ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season 風 Produced by TBS 橋本じゅん インタビュー

観客席が360°回転する、画期的なシステムを擁した新劇場IHIステージアラウンド東京にて、絶賛上演中の劇団☆新感線『髑髏城の七人』。9/15(金)から開幕する第3弾“Season風”で、<贋鉄斎>を演じるのは橋本じゅんだ。1990年の初演版、1997年版、2004年『アカドクロ』版と、『髑髏城~』に出演する際はずっと<兵庫>を演じてきた橋本、初めての<贋鉄斎>に彼がどう挑むのかが早くも話題になっている。そのビジュアル撮影の合間に、今回の『髑髏城~』に対する橋本の想いを探ってみた。

 

――『髑髏城の七人』を“花・鳥・風・月”とパターンを変えて新しい劇場で上演するというこの企画を、最初に聞いた時はどう思われましたか。
橋本「おおよそ現実味のない、無謀な話だなと思いました(笑)。でも最初は本当に「へえ、そうなの?」と言っていただけで、正直なところ現実の話とは思えなかったんです。」

 

――では、それが「現実の話なんだ!」と思ったタイミングはいつでしたか。
橋本「まず、劇場が本当にできてきて。今年の2月頃だったかな、“Season花”のキャストのみんながそこを見学に行ってきたよという報告を受けだしたあたりから、「ああー、本当に始まるんだ」と思うようになりました。」
――やはり今回も本格的な稽古に入る前に、徹底して身体を整えたり、準備をされたりなさるんですか。
橋本「頑張ります。『髑髏城の七人』という作品も、ある種特殊な舞台ですから、やっぱりこれに特化した準備はしていかないといけないでしょうね。特に今回は長丁場の公演になりますし。」

 

――長丁場に耐えられる身体を作っておく? 
橋本「というか、(演出の)いのうえ(ひでのり)さんがつける段取りを、ある程度の期間やり続けることに備えるということですかね。ポイントとしては、そこに尽きるんじゃないかなと思います。ま、つまりいつものことなんですけどね(笑)。」

――これまでずっと、橋本さんが演じて来られた<兵庫>役を、“Season風”では山内圭哉さんがやるわけですが。
橋本「さっき、今回のためのビジュアル写真を見たところなんですが、圭哉が<贋鉄斎>をやるちゃうんかって思いましたよ。」

 

――そんなイメージもありましたね(笑)。
橋本「今回はああいう雰囲気で、また新しい<兵庫>像ができていくんでしょう。」

 

――これまでも<兵庫>はいろいろな方がやってきましたが、今回はまた全然違う感じになりそうですよね。
橋本「そうですね。とにかくあの役は、もうずーっと全力で演じなければいけないキャラクターなので。僕はあの役ってなんやかんやと、捨之介よりももしかしてシンドい役なんじゃないかなって思いながら、初演からやってきたんですけどね。お芝居の部分も、スカして力を抜いてやる場面が一切ないので。そうやって、力を抜かないという意味で“抜かずの兵庫”という役名だったわけですから。」

 

――そもそもは「じゅんさんは、何事も常に全力でやるから」ということで、脚本を書いた中島かずきさんがそう名付けたんですよね。だからこそ、一切手を抜くところがないキャラクターとして描かれている、と。

橋本「まあ、そうなんですが、ただ抜きどころがわからなかっただけでもあります(笑)。作品はある程度は演じる人、時代、時とともに変わってはいきます。でも基本はやはりエネルギーを相当使いますし、関八州荒武者隊はそれなりのカロリーを舞台に残していかないと、ドラマがごろんっと動かないので。みんな大変だろうなーと思いながら、今回は見守ろうと思います。」

 

――そして橋本さんとしては、今回ご自身が演じる<贋鉄斎>という役にはどんな印象をお持ちでしたか。
橋本「ナントカと鋏は使いよう」と言いますか、あの変態職人がいてくれたからこそ、最終的になんとかなったという話でもありますからね、『髑髏城の七人』は。結局、奇策なんですよ、「この手があったか!」ということなので。この役は初演からずっと(劇団員の)逆木圭一郎さんという方が演じていたのですが、まさしく、こんな人がこんな能力を、こんな時に発揮してくれるんだ!という役回りでしたからね。変人だ変人だと思ってはいたけど、そこまでつきつめたら職人なんだなという。だから、職人と変人と天才が入り混じったような、奇異なキャラクターだとは思っていたんですけど……。僕が今日、させられているこの格好は、なんだか“イタリアのオネエ”みたいなことになっていて(笑)。

 

――どういうことなんでしょうね(笑)。
橋本「なんなんですかねえ。どうなんですかねえ。イタリアンって……?(笑) (手に描かれた傷メイクを見て)じゃあ、この傷はサーベルでついた傷なんですかねえ。パッと見は、なんだかフレディ・マーキュリーみたいにも見えますねえ。」

 

――まだ今日の時点では、謎だらけですね(笑)。では最後にファンの方へメッセージをお願いいたします。
橋本「今回は劇場の関係で地方公演が不可能なので、みなさんの住んでいる街に赴くことができません。大変申し訳ないのですが、申し訳ないついでに、みなさんになんとかして東京まで観に来ていただきたい! 劇場でお待ちしております!!」

 

インタビュー・文/田中里津子
Photo /村上宗一郎

 

【プロフィール】
橋本じゅん
■ハシモトジュン 1964年2月25日生まれ。兵庫県出身。1985年、大阪芸術大学在学中より劇団☆新感線に参加し、“なくてはならない存在”として劇団本公演に多数出演。代表作は“直撃!ドラゴンロック”シリーズで、このシリーズの主人公・剣轟天は橋本にしか演じられない、まさにハマリ役。映像作品ではテレビドラマ『あなたのことはそれほど』、『おんな城主 直虎』(2017年)など、映画『関ヶ原』(2017年)、『シン・ゴジラ』(2016年)など、舞台では『レ・ミゼラブル』(2017年)、『シブヤから遠く離れて』(2017年)など、話題作に多数出演している。