(下段左から) 趣里 鈴木浩介 池谷のぶえ 峯村リエ
シス・カンパニーが2021年第1弾として取り組むのは、英国演劇界の至宝トム・ストッパードの緻密な頭脳プレイが炸裂する戯曲『ほんとうのハウンド警部(原題:The Real Inspector Hound)』。その荒唐無稽ともいえる発想の斬新さが生み出すカタルシスで、観客を劇空間の迷路へと誘い込み、魅了してきた巨匠ストッパードの世界!シス・カンパニーでは、これまでも、「アルカディア」(2016年 栗山民也演出)、「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ(通称:ロズギル)」(2017年 小川絵梨子演出)で、その世界観の醍醐味に迫ってきたが、「ロズギル」以来、久々にストッパード戯曲に向き合う。
何よりも、その「ロズギル」で互いに信頼を深め合った生田斗真と演出:小川絵梨子が再び顔を合わせ、演劇界最高峰の劇作家トム・ストッパードが放つ緻密で巧妙、シュールな世界に挑むことにも期待が高まる。
本作『ほんとうのハウンド警部』は1968年にロンドン・クライテリオン劇場にて初演。当時の観客の度肝を抜いた斬新な戯曲。「ロズギル」にしても、「劇中劇=メタシアター」の仕掛けを巧妙に使ったダイナミズムが魅力であったが、この戯曲は、「劇中劇」のからくりが、より緻密に物理的にも心理的にも絡み合った、まさに「劇場全体」の魅力が凝縮された作品だ。推理劇仕立てで始まる舞台は、やがて、ひとつの「推理」にとどまらない人間心理の滑稽さを孕んだ複雑な谷間へ・・・。ストッパードのブラックでシニカルな感覚が冴える、興奮の劇空間だ。
出演は、生田斗真を筆頭に、吉原光夫、趣里、池谷のぶえ、鈴木浩介、峯村リエ、山崎一の巧者たち!これは現実なのか?演劇がもたらす虚構のマジックなのか?その狭間を、7名の魅力溢れる役者陣が、どこか滑稽でシニカルでシュールな世界へ誘う。演劇でしか味わえない、特別な空間をお楽しみに!