小沢道成・田中穂先の二人芝居 EPOCH MAN『夢ぞろぞろ』2021年2月に待望の再演

2020.09.18

2021年2月、シアター711にて小沢道成のEPOCH MAN『夢ぞろぞろ』(第31回下北沢演劇祭参加作品)の上演が決定。本作は2019年に上演された、田中穂先(柿喰う客)と小沢道成による二人芝居の待望の再演となる。

左:小沢道成 右:田中穂先

 

小沢道成といえば自粛明け本多劇場が再始動する舞台となった本多劇場グループPRESENTS「DISTANCE」でのパフォーマンスが記憶に新しい。6月の一人芝居『夢のあと』、そして8月の峯村リエ(東京公演)、寺田剛史(北九州公演)との二人芝居『みんなの宅配便』ではベテラン勢に混ざって圧倒的な存在を示した。
現在はシアタートラムにて上演中のキ上の空論『脳ミソぐちゃぐちゃの、あわわわーで、褐色の汁が垂れる。』に出演中だ。

『夢ぞろぞろ』は駅の売店を舞台に、売店で働く60歳の女性と、ある日突然電車に乗ることができなくなった青年が繰り広げる物語。

初演時は、「仕事に通う途中、いつも同じ場所にいてくれる“売店のおばちゃん”の人生をずっと描きたいと思っていた。」と語る小沢。そんなとき飛び込んできた樹木希林さんが亡くなったというニュース。憧れだった樹木希林さんと売店のおばちゃんの姿が重なり、物語にしっかりとした強い芯が入り「優しくも力強い、前に進める物語を書いてみよう」と劇作がスタートした。

自身で舞台美術も手掛ける小沢は、初演では駅の売店をくるくると回転する仕様に仕上げ、さまざまなシーンが劇的に展開していく。見ているだけで楽しくなるような舞台美術や仕掛けで、現在と過去、現実と夢の境界線を飛び越えて、小沢の〝演劇を遊ぶ心〟が炸裂する。

夢なのか、夢じゃないのか、駅の売店が見たはなし―――

 

【小沢道成コメント】

2020年6月、本多劇場グループPRESENTS「DISTANCE」企画で一人芝居の依頼を受けました。
家に閉じこもり期間真っ只中だった僕は本番を約2週間後に控え、今出来ることを考えた結果、『夢ぞろぞろ』に登場した駅の売店で働く60歳の女性の〝その後〟を描いた一人芝居『夢のあと』を新たに書き、上演しました。今の世界でも起こっている〝大切な場所を無くした〟ある女性、という設定です。

書いている時に、『夢ぞろぞろ』を上演した当時のことを思い浮かべていました。
この物語を書くきっかけになったのは樹木希林さんが亡くなられたことだったことや、夏の日に仲間と舞台美術を創作したこと、相手役の田中穂先くんとの稽古の日々、劇場から帰っていくお客さんの表情、多くの大切な記憶を思い出しました。
そして、そのことを思えば思うほど、不思議な温かい気持ちがこみ上げてきます。その後の物語には、穂先くんもいません。くるくると回る売店・舞台美術も何もありません。ですが、物凄く温かい、力強い気持ちが湧いてきたのです。
昨日起こった出来事を思い返すと、ふと笑いがこみ上げ、よし、今日もやったるか!という気持ちになるような。例えば、忘れられない大切な思い出が頭によぎる時、涙がでそうになりながらも温かい気持ちになるような。
この作品には、不思議とそういった前に進みたくなるような力があるのかもしれません。
前に進むことができなくなった青年の話なのにです。過去から離れられない女性の話なのにです。

純粋な再演をやってみたい気持ちはありますが、おそらくそうならない気がします。
2021年を力強く進むために、年明け後の2月、懐かしいのに新しい『夢ぞろぞろ』をお届けします。

 

【ストーリー】

寂れた駅の風変わりな売店で働く厄介な60歳の女性と、その駅から毎日仕事に通うある日突然電車に乗ることができなくなった青年の、夢をもたないふたりによる、やがて輝くための、もしくは諦めるための、とある駅で起こった愛しい数日間の物語。

 

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小沢道成