<shared TRUMPシリーズ>とは、一つの世界観を複数の作家が共有して創作する“シェアードワールド”の手法を用いたTRUMPシリーズの新たな試みで、末満健一自らが「この方に」と執筆を熱望した方々の参加が実現。
様々なジャンルから集結した豪華作家陣と末満健一による短編アンソロジーの形式で、これまで語られることのなかったTRUMPシリーズ2作目『LILIUM』の主人公・リリーが、不老不死のあてなき旅の中で出会う、「雨下の章」と「日和の章」の二つの物語を同時上演いたします。
さらに、配信ならではの演出も加わった全10回のライブ配信の実施も決定。
TRUMPシリーズの新たな瞬間を、是非ともにお楽しみください!
※劇場では、新型コロナウイルス感染症に対する十分な対策を講じて上演いたします。
キャストコメント
鞘師里保
TRUMPシリーズの作品で再び脚本・演出の末満健一さんとご一緒できること、リリーという役を演じられることをとても嬉しく思います。
今回は6つの短編の物語から成る作品ですが、さらに「雨下の章」「日和の章」と2作同時に上演されますので、お客さまがそれぞれの章に対して、どのような感想を持っていただけるかなど声を聞けることもとっても楽しみです!
朴璐美
今回ご縁あってこの物語に触れ、作中でのそれぞれのキャラクターが「人と違う」ことを思い悩み生きている様に、とても心が揺れました。マイノリティから他者との距離を置くことを強いられている環境が、昨今の情勢によりディスタンスを求められている「いま」とリンクしてしまい、胸を締め付けられました。置かれた環境から人との心の距離感までもが遠ざかってしまう…うまく保つことができない….。もどかしい『いま』だからこそ、尚、心の琴線を弾かれる作品だと思います。
永く続く壮大なサーガにお呼び頂けたこと、本当に光栄に思います。全力で愛をぶつけて挑み、臨み、繊細に紡がれていく物語の中で役と共に生き抜きたいです。
松岡充
初めてのTRUMPシリーズ参加ですが、
敢えて言わせて頂きたい。
満を持して、松岡充がTRUMPの世界に立ちます。
生みの親である末満健一さんと話しても、
過去作品に触れても、僅かな違和感も無く、
むしろ、
元は同じ世界のパラレルワールドで僕はメロディと詩を紡ぎ、ステージで叫んでいたとさえ思います。
【TRUMPシリーズとは】
不死を失った吸血種《ヴァンプ》たちが、永遠の命を持つとされる吸血種《トランプ》の不死伝説に翻弄されていく様を描いた、劇作家・末満健一がライフワークに掲げ、2009年より展開する演劇シリーズ作品。
これまでに『TRUMP』『LILIUM』『SPECTER』『グランギニョル』『マリーゴールド』『COCOON 月の翳り』『COCOON 星ひとつ』、その他の関連作として短篇小説や短篇演劇、朗読劇も発表。
吸血種、人間種、そして吸血種と人間種の混血であるダンピールが共存する圧倒的な世界観の中で、作品を超えてリンクする伏線や綿密に練られたストーリー構成、登場人物の思わぬ関係性などが人気を博す。
1万5000年にもおよぶ血と命の物語。
■主な用語解説
・TRUMP(トランプ)…吸血種の始祖。永遠の命を持つとされる原初の吸血種。TRUE OF VAMPを縮めて「TRUMP」と称され、すべての吸血種たちのイニシアチブの頂点にあるとされている。吸血種・人間種の双方に、TRUMPを信仰する者たちがいる。
・繭期(まゆき)…吸血種の少年少女たちが、ある時期を迎えると陥る状態。人間でいう思春期に当たるが、その症状は人間とは比較にならないほど強いものがあり、強い執着や嫉妬、妄想・幻覚・虚言といった精神症状を見せるようになる。シリーズファンの間ではTRUMPシリーズにハマっている状態を「繭期」と呼ぶなど、シリーズを象徴する用語のひとつである。
■主な作品紹介
▼シリーズの原点
『TRUMP』
繭期を迎えた若き吸血種たちを保護・矯正・教育するために設けられた施設《クラン》にて、人間種と吸血種の混血《ダンピール》であるソフィは「穢らわしき者」として周囲から嫌悪されていた。完全階級主義である吸血種の社会にあって指折りの名家の生まれであるウルは、忌むべき存在であるソフィになぜか友情を示すようになる。またウルは、永遠に生き続けているとされる原初の吸血種《TRUMP》の存在を妄信しており、尽きることのない命を渇望していた。不死を失った吸血種たちが《生》を渇望し、永遠の命を持つTRUMPの伝説に翻弄されていくゴシック・サスペンス。
▼シリーズ2作目となるTRUMPより3000年後の物語
『LILIUM』
雨が降り続ける森の奥深くにあるサナトリウム。そこは《クラン》と呼ばれ、繭期の吸血種の少年少女たちが療養しながら暮らしていた。そのクランから、シルベチカというひとりの少女が失踪する。友人であるリリーはシルベチカを探し求めるが、サナトリウムの仲間たちは誰も彼女を覚えていなかった。シルベチカとは、リリーの妄想が生み出した幻なのか。疑念に駆られるリリーであったが、スノウという少女がシルベチカのことを覚えていることを知る。一方、ファルスと名乗る少年がリリーに近づいてくる。少女たちの秘密が明かされるとき、残酷な運命の扉が開く。