6月13日まで明治座にて上演していた舞台『水谷千重子 50周年記念公演』。あの演歌界の大御所・水谷千重子が座長を務め、2019年に続いて今年も(?)50周年記念公演として話題の本公演が、6月25日からはいよいよ博多座に初お目見え!
東京・明治座で”50周年記念公演”を2年連続(?)成し遂げた水谷千重子。大好評のうちに終わった明治座公演だったが、実は本公演、昨年9月に博多座でも初座長公演を予定していた。しかし、新型コロナウィルス感染拡大防止策ということもあり、あえなく中止となっていたが、ファンからの多くのリクエストもあり、それに応える形で今回博多座での上演も決定した。今回のステージでは、第一部にお芝居『ドタバタ笑歌劇 神社にラブソングを』を、二部の歌のステージでは水谷千重子以外に、二葉一門で千重子ファミリーとしておなじみの八公太郎、倉たけし、六条たかやが日替わりで登場する。
4月末には、博多座公演の成功祈願として福岡の太宰府天満宮を訪れた水谷千重子と八公太郎。いつもは冗談を言い合う賑やかな二人だが、本公演へ真剣な思いが伺える表情のまま本殿入りし、祈願に臨んだ。
祈願後には、取材陣に向けて大宰府天満宮では有名なスポットである『飛梅』前でのフォトセッションが行われ、偶然居合わせた一般の参拝客たちも驚きの様子。その後は境内の別場所へ移動し、マスコミ向けの合同取材会も行われ、二人の軽妙なトークが繰り広げられ・・・。
まず初めに会見では博多座初公演に関して水谷は、「千重子も八公太郎も福岡が好き!ということもあって、一座の人たちもそうですが、旅をしながら公演が出来ることが最高だね!と話しておりました。今からワクワクしてボルテージも上がっております。どういった雰囲気になるかは分からないですが、とにかく私たちが楽しく笑顔でやり切れたら、それがお客様にも伝わるはずなので、精一杯務めさせて頂きます。大宰府天満宮という素晴らしい場所に来させて頂いて、ふざけられないぞ!と(笑)。昨年芸能生活50周年で、今年‟も”50周年ということで(笑)、皆さまが私たちのこと(世界観)を受け入れて理解してくださっているのを感じでおります。真面目にバカやりながら、皆さんとジョイ.ンしたいですね」と、満面の笑みで意気込みを語った。
続いて八公太郎に祈願の感想を尋ねると、「東京渋谷区生まれ、1、2、3、4、5、6、7、八公太郎です!!よろしくお願いいたします」と、マイクの音が割れんばかりの元気で大きな声で八公太郎が挨拶を。そして、水谷からの「そう!これがないと始まらない!」と合いの手が入ると八は、「そう!これがないと始まらない。イイっ!! ほんとにイイっ!!時代はソーシャルじゃけぇ!」とすかさず返し、それに対して水谷もまた「『時代はパーシャル!』と言うCMが昔あったわね」とフォロー。勢いが止まらない八は「全部イイっ! 博多座さんの公演も、太宰府天満宮さんも全部イイっ!! 以上!」と自分のペースで挨拶を進めはじめたが、思わぬ秘話が繰り広げられることに。
実は、八は中学の修学旅行で大宰府に来たことがあるそうで、「ここでお願いしたおかげでさっ、母校である慶応大学に無事入学することができまして」と話しだした八に水谷は「初めて聞きましたけど?あなたが慶応行ってたなんて」とツッコむも、「KOされちゃった(笑)」と笑ってごまかす八。そんな八に水谷は「KOされちゃった…ってバカ言ってる(笑)」とお決まりのセリフを放ちつつ、「(記者の方を見渡しながら)誰のペンも動いてないからっ」と一瞬の場の空気を読んだ鋭いツッコミを。一方、そんなことはお構い無しといった様子で「(記者たちに向かって)いいのよ?(ペン)動かして」と答える八…と、会見の冒頭から二人の息の合ったトークが始まった。
質問は、昨年に引き続き、芸能生活50周年を迎えることへの感想に及ぶと水谷は、「本当に皆さまのおかげです。共演者もスタッフもそうですが、来てくださるお客様が一緒に参加できる参加型の公演だと思っているんですね。記者さんも司会者さんも含め、皆さんでこの世界観を楽しんでくださってるということが感謝です。そうじゃないと50周年というのが成立しませんので…‟成立しない?”じゃないわね(笑)。とにかく感謝・感謝です」と、笑いながらも真剣な表情を浮かべる一幕も。しかしその空気も八への質問で一変。水谷との今だから話せるエピソードは?という質問に八が暴走を始めた。
「これはちょっと内緒にしてほしいんだけどさ。こいつさ、デビュー当時ね、東京・阿佐ヶ谷のバーテンダーのミチルっていうやつと同棲してたの。でさ、渋谷の道玄坂上で俺たちが倉(たけし)と飲んだ帰りにさ、こいつがミチルからもらった真珠のネックレスを電信柱にひっかけちゃったの。道玄坂に真珠が転がっちゃってさ!『八っちゃん、拾って!あれ、ミチルからもらった大事なネックレスなの!お願いだから拾って!』ていうから俺、道玄坂からずーっと転がって拾っていったのよ。で、全部拾い終わってハッと気が付いたら…渋谷のハチ公前だったの!だから俺の芸名が八 公太郎なの!これは本当に懐かしいな~。こいつさ・・・阿佐ヶ谷でミチルっていう奴と同棲していてさ、渋谷の道元坂上で飲んでた時にさ・・・ミチルからもらった真珠のネックレスをひっかけてそれを俺が拾ったの。全部拾い終わったら目の前がハチ公前で、それで俺の名前が八公太郎なの!」と語り始めた八。
自分の芸名が誕生した話を2回も立て続けにしたことに水谷は驚きを隠せないようで、「え…ちょっと待って…なんで同じ話を2回もしたの?」と目を丸くしていると、「してないよ~2回も」ととぼける八に記者たちから笑いが。「同じ尺を使って!2回も!話したわよ(笑)」と水谷もツッコむも、「そんなこと言ってないよね~?俺。いや、何がおもしろいかって、阿佐ヶ谷の・・・」と、また同じ話をしだしそうになる八に水谷が「も~ういいわよ(笑)。その心臓がすごいわ」と制する一コマで、一気に会場が水谷千重子劇場に早変わりした。
↑懲りずに何度も自身の名前の由来を発する八に対し、呆れた様子で水谷が「3回目よ!」とつっこむ場面も。
続いて記者からの質問で、博多の町の印象や好きな食べ物などを聞かれた水谷は、「ターンテール富士のテールスープと焼き飯が最高なの。それがあれば博多座公演ずっと毎日出来るわよ」と、店名まで教えてくれるサービス精神旺盛なところを見せる。一方で八は、「うどんが美味い!ぜーんぶ食べたもん。お出汁の色が薄いけど食べたら濃いの。一番いいんだよアレが!」と二人から通常ではあまり出て来ない博多飯の通な回答がもらえた。また、お芝居のタイトル『神社にラブソングを』からだけでは作品のイメージが沸かないという質問に八が、「あれだろ?アメリカ映画の『天使にラブソングを』のパクリだろ?どう見てもそうだろうが(笑)、天使を神社に変えただけじゃね~かよ(笑)」といたずらっぽく言い出し会場に笑いが。そんな八に水谷からは「パクリとかそういうこと言うの止めて欲しいわけよ!あ、友近ちゃんとロバートの秋山さんが『国産洋画劇場』というのをやってたでしょ?洋画を国産に仕上げる…。今や洋画は国産の時代…。それに似てるわよね?パクリというならばね(笑)」との独特な解釈に苦笑いしつつ納得したように見せる八だった。
さらに質問は芝居の共演者話に。高橋ひとみ、YOU、お笑い芸人の日替わり登場も見どころの一部だが、「高橋ひとみちゃんも前回に続き出たいと言ってくださったし、生駒ちゃんも憑依型の演技が出来てとっても可愛らしい子なの。バッファロー吾郎Aちゃんも出てます。彼は声が素晴らしいですね、この人は芝居を締めてくれます」という水谷に八は、「この子さ、世界で一番演技上手いよな!」とバッファロー吾郎Aを褒める一幕も。「YOUちゃん、はいだしょうこちゃんのWキャストは二人とも魅力的な声だし。野村将希ちゃんに武田真治ちゃんも体格も素晴らしいから二人の筋肉対決も楽しみ。芸人ゲストのメンバーも個性派ばかりよ。昭和感あるというか、明治座・博多座の雰囲気にあってるでしょ?ホッと落ち着くようなメンバーを集めさせて頂きました」と、ストーリーもさることながら出演者たちと水谷との絡みが楽しみだ。また歌謡ショーに関しては前回も出た水谷千重子の悪友たち、八公太郎、倉たけし、六条たかやが登場するが、八は「たのきん…全力投球!」と昔あった「全力投球」とつく番組名をもじったダジャレを交えて意気込みを叫んでいた。
また、一部の『神社にラブソングを』にちなみ、好きなラブソングは?歌謡ショーでの披露予定は?との質問が続くと、「歌謡ショーの方はまだ考えてなかったから、ラブソングを入れるのもいいわね!提案有難うございます。好きなラブソングはいっぱいありますねぇ。悲しい…切ない…ハッピー…な、ラブソングにもいろいろあるわね。小田和正ちゃんの『東京ラブストーリー』なんかも好きよ。マーチン(鈴木雅之)さんの『ガラス越しに消えた夏』とかもいいわねぇ。ハッピーな恋愛の歌よりちょっと切ない…物悲しい、人生ってこんなものでしょうね…みたいなのを千重子はあえてステージ上で歌ってるかも。テレサ・テンちゃんの『別れの予感』とか」と、語っていた水谷だったが、果たしてラブソングが聴けるのか?どんな楽曲が聴けるのかが楽しみだ。
そして、独特の空気感で進んでいった取材会も終盤に差し掛かり、二人から福岡のファンにメッセージが。まずは八が「ほんとにさ、ぜひ観に来て欲しいの!何がスゴイかって言ったら…、笑いあり、涙あり、そして…オバさんありだから!(笑)」と言うと、最後の発言に水谷がすかさず「ダメなんだよ?今はね、オバサンとか、容姿いじりとか…そんなこと言っちゃダメなの!つまみだされるよ?って話なの!」と苦言を呈すると、「え?ダメなの?」と少ししょんぼりと反省した表情を浮かべつつ八は「ほんとに楽しいからぜひ観に来て欲しい!」と元気に笑顔で語った。
最後に水谷からは「皆さんが観に来てくださるということが、逆に私たちにパワーを頂けている感じがしています。来年も頑張っていこう!と、それくらいに‟活力源”になっています。明治座公演の時に、お互いに支え合って公演をやれているんだなというのを実感したので、博多座では私たちも皆さまに元気を与えられたらと思っています。宜しくお願いします!」と、最後は真剣な表情で会見を締めた。
明治座公演で温まった一座の結束力や笑いのパワーは、さらに倍増して博多座公演にも注がれることだろう。6月25日からの公演まであと少し!チケットはローチケでも好評発売中。皆で笑いのパワーを浴びに行こう!!
取材・文:ローチケ演劇部(シ)
撮影:大工昭