ヨーロッパ公演2018満を持して、ロンドン・ソーホー劇場で開幕!
東京芸術劇場芸術監督、野田秀樹が、作・演出・出演する英語劇第4弾、『One Green Bottle』が4月30日、ロンドンのソーホー劇場で開幕しました。演劇の本場・ロンドン。大小の劇場が立ち並び、世界中からの演劇ファンが集まるウエストエンドの中心にあるソーホー劇場は、わずか150席の小さな劇場でありながら、常にチャレンジングな作品を上演し、感度の高い若者を中心に人気を誇っています。ロンドンの演劇界に新風を巻き起こしているこの場所で、目の肥えたロンドンの観客から大絶賛を受けた『THE BEE』『THE DIVER』は上演されました。ロンドン演劇界に野田秀樹の名前を大きく知らしめることとなったソーホー劇場にて、満を持して約10年ぶりの英語版最新作の上演となりました。
濃密な劇場空間は、野田の最新作が上演されるとの噂を聞きつけた観客が詰めかけ、すでに立ち見が出るほどの大盛況で初日が開幕しました。序盤より、野田、キャサリン、グリンの丁々発止の台詞の応酬に客席は大きな笑いに包まれました。野田が英語で書き下ろしただけでなく、日英ハーフの若手脚本家・ウィル・シャープと文化的な翻訳を行い練り上げられた台詞や、歌舞伎の型を取り入れた独特な身体表現、田中傳左衛門の鼓の生演奏などの演出は、ロンドンの観客に多いに受け入れられました。後半の息をのむ展開には客席は水を打ったように静まりかえりましたが、幕が下りるや否や割れんばかりの大きな拍手や感嘆の声が沸き上がりました。小さな劇場空間を揺らす大反響となり、熱気あふれるヨーロッパ公演の幕開けとなりました。
【野田秀樹 コメント(ロンドン公演、初日終演後)】
今日の初日は、舞台に出た瞬間から観客の反応がとても良かった。イギリスでプレスナイトは、目の肥えたプロが観にくる日なので、観客の反応が固いことがあるんですが、ロンドンで上演してきた今までの作品のオープニングの時と比べても、今日の観客の反応には十分な手応えを感じることができました。まだ、(劇評がでていないので)これから何が起こるかわからないけれど、自分の中では、いい芝居だった。と思います。いい始まりになったと思います。
【ストーリー】
これは、父、母、娘の三人家族の物語。その夜、三人はそれぞれ絶対に外出しなくてはならない理由があった。しかし、飼い犬が出産間近とあって、誰かが家に残り、面倒を見なくてはならない。嘘、裏切り、あの手この手を使って、それぞれが他の二人をあざむき、なんとか家を抜け出そうとする。やがてそれぞれの「信じるもの」が明らかにされ、互いの中傷、非難、不寛容が、事態を思わぬ方向へと導いていく。果たして彼ら三人に、救いはもたらされるのか?