内田理央 主演舞台「星の数ほど星に願いを」初日舞台レポート

2020.08.28

出演者全員がフェイスガードで熱演
内田理央 主演舞台「星の数ほど星に願いを」

「星の数ほど星に願いを」が開幕した。テレビドラマや雑誌モデルで活躍著しい内田理央が、「ナンセンスコメディの極北」と称されるブルー&スカイの演出で、どのような演技をみせてくれるのか楽しみに観劇したが、予想をはるかに上回るコメディエンヌを演じきっていた。

作品世界は、設定・役柄・セリフ・展開と、全てがデタラメ。そんなバカバカしい世界に身を委ね、内田は、冷酷な銀行員、実はいい人、おバカキャラ、恩返ししたい思いやり女子、などを自在に演じ分け、観客を笑いへいざなう。女優としての新天地を開拓できていた。そして、田村健太郎・大堀こういちをはじめとする共演者たちもブルー&スカイの世界観を見事に体現し、かつ、それぞれが個性的で、噛み合っているか合ってないか分からない会話でさえ自然に愛らしく思える。

客席は終始笑いが絶えず、繰り出されるナンセンスな世界と驚きの結末によって最後は呆然ともいえる様子だった。そして特筆すべきは、出演者全員がフェイスガードをつけて演じており、情勢を取り入れたところ。今だからこその見ごたえがあった。

本公演は、9/6まで紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて上演する。内容は、全く不要不急ではない。不要不急の今だからこそ、不要不急ではない舞台作品が上演される意義を感じられた作品だった。感染対策も万全なので、1時間50分間、今だからこそ同じ空間を共有しながら、安心してナンセンスな笑いに身を委ねたい方には是非お勧めしたい。

撮影:引地信彦