PARCO劇場オープニング・シリーズ「ゲルニカ」 長田育恵&上白石萌歌 インタビュー

左:長田育恵 右:上白石萌歌

“悲劇の街”で生きていた人々の姿は現代の日本人にも重なる

 

ピカソの絵画をもとに、脚本家・長田育恵と演出家・栗山民也が初タッグで新作舞台を上演する。悲劇の街・ゲルニカで生きる人々の姿が描かれる、群像劇だ。主人公のサラを演じるのは、映像に舞台にと成長著しい上白石萌歌。PARCO劇場のオープニングシリーズの一環でもあるこの舞台への想いを、長田と上白石が語った。

長田「『ゲルニカ』というあの絵をテーマにしながらも評伝劇ではなく、ピカソには触れずにスペイン内戦下の人々を描くというお題を栗山さんからいただきまして。ゲルニカの街を実際に取材し、人間が背負ってきた業(ゴウ)や残虐、あらゆる悲惨、憎しみというものを改めて正面から考えつつ脚本を書きました」

上白石「今回は尊敬する栗山さんとご一緒できるので、緊張とプレッシャーと期待とで震えています。ダメ出しのときにその時代や役についての情報をたくさん教えてくださるそうで。そのときのお話がすごく面白いそうなので、今からダメ出しされるのが楽しみなんです(笑)」

長田「あらすじを何パターンも作って待っていたので、上白石さんに決まったときは“来た!”って思いました(笑)。過去のイメージではなく今、私が感じる勝手な印象をそのまま預からせてもらい、サラのセリフに生かしました」

上白石「台本を読んだとき、セリフを今すぐ言葉にしたいという衝動があったんです。サラのセリフは、自分の声で頭の中で再生しやすくて。今のお話で納得しました」

長田「私、セリフは俳優が舞台上で使うための“武器”だと思うんです。考えてみれば、俳優は舞台上で自分の生身を晒しながら、基本的には劇作家が書いた台詞だけを喋るんですよ。そこに気づいたとき、怖くなったんです。責任を改めて感じて。」

上白石「でも、逆に私は自分の言葉だけでは舞台に立つ勇気、ないですから。だから確かにいただいたセリフ、言葉は鎧みたいなものだと感じています」

長田「そうなんです、だったらなるべく高性能の鎧や武器を渡したいじゃないですか。しかも使い手によって性能の発揮の仕方が変わるので、この人にはこういう武器のほうが、というアプローチができる。そうやって、あて書きをしているんです」

上白石「こうして台本の第一稿の時点から立ち会えることも初めてで、大事に大事に読んでいるところです。小さい頃からミュージカルを習っていたこともあり、自分を解放できる場所でもある舞台は自分の原点だと思っていて。長時間かけてお稽古して作品を深め、役を育てていく濃密な時間を味わえるのが今回も楽しみです」

長田「題材が大きすぎて、本当に書くのが大変な作品でした。でも今、こうして特殊な状況に置かれた私たちと当時のゲルニカに生きた人たちは不思議に重なる気もするので、お客様が登場人物に自分と似た部分を感じてもらえたらうれしいです」

 

インタビュー・文/田中里津子
撮影/源賀津己

 

上白石萌歌スタッフ:
ヘアメイク/冨永朋子(Allure)
スタイリング/ 道端亜未

 

※構成/月刊ローチケ編集部 7月15日号より転載

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
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【プロフィール】
長田育恵
■オサダ イクエ ’09年に「てがみ座」を旗揚げし、全公演の脚本を手掛ける。’18年、紀伊國屋演劇賞個人賞受賞。

上白石萌歌
■カミシライシ モカ ’11年、「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞。’12年に女優デビューし、以後、数多くのドラマ、映画、舞台などに出演。’18年、第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。