良知真次 スペシャルインタビュー

俳優・良知真次が大きな転機を迎えている。昨年11月、株式会社World Codeを設立。経営者という新たな顔を携え、エンタメの世界に向き合いはじめた。

良知「昨年、芸能生活20周年という節目の年に、出演したすべての舞台で主演をさせていただきました。若手の皆さんに教える機会も増える中、感じたのはもっと長い期間をかけて育成やプロデュースに取り組みたいという想い。そこで、芸能プロダクション・制作会社であるWorld Codeを起業。これからはプレイヤーだけでなく、プロデューサーとしても様々な挑戦をしていきたいと考えています」


その挑戦のひとつとなるのが、男装ユニット・風男塾(ふだんじゅく)とのコラボレーションだ。風男塾にとっては初挑戦となるオリジナルミュージカル公演を企画。良知自らプロデュース・振付を手がける。

良知「昨年、ミュージカル『Code:Realize』で長谷川愛ちゃんと共演させていただいた際、彼女が『これからはもっと本格的にミュージカルをやっていきたい』と話していたんです。舞台を観に来た彼女が所属する(グループの)風男塾のメンバーもすごく感動してくれて。その後のライブツアーでお芝居の要素を取り入れたり、いい刺激になったそうなんです。その話を聞いて、だったらもっと何か面白いことを一緒にできないかなと思い、今回の公演を企画しました」


男装ユニット・風男塾の魅力を最大限に引き出すためには、どんな企画がいいのか。良知の頭の中で、あるアイデアがひらめいた。

良知「100年以上の歴史を誇る宝塚歌劇団と、風男塾が同じステージに立ったら、ものすごい化学反応が起きるんじゃないかなと。2年前に宝塚歌劇団の振付を担当させていただいたとき、そのカッコよさを目の当たりにして。宝塚のすごさは誰よりも僕自身がよくわかっていました。風男塾のみんなにとっても、きっと大きな刺激になる。この組み合わせが浮かんだとき、これは絶対にいけると確信しました」

そこで特別ゲストとして迎えるのが、元月組トップスター・彩輝なお。良知とは以前、共演している。

良知「彩輝さんは圧倒的なオーラを持った方。稽古場にいるだけでものすごく存在感があります。きっと最初は風男塾のみんなもビビるんじゃないかな(笑)。でも間違いなく学ぶことはたくさんあるはず。僕はこの公演が風男塾にとって成長の場になればいいなと思っているんです。この舞台を経験したことで、それぞれが今までとはまた別の魅力を身につけて、それが次の新しいお仕事につながっていくような。そういうお手伝いができればと考えています」


すでに音楽面の構想も膨らんでいる。

良知「書き下ろしの曲に関してはミュージカルらしいバラードから、人気のK-POPのような、低音ビートやノイズが効いている今時のサウンドまで、いろんなテイストの音楽を考えています。ひとつのミュージカルでいろんなジャンルの音楽が楽しめる構成にできれば」


そう構想を語る良知の目は眩しく輝いている。今後もプロデュース業には意欲的に取り組んでいく予定だ。

良知「今まで役者として様々な作品に携わりながら、こうしたら面白いのにと思うことは何度もありました。これからはプロデューサーとして、今まで温めていたアイデアをどんどん形にしていきたい。まだ誰も見つけていない才能を発掘したり、僕にしかできない作品をつくっていければ」


もちろんプレイヤーとしてもさらに邁進していく。現在はライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」~暁の調べ~のうちはイタチ役に全力投球中だ。

良知「前回の公演に入る時、関係者の方々から『イタチはとても人気のあるキャラクターだから』ということを伺いました。そのときはプレッシャーに感じたんですけど、いざ舞台に立ったら、たくさんの方が温かい拍手で迎えてくれて。原作の岸本斉史先生から『イタチのイメージにぴったりです』と言っていただけたときは、すごく嬉しかったです」


原作者も認める当たり役。今回の再演でもさらなる熱量で挑む。

良知「アニメと同じように演じるだけなら、声優さんが衣装を着て演じた方が絶対に素晴らしいものになる。それを俳優が演じるのが、2.5次元の面白さ。アニメや原作に描かれていない部分をどう演じるかに命を懸け、今回もさらに愛されるイタチをお見せしたいですね」

 

インタビュー・文/横川良明
Photo/中田智章

 

※構成/月刊ローチケ編集部 11月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります

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【プロフィール】
良知真次
■ラチ シンジ ジャニーズ事務所、劇団四季、東宝芸能を経て、2018年11月に株式会社World Codeを設立。代表取締役に就任。俳優・アーティストとして活動する他、プロデュースや演出、振付と幅広く活躍。現在、代々木アニメーション学院の特別講師兼スペシャルアドバイザーも務める。また兵庫県立淡路島公園アニメパーク「ニジゲンノモリ」親善大使に就任し、淡路島地方創生プロジェクトにも取り組んでいる。