横内謙介の名作戯曲に気鋭の若手演出家が挑む!「いとしの儚」

2021.01.25

撮影:神ノ川智早

“人との関わりや温もりへの強烈な渇望”を呼び起こす!横内謙介の名作戯曲に気鋭の若手演出家が挑む!

劇団扉座の横内謙介によって書かれた本作は、初めて劇団で上演された2000年以降、PARCO劇場や明治座、2010年には韓国で3ヶ月のロングラン公演が行われるなど長きに渡り多くの人を魅了してきた名作。これまで横内謙介はもちろん杉田成道や茅野イサムらが演出してきた本作を今回手がけるのは、横内謙介に師事し、近年では自らが主宰する演劇ユニット「東京夜光」での活動が注目を集める気鋭の若手演出家・川名幸宏。振付にはダンスカンパニー「Baobab」を主宰し、自身の創作はもちろん、様々な舞台や映像作品でも振付家としての活躍が目覚ましい北尾亘を招き、新しい『いとしの儚』を表現する。実力・個性溢れる俳優たちが暴れまわる!

天涯孤独な博打打ち“鈴次郎(すずじろう)”役を演じるのは、「HiGH&LOW THE WORST」や「水戸黄門」を始め映画やドラマに多数出演する一方、舞台では『熱海殺人事件』にて主役の木村伝兵衛に抜擢されるなど確かな実力が評価されている荒井敦史。墓場の死体を集めて鬼が創った絶世の美女“儚(はかな)”役は、幼い頃から藤間紫に師事し、日本舞踊家として活動する一方、劇団「阿佐ヶ谷スパイダース」に所属するなど、女優としても他に類を見ない魅力を発揮する藤間爽子。請け負う勝負は必ず勝つ、鈴次郎のライバルである千里眼のゾロ政を演じるのは、劇団「柿喰う客」の看板女優 七味まゆ味。そして、鈴次郎との博打に負け、金の代わりに儚をくれた鬼であり、2人の物語を左右する赤鬼・鬼シゲを、劇団「猫のホテル」のメンバーであり、小劇場から大劇場まで幅広く活躍する個性派俳優 市川しんぺーが演じる。その他、川名作品の常連から、本家である劇団扉座の面々など実力派の個性豊かな出演者、総勢12名が下北沢のザ・スズナリで暴れまわる。

互いに強く惹かれ合いながらも交わることが出来ない葛藤を抱え生きる鈴次郎と儚の姿は、人との距離を制限され画面越しの生活を強いられたコロナ渦中の私たちの姿と重なる。インターネットが人類のコミュニケーションの様態を大きく変え、SNSで繋がることが世界中に分断を呼び起こしている今、私たちに必要なのは「他者を渇望する物語」だ。現代版「いとしの儚」に期待!

ものがたり

墓場の死体を集めて鬼が創った絶世の美女“儚(はかな)”。
負け知らずの博打打ち“鈴次郎”は鬼との勝負に勝ち、儚を手に入れた。
しかし、儚は創られてから100日間経たずに抱いてしまうと水になってしまうという。
鈴次郎と共に人間として生きていくことを夢見る儚。
だが、孤独に生きてきた鈴次郎は儚の思いに戸惑い、博打をやめられない。
と同時に、なぜかツキの神様に見放された鈴次郎は負けが続いた。
そして、ついには最後の勝負にも負け、儚は遊郭へと売り飛ばされてしまう。
あと一日で夢が叶うのに…。
果たして2人は無事に100日目を迎えることが出来るのか――。

川名幸宏