KERA・緒川たまきの新ユニット「ケムリ研究室」
第一回公演『ベイジルタウンの女神』開幕!
9月13日(日)、世田谷パブリックシアターにて、ケムリ研究室no1『ベイジルタウンの女神』が開幕した。
ケムリ研究室は、劇作家・演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)と女優・緒川たまきが新たに立ち上げたユニット。第一回公演となる今公演では、仲村トオル、水野美紀、山内圭哉、吉岡里帆、松下洸平、尾方宣久、菅原永二、植本純米、温水洋一、犬山イヌコ、高田聖子など力強いキャストが集い、ステージングには小野寺修二、映像に上田大樹、音楽に鈴木光介、と演劇界のトップクリエイターが集合した。
KERAは、今年既にコロナ禍により『桜の園』『欲望のみ』という2つの公演中止を経験しており、ようやく演劇公演で観客と対峙できる日が戻って来た。
今回の公演では、新型コロナウイルスの感染予防対策上、客席数を制限し、劇場入口でも消毒、サーモグラフィ検査、入場時の直接接触を避ける自動発券機導入など、カンパニーは多方面に渡る感染症対策を施し、観客を劇場に招き入れた。来場客も、観劇前の来場者事前登録や「感染症対策のお願い事項」、劇場入口での感染症対策など、通常の観劇では求められない手間や手順に協力し、開演のつつがない進行をサポートしている。
今回の作風は、近年の『グッドバイ』や『キネマと恋人』といったKERA作品にみられるような、幅広い層が楽しめるロマンティック・コメディ。
物語は、大企業ロイド社の社長であるマーガレット(緒川たまき)と、ライバル企業のソニック社の社長タチアナ(高田聖子)という因縁めいた旧知の二人が、通称「ベイジルタウン」と呼ばれる貧民街の再開発を巡って火花を散らすことから端を発する。そこである賭けをすることになり、マーガレットはベイジルタウンにやって来た。そこでマーガレットを待ち受けていたのは、不思議なあだ名で呼び合う貧民街の住人たち、王様(仲村トオル)、ハム(水野美紀)、サーカス(犬山イヌコ)ドクター(温水洋一)、ヤング(松下洸平)、そして彼らと交流を持つ娘スージー(吉岡里帆)などなど。マーガレットとベイジルタウンの人々、ロイド社の社員、タチアナ率いるソニック社などの思惑を巡り、思いも寄らない出来事が巻き起こってゆく…。
個性豊かな登場人物たちの生き生きとしたセリフの応酬と、緒川たまき演じるマーガレットやそれぞれのキャラクターのなんとも愛おしい様子に目が離せない贅沢な饗宴だ。久しぶりの劇場での笑いの感覚が染み渡ってくるようだ。
今回は「来場できない状況の方にもご観劇頂ける機会を」というKERAの思いもあり、9月22日(火・祝)18時開演の追加公演回が生中継配信されることも決定している(※詳細はキューブHPにて)。公演は、9月東京、10月に兵庫と北九州で上演される。
また、「ケムリ研究室」は、来年2021年夏に、第二回公演『砂の女』(原作:安部公房 上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ)を上演することを発表した。来年も楽しみは続く。
『ベイジルタウンの女神』初日開幕に際し、主宰のKERAと緒川たまきからコメントが届いた。
ケラリーノ・サンドロヴィッチ
胸を張ってエンゲキだと言える公演を、緒川さんとのユニットの旗揚げで開幕することが出来ました。今年3本目のはずだったのに、1本目になってしまいました。それでも幕を開けられて、本当に、本当に良かった。カンパニーの皆さんの尽力とお客さんのおかげです。
カーテンコールでの盛大な拍手には感無量でありました。客席と舞台で3時間半を共有できることの幸せ。
『ベイジルタウンの女神』は間口の広い作品です。今日観劇してくださったある演劇ライターの方は早速「海外の長編児童文学を読むような、ドキドキワクワクが詰まった、夢と希望に溢れた、大人も子どもも一緒に楽しめる物語。」とツイートしてくださいました。こんなに誰でも楽しめる作品を、次回いつ書くかわかりません。
マスクだ消毒だとご不便をおかけしますが、そして定員半減に伴い入場料も割高ですが、どうぞ観に来てください。お待ちしてます。
緒川たまき
この作品のために集まってくださったキャスト、スタッフの愛情がこの作品にはたっぷりと詰まっています。完成するまでの過程はすでに感動の連続でしたが、初日を迎え、劇場にいらしゃって下さったお客様に更なるお力をいただきました。これからは、観てくださる方それぞれの無数の『ベイジルタウンの女神』が誕生していくのだと思います。ぜひ『ベイジルタウンの女神』に会いに来てください。劇場でお待ちしております。