ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月 Produced by TBS 製作発表レポート

2017.10.05

豊洲のIHIステージアラウンド東京にて上演中の劇団☆新感線『髑髏城の七人』、3月~6月の“Season花”、6月~9月の“Season鳥”、9月~11月の“Season風”に続く第4弾、11月末~来年2月まで上演予定の“Season月”がいよいよ動き始めた。9月末には、劇場近くにあるチームスマイル豊洲ピットにて、製作発表記者会見が行われた。

 

今回の『髑髏城の七人Season月』は劇団☆新感線としても初めての試みとなる、前代未聞の“ダブルチーム”編成での上演となる。同じ脚本、同じ演出でありながら、すべてのキャストは“上弦の月”と“下弦の月”に分かれて稽古、本番に挑んでいくのだ。そして、この記者会見にはかなりの競争率になったという抽選に当選した一般のお客様も多数参加。その大きな歓声と拍手とで、会場を大いに盛り上げた。

 

まずは観客席が360°回転するという画期的なシステムを持つ、IHIステージアラウンド東京という劇場の説明からスタートし、この春に開幕した“Season花”、続く“Season鳥”、さらに現在上演中の“Season風”の舞台の模様をダイジェスト映像で紹介。そして、いよいよ“Season月”のキャストが登場! <天魔王>役の早乙女太一と鈴木拡樹が会場の左右別々の入口から順に登場し、観客とハイタッチをしながらステージへと向かう。それ以降も<無界屋蘭兵衛>役の三浦翔平と廣瀬智紀、<兵庫>役の須賀健太と木村了、<霧丸>役の平間壮一と松岡広大が次々に登壇。続いて<極楽太夫>役の高田聖子と羽野晶紀は舞台袖から現れると、いつの間にやら出現していた舞台中央の巨大な白いバルーンが破裂! 中からは大きな杵を担いだ福士蒼汰と、ウサギの面をつけた宮野真守が現れ、ステージから客席に降りて走り回りながらファンとハイタッチし、場内のボルテージは一気に上がった。

 

このキャスト陣に、脚本の中島かずき、演出のいのうえひでのりも加わり、記者会見がスタート。登壇者たちの主なコメントは以下の通り。

 

いのうえひでのり(演出)

「ご覧になって分かるように、みなさん非常に若いキャストですので、まずその若さは出していきたいかなと思っています。今までのチームは、どうしてもいろいろと身体のことを気遣いながら、でしたからね(笑)。そういう意味では今回は少々無理を言うかもしれませんが、ぜひがんばってもらいたいです」

 

中島かずき(脚本)

「上弦、下弦で台本上の違いはありません。(これまでの“Season花”“Season鳥”“Season風”と比較すると)捨之介のイメージを、変えています。これまではちょっと斜に構えた男でしたが、今回はストレートに自分の道を信じている、真っ直ぐな捨之介にしました。それに合わせて他の登場人物も書き直して、全体的に“若気の至り”で話を進める感じになっています。若さゆえの良さもあり、若さゆえの脆さもあり。オープニングもこれまでと全然違いますので、楽しみにしていてください」

 

福士蒼汰(上弦の月・捨之介役)

「僕は今回が初舞台で、しかもそれが劇団☆新感線の舞台なので本当に緊張しています。とはいえ、何に対して緊張していいかわからないくらいに舞台のことには本当に無知なので。でも頼もしい仲間たちがいっぱいいるので、みんなに支えてもらいながら、自分は何を出せるのかを考えつつ、自分らしくこの場所にいられたらいいなと思っています」

 

宮野真守(下弦の月・捨之介役)

「今回“超ワカドクロ”と言われていますが、僕は“意外と若くないドクロ”なので(笑)、周りに支えていただきながら身体に鞭打ってがんばりたいです。僕もまさかまさかのお声がけで、自分が出演できるなんて本当に思ってもみなくて。声優のお仕事をさせていただきながらこんなに大きなチャレンジができるなんて、きっと自分の人生において非常にプラスになるだろうなと思っております」

 

早乙女太一(上弦の月・天魔王役)

「(Season鳥の蘭兵衛役に引き続き、)「またか!」って感じです(笑)。いやあ、怖いですね。僕も、宮野さんに比べたらまだ若いほうですが(笑)、これだけ若い人たちと一緒にできることはふだんなかなかないので、存分にエネルギーを出していきたいなと思います。一応、僕は新感線に参加するのは5回目なんですが、今回は新感線初参加の方が多いようなので、わからないことがあったら僕に聞いてくれれば……全部、嘘を教えます(笑)」

 

鈴木拡樹(下弦の月・天魔王役)

「(今回のヴィジュアル撮影は)非常に楽しかったです。天魔王というやりがいのある役をいただきまして、当日は未完成ながらも自分の中に描いている天魔王でやらせていただきました。あの時は“ひとりでドクロ”状態だったんですけど(笑)、これからは下弦のチームと一緒に稽古をして、天魔王をよりいい役にするためにがんばっていきたいなと思います」

 

三浦翔平(上弦の月・無界屋蘭兵衛役)

「この間まで蘭兵衛をやっていた(早乙女)太一くんと一緒にやるということが、すごく自分の中ではプレッシャーなんです。殺陣もすごく早いし、綺麗だし。(隣の早乙女を見ながら)一生懸命しがみついて、追っていきますね! (下弦の月チームへのライバル意識の有無を聞かれて)いえ、同じチームですのでお互いに切磋琢磨して……、ま、いいところだけもらっていこうかなと思います!(笑)」

 

廣瀬智紀(下弦の月・無界屋蘭兵衛役)

「僕も三浦さん同様、早乙女さんがいらっしゃるだけでプレッシャーです(笑)。これまで名優の方々が演じてきた役でもあり、自分なりの蘭兵衛を見つけるのは難しい作業だとも思っています。ヴィジュアル撮影の時に何度か「微笑んでください」というオーダーをいただいたので“微笑みの貴公子”なのかもと、そこにひとつ糸口を見つけたような気もしました。すごく魅力的で中性的な役ですので“美意識高い系”の蘭兵衛を演じられればと思います」

 

須賀健太(上弦の月・兵庫役)

「僕は、いのうえさんの演出を受けた経験はあるんですけれども、劇団☆新感線さんの作品には初参加なんです。この“花・鳥・風・月”のシリーズの中では、兵庫としては“最年少ワカドクロ”なので……(ここで宮野と須賀による「俺を見るんじゃない!」「“足が伸びドクロ”なので(椅子に座ったままぐーんと足を伸ばす)」「“靴下カワイイドクロ”ですね」などのやりとりで場内は爆笑)。とにかく、元気いっぱい兵庫を演じたいと思います!(笑)」

 

木村了(下弦の月・兵庫役)

「僕は新感線に出させていただくのは二度目になります。やはり、僕の中で兵庫といえば(橋本)じゅんさんのイメージがすごく強くて。今回のお話をいただいた時には、実は逃げ出したい気分だったくらいなんですけれども(笑)。だけどこの『髑髏城の七人』は新感線にとっても大事な作品だと思いますので、今は僕なりに、健太と一緒に、素晴らしいものにしていきたいなという気持ちです」

 

平間壮一(上弦の月・霧丸役)

「この作品に出させていただけるのは、僕にとっては今のところ楽しみでしかなくて。稽古場も既に何回か行かせていただいているんですが、自分なりに動けそうなところを見つけたり、この技、入れられそうだなと思ったり。みんなで一緒になって考えながら、作っていけていそうなので本当に楽しいです」

 

松岡広大(下弦の月・霧丸役)

「沙霧役が今回は霧丸という男性になることで捨之介との関係性はどうなるのかと思いましたが、男同士ならではのすごくアツいものになっていますので、ぜひ楽しみにしていてください。そして僕も須賀さんと同じで歴代“最年少沙霧、いや霧丸”です(笑)。古田(新太)さんたちが初演からやってきた劇団☆新感線の作品を今こうしてやらせていただけるのは名誉でもありますし、しっかりと感謝の気持ちを持ち演じていきたいと思います」

 

高田聖子(上弦の月・極楽太夫役)

「さっきから最年少、最年少言うてますが、私はきっと“最年長極楽太夫”です! いたわってください、お願いします(笑)。ま、見てのとおり、みなさんものすごく若いですから、息子みたいなものですよ。だから、これまでとは関係性も変わってくるんじゃないかなと思います。息子たちよ…!(笑)(と、ここで隣の席の平間にお母さんの年齢を聞き「一緒よ!」と叫ぶ高田に、すかさず平間が「一緒じゃないですよ、キレイさが」とツッコみ、またもや場内は爆笑)」

 

羽野晶紀(下弦の月・極楽太夫役)

「本当に“ワカドクロ”“ワカドクロ”って話ばかりですけど、初演で極楽太夫をさせていただいた時には私だって20歳とか21歳くらいだったのよ~!(笑) 私の場合、(新感線の舞台を)お客さんとして観ていた時期もございましたので“USED極楽太夫”という感じで、リサイクルな気分です。今回、17年ぶりに出させていただきますが、劇団員のみなさま相手だとすぐ馴染んで甘えちゃうんですけど、このチームには甘えられないので(笑)、ちょっとがんばらなきゃなと思っています」

 

そして会見の締めくくりとして各チームを代表し、福士は「今回は“超ワカドクロ”ということで、上弦チームも20代の方がかなり多いので、そういう意味でも勢いだとか、さっき言われた若気の至りというものを出せていけたらいいのかなと思っています。自分自身が舞台は初めてなので今は未知数ですが、みんなのパワーに加えてベテランの渡辺いっけいさんや高田さんたちの力も借りながらやっていきたいなと思います」、宮野は「僕もチームの中では、自分が一番舞台経験としてはあまり多くないのかなと思うんですよね。特に立ち回りの経験もそんなになかったりする中、捨之介をやらせていただくわけなので。不安ももちろんありますが、みんなのすさまじいエネルギーに頼りながらも、しっかり現場で本気をぶつけられる、そんな座長でありたいなと思っています」と、それぞれ意気込みを語った。

各キャストの熱い想いが伝わる、爽やかさと笑いに満ちた会見となった。会場を出ると豊洲の空にはちょうど“Season月”の成功を予言するかのような、鮮やかな三日月。このあとの厳しい稽古を経て、このフレッシュなダブルチームの面々が果たして舞台でどんな輝きを放ってくれるのか、非常に楽しみだ。

 

取材・文:田中里津子