KAAT神奈川芸術劇場×世田谷パブリックシアター『バリーターク』撮影:細野晋司
“バリーターク”、それはふたりが口にする、ある村の名前。
ふたりはだれか。どこにいるのか。そして壁の向こうには何があるのか。
アイルランドの鬼才エンダ・ウォルシュの戯曲が、ついに日本初演!
『バリーターク』はKAAT 神奈川芸術劇場と世田谷パブリックシアターの共同制作により、4月14日、15日のプレビュー公演を経て、4月16日に本公演が開幕しました!
アイルランドの劇作家・脚本家エンダ・ウォルシュにより2014 年に初演された本作品は、15年にアイリッシュタイムズ演劇賞最優秀作品賞を受賞。日本初演となる今回、演出にはKAAT 神奈川芸術劇場の芸術監督であり、世田谷パブリックシアターでも数多くの作品を演出してきた白井晃が手掛けます。白井晃、そして白井が出演を熱望した、草彅剛×松尾諭×小林勝也の初日コメントをお届けします。
【初日コメント】
初日を終えた現在の心境や、本作・ご自身の役の魅力について(4月16日)
■白井 晃[演出]
プレビューを経て初日を迎え、この作品の頂上に片足がかかったかなと、両足をかけてその上に立つにはもう少しかかりそうですが、その先があることがとても楽しみです。すごくいい仕上がりになりました。ほっとすると同時にさらに良くなりそうでワクワクした気持ちです。戯曲だけではわかりづらい作品でしたが、立ち上げてみて本当に深い作品だな、と改めて思いました。稽古を通して役者さんと一緒に創作していく中で、演出家である僕自身も発見することが多く、自分にとっては演劇の真髄に触れているように思える、心震える作品です。草彅さん、松尾さんはこれだけたくさんの運動量、セリフがあるなかで奇跡のように頑張っていただいて、素晴らしい芝居をしてくださっていてその姿に感動しています。小林勝也さんも勝也さんならではの第3の男という大変な役を演じてくれて、お三方とも本当に真摯に、一緒にこの作品に立ち向かってくれていて心から感謝しています。
KAAT神奈川芸術劇場×世田谷パブリックシアター『バリーターク』撮影:細野晋司
■草彅 剛[男1]
初日を終えて、わかりづらさのあるこの作品に対して、お客さんがリアクションをして、しっかりとついて来てくれるのを感じました。僕たちが演じているうちに、客席と一緒に、男二人の間に流れる空気と温度がどんどん変わっていく、その変化がまるで目に見えるようで、すごく楽しい、最高の舞台です。松尾さんは言葉を交わさなくても、芝居でキャッチボールができる、僕たちすごくいいコンビです。白井さんは初めてご一緒したんですが、僕たちがやろうとすることをわかってくれる、目の前に課題をうまい具合においてくれて、導いてくれます。お客様には、わからないところからわかっていく仕掛けがあるこの作品を、変わっていく空気の流れを感じて楽しみながら観てもらえたらと思います。あったかいものを持って帰ってもらえる作品です。あとは僕の汗の量の多さがすべてを語っていると思います(笑)。
KAAT神奈川芸術劇場×世田谷パブリックシアター『バリーターク』撮影:細野晋司
■松尾 諭[男2]
始まりました。稽古ではみつからなかったものが本番になるとどんどん見えてきた感じです。2ヶ月もあるから楽しみです。体はしんどいですけど(笑)。同じことやっていても飽きないしちょっとずつ違うことをやれるのが面白い作品です。草彅さんはすごく安心感があって、一緒にやっていて面白い、信頼できるパートナーです。だからこそ裏切らないよう責任感も持って挑むことができる、草彅さんが一緒で良かったと思います。白井さんは、すごく丁寧ですごく柔軟で、僕のどんな意見でも聞いたうえで、じっくり答えを出してくれる。一緒に創る業を通して、一歩ずつ僕らを前に連れて行ってくれる稽古、すごく充実してました。何も考えずに見に来てほしいなと思います。そのほうがジーンとする、考えるより感じる芝居だと思います。
KAAT神奈川芸術劇場×世田谷パブリックシアター『バリーターク』撮影:細野晋司
■小林勝也[男3]
初日を終えてみて、演じる私たちがこのように考えなさいとか、こういうふうに見てくださいと押し付けるのではなく、観客の皆さんがどう感じるか、ということこそがこの芝居の魅力だと感じました。役者は作家、あるいは演出家が創りたいと思ったことをより正確に演じ、観客の皆さんが自由に感じとって楽しんでいただければと思います。私は出演者の中では一番年上で、長く芝居をやっておりますが、草彅さんと松尾さんが、決まりごとや古いしきたりといったものにとらわれず、とても自由にやっていらっしゃるのを羨ましく見ております。私にとっても刺激になります。白井さんの演出はとてもしつこい(笑)。肉体的にも精神的にも疲れるといったら疲れますけど、白井さんが我々の100倍くらいエネルギーがありますので、我々もそれに追いついていけるよう明日からも頑張ります。
KAAT神奈川芸術劇場×世田谷パブリックシアター『バリーターク』撮影:細野晋司