒兵衛ら驚きつつもは、あやにも稽古をつけはじめる。すると、なぜか軽やかにくノ一の動きについてこれるあや…。それはあやの中に秘められていた宿命だった――。

物語後半では、藩主が敵対する勢力に捕らわれてしまい、あやが単身乗り込んでいく場面や、女中ら3人があやの手助けのために駆け付ける場面など、大迫力の殺陣などの大立ち回りを繰り広げる。思わず胸が熱くなるような展開に、大いに期待してほしい。また、大団円では“池の鯉”である客席にオリジナルの手ぬぐいが投げ込まれるので、ラッキーな人は手にできるかも知れない。第二部は、ももいろクローバーZが大いに歌い踊るライブステージ。オープニングは「Overture」で、座長の佐々木のみ和装で登場する。お姫様らしく、しゃなりしゃなりと歌い踊り、2曲目の「ニッポン笑顔百景」でみんなと同じ衣装に舞台上で早着替え! その鮮やかな衣装チェンジにまず注目だ。もちろん、ももクロならではの“全力感”は舞台が明治座となっても健在。舞台が回転したり、せり上がったりなど、視覚的にも面白い演出と相まって、さらなる迫力を感じられるはずだ。また、「夢の浮き世に咲いてみな」では、ももクロの歌唱に合わせて芝居キャストによる殺陣とコラボレーションしたり、「令和ニッポン万歳」や「笑―笑」では、悪人も町人も家来も殿様もみんなが一緒になってももクロと一緒に踊ったりと、否応なしにテンションを上げてきて、こちらもボルテージがガンガン上がってくるはず。60分があっという間に感じられるほど、密度の濃い時間を過ごせるだろう。「ももクロ一座特別公演」では、好評につき追加公演が決定したほか、小さなお子様も観劇できるファミリーデー公演も用意されている。ぜひ、ももクロと一緒にアツいお江戸の夏を過ごしてみてはいかがだろうか。

カメラマン:上飯坂 一

取材・文:宮崎新之