ONWARD presents 劇団☆新感線『修羅天魔~髑髏城の七人 Season極』 Produced by TBS 三宅弘城 インタビュー

観客席が360°ぐるりと回転することで話題の、東京・豊洲のIHIステージアラウンド東京。2017年3月にオープン以来、“花・鳥・風・月”とシーズンごとに脚本、演出、キャストを変えてロングランを続けているのが劇団☆新感線の『髑髏城の七人』だ。3/17(土)に開幕し5/31(木)まで上演中の『修羅天魔~髑髏城の七人 Season極』は、この劇場における『髑髏城~』シリーズの最終章。これまでと世界観は同じとはいえ、登場人物の設定、ストーリー展開がまるで違う、“完全新作”としての上演となる。この舞台で刀鍛冶ならぬ鉄砲鍛冶・贋鉄斎の弟子<カンテツ>を演じるのは、ナイロン100℃の個性派にして、映像作品でも幅広く活躍中の三宅弘城だ。劇団☆新感線にはこれがなんと5回目、いわゆる“準劇団員”でもある三宅に、『修羅天魔』への想いを聞いた。

 

――IHIステージアラウンド東京での『髑髏城の七人』、それも“花・鳥・風・月”のあとの“Season極”に出ることになって、まずどう思われましたか。

三宅「単純にこの話を聞いた時は、過去の『髑髏城~』に出てきた人間として、呼ばれるか呼ばれないかっていうことにまずドキドキしました。だから呼んでいただけて、ホッとしたのとうれしかったのと。そして、どのシーズンに呼ばれるんだろうと思っていたら“Season極”で、これは今までのものと違う物語になるというので。もともと『髑髏城~』は面白くて人気のある、いい作品なんですけど、それとはまた違う新たな作品に出られるわけなので、その喜びと光栄さ、このふたつの想いが今はありますね」

 

――そして、2004版の『アオドクロ』と同じく<カンテツ>を演じることについては。

三宅「よし、“うつけ”の役だ、と思いました(笑)。ま、そうなっちゃうんでしょうね」

 

――前回、<カンテツ>をやった時の手応えとか、特に印象深かったことは。

三宅「それはやっぱり、百人斬りですよね。公演中、一回しか失敗しなかったんですよ。染さん(当時・市川染五郎、現・松本幸四郎)と「俺たち、よくやったよねー」みたいな話をして盛り上がった覚えがあります」

 

――お客様から拍手をいっぱいいただけて、気持ちよかったのでは。

三宅「まさに、見せ場ですしね。あれはホント、気持ちよかったですよ」

 

――これまで、IHIステージアラウンド東京版の『髑髏城~』を観客席から観てみた感想はいかがでしたか。

三宅「“Season花”は、小栗(旬)くんの2011年版の『ワカドクロ』を観ていたこともあって、安心感がありましたね。そして新しい劇場はどういう感じなんだろうって、すごくワクワクしながら観ました。だから“Season鳥”では、その小栗くんが演じた<捨之介>を、身長160センチ台がやるというので「えっ、大丈夫なの?」って不安でしたよ(笑)」

 

――(笑)、“Season鳥”の<捨之介>は阿部サダヲさんだったから、近しい仲間として心配だった。

三宅「ええ、そうなんですよ。そうしたら“花”を観に行った時に古田(新太)さんから「爆弾使いの捨之介になるらしいよ」と聞いて。じゃあ、それまでのイメージとは違う感じでくるんだろうなと思っていたら、予想以上でした。すごく新たな捨之介像を作っていたので、ちょっと感動すらしました」

 

――同じ作品でも、色合いがここまで変わるのか、と。そして今回の『修羅天魔』では、その<捨之介>が出てこないという、さらに違う色合いの新作ということになりますが。

三宅「そうなんですよね。初めての試みですよね。きっとお客さんも、これまでのものとはかなり別の視点から見ることになるでしょうし。“花・鳥・風・月”では少しずつ演出が違ってくる面白さがあったわけですけど、今回はまるで違う作品みたいな感じになりますからね。あくまで世界観は、一緒なんですけれども」

 

――今回の稽古、本番に向けて、三宅さんが楽しみにしていることは。

三宅「それはやっぱり天海(祐希)さんを始め、初めてご一緒する方々との共演です。実は、古田(新太)さんと梶原善さん、あと新感線の劇団員の方々以外とは、たぶんみなさんと初めましてなんですよ。そして、この『修羅天魔』という新たな『髑髏城~』の世界が、いったいどういう風になるのか。出る側の僕らも楽しみですし、お客さんにもぜひとも楽しみにしていただければと思います」

 

インタビュー・文/田中里津子
Photo/村上宗一郎

 

【プロフィール】
三宅弘城
■ミヤケヒロキ 1968年1月14日生まれ。神奈川県出身。1988年、劇団健康で初舞台を踏み、ナイロン100℃旗揚げ後は劇団の主要メンバーとして活躍。パンクコントバンド“グループ魂”のドラマー・石鹸としても活動している。近年の出演作には映画『ST 赤と白の捜査ファイル』(2015年)、ドラマ『今からあなたを脅迫します』(2017年)など話題作に数々出演。舞台では劇団本公演のほかに『鎌塚氏、腹におさめる』(2017年)などの“鎌塚氏シリーズ”で主演を務めている。現在、NHK Eテレ「みいつけた!」にレギュラー出演中。劇団☆新感線には本作が5作目の参加となる。