宅間孝行、モト冬樹、樋口日奈(乃木坂46)、肥後克広(ダチョウ倶楽部) インタビュー|タクフェス 春のコメディ祭!『仏の顔も笑うまで』

左から宅間孝行、樋口日奈、肥後克広、モト冬樹

宅間孝行が主宰するタクフェスの新シリーズとして2017年に始動した「タクフェス春のコメディ祭!」。3回目となる今回は、16年前に上演した「Happy」を改題して再演することになった。落語家の生前葬が予定されている寺に、銀行強盗コンビがやってきて思わぬ騒動になっていくというこの物語。主宰の宅間孝行をはじめ、モト冬樹、乃木坂46の樋口日奈、ダチョウ倶楽部の肥後克広といったバラエティに富んだ面々がキャストに名を連ねている。それぞれどのような思いで作品に挑むのか、4人に話を聞いた。


――今回、2004年に上演した「Happy」を改題して再演することとなりましたが、どのような経緯でしょうか?

宅間「当時、切ない作品とコメディ作品を交互にやっていて、切ないほうが評判が良かったんです。泣ける泣けるなんて言われて、そっちのほうの比重が大きくなってコメディをほったらかしてて(笑)。今回のシリーズ「タクフェス春のコメディ祭!」を立ち上げたときに、そのコメディをちゃんとやれたらいいな、と思ったんですよね。僕にとっては、どの作品も非常に苦しんで作った思い入れのある作品なので…。でもこの作品は、超バカなんですよ(笑)。シチュエーションコメディなんですけど、だんだんコントっぽくなってたんですよね。当時4本作ってて、これが3本目なのでコント寄りになってきた方の作品なんです。くだらないこともいっぱいやってるんですね。なぜこの時期に、というようなちゃんとした畏まった理由なんてないんですけど、コメディ祭の流れで上演するこになりました。どうなるかわかんないですね(笑)」

 

――タイトルも「Happy」から「仏の顔も笑うまで」に改題されますが、理由は?

宅間「けっこう現実的な理由ですよ? 当時は年に2本も3本も書いていたんですけど、新作を書く時にまずタイトルを決めなきゃいけないんです。チラシやチケット発売の関係でね。新作って遅れるじゃないですか(笑)。僕はまだ遅れない方なんですけど、それでもタイトルはギリギリ。で、切ない作品は日本語の単語、コメディは英単語にしていたんです。その流れで「Happy」というどうにでもなりそうな(笑)、いいかげんなタイトルをつけたんです。今回、このシリーズでは「わらいのまち」「笑う巨塔」に続く3作目なので、「笑」という言葉を入れて、タイトルを決めました。なので、こっちの方が正しいです(笑)。内容があって決まったタイトルなので」

 

――今回、キャスティングについてはどのように決めていったんでしょうか。

宅間「まず、モト冬樹さんは昨年に「あいあい傘」で切ないほうの作品にご出演いただいて、切ない作品に出る人じゃないなと…」

モト「ちょ、ちょっと待って。…俺自体は切ないけどね(笑)」

宅間「(笑)。まぁ一緒にやってみて、全部おいしいところを持っていかれて“モトさん面白い!”みたいになっていたので、イラっとしたんです(笑)。その時はイラっとしたんですけど、今回はコメディなので、存分にやっていただこうかと。つまらなかったらモトさんのせいです…ね?」

モト「…(笑)」

宅間「肥後さんは小さい頃から見ているような気がしてるんですけど、年を聞いたらそんなに変わらない。コメディをやるとき、この人たちがやるよ、という中になるべく面白い顔が並んでた方がいいな、と思って。顔が。芝居がどうとかじゃなく、顔が面白いといいな、と」

肥後「小さい頃からって…(笑)」

モト「(樋口日奈ちゃんは)顔が面白いからとかそういうことじゃないよね?(笑)」

樋口「この流れだと、そういう…(笑)」

宅間「日奈ちゃんは、そう言ったって誰も納得しないくらいの美形ですけど、すごく頑張り屋さんと聞いていて。21歳にしては大人っぽい感じもある。大変なんですよ、その辺が。僕が若い頃に作ってる作品だと、だいたい同年代とやっていたんですけど、だんだん自分が年をとってきて、ヒロインのポジションとどんどん親子くらいの年齢差になってきちゃって。毎回、若すぎないか?とキャスティングに困るんです。だから、若くても大人っぽく見える人は探してます。あんまり、アブない関係に見えない感じの大人っぽさ」

樋口「嬉しいです! 頑張ります!」


――それぞれ、出演が決まった時のお気持ちは? まずは樋口さんからお願いします。

樋口「私は毎年タクフェスのポスターやビジュアルをいつも見ていて、ちょっとレトロな雰囲気が好きだったんです。それでずっとマネージャさんにもその話をしていたので、今回決まった時はすごく嬉しかったですね。でも、いざ決まると怖いというかソワソワする気持ちもあって…不安もあります」

宅間「評判悪いですからね(笑)。いろいろな人が言ってますからね、稽古場で殺されるんじゃないかって…」

樋口「そんなことないです(笑)。本格コメディは初めてなので、とにかく何か勉強しなきゃ、と思ってとりあえず吉本新喜劇を観たりしました。みなさん本気でやってらっしゃるので、私も何かこう、少しでもできるように。本気で頑張ります。いろいろご指導していただいて…覚悟してます! でもコメディ作品なので、きっと笑いの絶えない稽古場になるはず」

モト「甘いな、それは…」

宅間「そういうこと言うから、みんなガチガチで来るんだから(笑)。楽しかったでしょ? 「あいあい傘」のときは稽古も早めに終わってたし、楽だったのに」

モト「いや、楽しかったね。ほんとに。でも、あれで楽だった、ってのはびっくりしたけどね」

宅間「みんなだんだん思い出がこう、キツイ体験を乗り越えたみたいな感じになっちゃってるんだよね。戦争体験みたいに語っちゃって(笑)。そこまでじゃないんだから…なんでちょっと、ねぇ!」

モト「ほら芝居に対する愛情があるから。そこはきっちり稽古するから、和気あいあいとはちょっと違うかもしれない。本番が和気あいあいになればいいわけだからね」

樋口「乗り越えたいと思います!」

 

――モトさんはいかがですか?

モト「くだらないことを一生懸命やるのが好きで、しかも前回(宅間さんと)一緒にやりとりする部分もあったんですけど、何やっても受け入れてくれるんですよ。それがもう、今回もものすごく楽しみで。スリルはあるんですけどね。とにかくうれしくて、出演できるとなって良かったなと思っているところです。タクフェスの本気度がいいんですよね。お笑いだと、適当みたいに取られがちだけど、一生懸命に本気でやらないと逆に。説得力がなくなっちゃうと笑えないからね。コメディっていろんな要素が入っているから、う普通のお芝居よりも一生懸命やるようなものだと思うんですよね。どうしてもコメディって軽く思われちゃうけど。一生懸命、キツイ稽古を乗り越えてやりたいと思います」

 

――肥後さんはいかがですか?

肥後「僕は最初、なんで僕をキャスティングしたんだろう、って。お笑い芸人というカテゴリの中でも、芝居チックなことをやる芸人さんもいるし、喋りが巧い芸人さんもいるじゃないですか。私はただ単に、熱いおでんを人の顔にくっつけるのを生業としているだけなんで(笑)。でもせっかくオファーしてくれたので、頑張ろうと思いました。そしたらマネージャが「大丈夫ですよ、モト冬樹さんも出演するので」って言われて、じゃあ大丈夫だな、と(笑)」

モト「どういう基準なんだよ(笑)」

肥後「そこから台本も呼んだんですけど、すごい面白くて。でも…僕は住職の役なんだけど、住職はモトさんじゃないかな?」

モト「そうだね、見た目はね。…いや最近、毛が生えてる住職もいるよ?」

肥後「いや、居ますよ、いますけど…。住職、坊主、ハゲ、モト冬樹って、そういうイメージじゃないですか? でも、ま、頑張ります」――今日は役柄に沿った衣装を着ての撮影だったそうですが、撮影を終えてみていかがですか?

樋口「まだ本番の衣装と決まっているわけではないんですが、カーディガンにブラウスで、ちょっと昔のお嬢さんチックな髪型とメイクをしていただきました。私の大好きな昭和感というか、レトロな感じ。楽しみでワクワクしてきました」

宅間「僕の衣装は銀行強盗して逃げ込んだ時のものなんだけど、逃げ込んだお寺ですぐ違う衣装に着替えちゃうので、秒で終わるんです。この衣装」

モト「あ、そうなんだ。確かにずっとコレだとな」

宅間「怪しいもんね。そこからどんどんいろいろなことで変わっていくんです。最後は2人して、お前何やってんの?ってことになるんです。でもまぁ、懐かしいというか、当時を思うと。大変なんですよ、僕。なんでこれを再演することになったんだろうって思うくらい(笑)」

モト「今の話を聞いて、すごく楽しみになりましたね。僕はこう、黒でもどんな色でも似合うので。次の衣装も楽しみです。でも衣装も大事ですけど、台本が面白いから、内容を頑張ろうかと。言うこと聞いて頑張ります。良い脚本に恥じない演技をしたいですね」

肥後「この住職の恰好をすると、気持ちも穏やかになりますね。自然とこう、手を合わせるような気持ちになりました。とはいえ衣装を着るときに今回は2人がかりで着替えさせていただきました。これで合ってる?という部分もあったりしたんですが、最終的にはパパッとひとりで着替えられるようにもなって、住職らしく頑張りたいと思います。…意外に似合ってます? 僕はなんでも似合うんですよ、おまわりさんからドロボーから(笑)」

 

――タクフェスの魅力は?

樋口「生でお芝居を観て、自然と涙が流れたり、悲しい気持ちになったりというのが、映像ともまた違った感覚でスッとその世界に入れるんですよね。自分の人生と重ねるような切ない部分も魅力ですよね。でも今回はコメディ。私は人を笑わせるのが一番大変だと思うんです。泣いたり怒ったりっていう感情は、だいたいみんなポイントが同じだと思うんですけど、笑うポイントって人それぞれでまったく違うから。今回はドタバタで勢いのある作品で、みなさんが感じるままのポイントで笑えるんじゃないかと思います。そういう、人それぞれで観られる笑いというのは凄く魅力的ですよね。エネルギーも必要だし、大変だと思うけど、たくさんの人に共感ポイントがあって、笑えると思います。素直な感情で楽しめるのが素敵ですね」

肥後「宅間さんの計算されたシナリオ、台本、演出があると思うんですけど、そのマンパワーというか、存在感が強い。そこに少しでも近づけたらいいですね」

モト「僕は、前の「あいあい傘」に出るにあたって観たのが「笑う巨塔」だったんですけど、みんな一生懸命にやっているな、という印象で。終わった、と思ったらみんなで踊っていたりして、これ2回やったら死ぬな、と(笑)。出演したのはコメディじゃなかったけど、一生懸命さは変わらなくて。全員が一生懸命にやると、やっぱり舞台として心を打つものが本当にあると思うんです。一生懸命にやることが大事なんだな、と思いますね」

 

――物語の冒頭は宅間さんとモトさんの銀行強盗コンビのやりとりが続きます。まるで漫才のようで、こちらも見どころのひとつになるかと思うのですが、こちらはどのように作っていくおつもりですか?

宅間「けっこう大変なんですよ。分量としても、最初はとにかく2人なので。台詞はもちろんあるんですけど、若干自由にやろうかなと思ってます。そういう意味では、モトさんとは前回もやっているし、気心も知れているので。やりながら作っていくような形のほうが自然かな。いろいろと気を使わなくてもいいんで。全然、気を使わないので」

モト「ちょっとは使って(笑)。でも舞台やるときって、自分でアドリブ付けられるようなところって意外と少ないんですよ。でも今回はそういう部分もあるんで、まだどうなるか分からないですけど楽しみですね。前説みたいになるのかな?前説とは違うんだろうけど(笑)」

 

――宅間さんから何度も大変、というお言葉が出ている気がしますが、どういったところが大変なんでしょうか?

宅間「いやもう、大変なんですよ(笑)。俄然、コメディのほうが疲れるんです。パワーがいるんですよ、どちらかというと。どこかで力業みたいなところもある。俳優がつくる笑いが芸人さんがつくる笑いと違うところは、“笑われる”ことだと思うんですね、“笑わせる”ではなく。結果的には笑わせようと思ってやってるんですけど、「なんてアホなんだ」「あいつバカだね」ってお客さんが僕たちのことを笑ってくれてるのが基本的な作り方だと思っているんです。そうなっていかなきゃいけないように作っていくとなると、パワーがいるんですよ。だんだん年も取ってきているんで、2ステージもキツイなーなんて思っているくらい」

モト「テンポも大事だからね。疲れた風じゃ面白くないだろうし、きっと体も動かさなきゃなんないんだよね」

宅間「そうですね。シュールな笑いを取りに行くよりは、ずっと全力のところが多いんで、自分も怖いです。本番やるのが。死ぬほど疲れるんだろうな、と。遺作になると思います」

モト「いや、まだまだ行けるだろ!」

 

――暗転なしのノンストップですし、体力が必要ですね

宅間「入れ替わり立ち代わりなので、そこはそこまで大変ってことは無いと思うんですけど。でも大変なんです(笑)」

 

――それだけこちらも期待が高まります! 公演を楽しみにしています

 

インタビュー・文/宮崎新之