10月28日、WAHAHA(ワハハ)本舗による、WAHAHA本舗全体公演『王と花魁』の東京公演が初日を迎えた。コロナ禍の影響による1年半の延期を経て、4年ぶりの全体公演となる。喰始の演出のもと、柴田理恵、久本雅美、佐藤正宏、梅垣義明をはじめとしたワハハのメンバーが、総力を上げて全国14都市に笑いを届ける!
感染症対策は徹底! 笑いの追求には自粛なし!
『王と花魁』は、古今東西のエンタテイメントをワハハ流にアレンジして詰め込んだ、歌とダンスと笑いのレビューショー。WAHAHAの文字があしらわれた緞帳が開くと、オールキャストによる弾けるような賑やかなダンスで、一気に盛り上げる。
飛沫感染防止のため、本公演では出演者が舞台から客席に降りて提供する、ワハハお馴染みの濃密で濃厚な“おもてなし”は徹底して封印された。オープニングで久本が「今回はお客さんとのやり取りができない」と残念がると、柴田も「皆で猿になって、客席のお客さんのカバンをのぞいたり、頭をなでまわしたりもできません」と寂し気な表情をみせた。しかし、次の瞬間には2人とも笑顔と元気いっぱい。お客様を前に生の舞台に立てる感謝を述べ、「皆さまに喜んでいただけるよう、一座でがんばっております。最後まで楽しんでください!」と呼びかけた。これに答えるように客席から拍手が送られた。
歌舞伎あり、宝塚あり、ミュージカルあり!
鼻から豆を飛ばすことでおなじみの歌姫・梅垣義明は、豆を飛ばせない今、ただの歌姫になってしまうのか!?そんな心配をよそに、巨大な○○○に包まれ笑いを誘い、美声を響かせた。佐藤正宏、すずまさ、大久保ノブオたちが語尾を“ありんす”に花魁姿でジャズのネタ合戦を繰り広げ、宝塚のコスチュームの女性団員はズンドコ節でフランス革命を歌い上げる。
久本と柴田の応援団は、新たなアイデアで「お客さんとのやり取り」を実現。自身に、お客様に、爆笑のエールを送る。柴田の一人芝居は、1本の映画を観たような舞台愛と情感に溢れるドラマをみせた。久本は漫談で、自虐も下ネタも力技でキラキラに輝かせ、客席を自由自在に盛り上げる。コンテンポラリーダンスによるワハハ流のオリンピックや、伝説のボディスーツによるジャズダンスなど、バカバカしさてんこ盛りのネタからスタイリッシュなステージまで、バラエティに富んだ構成だ。
そして後半の『歌舞伎ミュージカル』。歌舞伎の名場面、『白浪五人男』から始まるが、いつの間にか往年のミュージカルナンバーに。馬にまたがった楠木正成がロバにまたがるあのレジェンド俳優のミュージカルになり、弁慶があのミュージカル曲で六方をふみ、新選組が大ヒットミュージカルのフォーメーションで踊る。おバカな笑いとパロディの楽しさがあり、立廻りもダンスあり、劇団の底力が試されるステージ。見どころにつぐ見どころに、幾度も拍手が起こった。
ショーの終盤には、喰始のオファーに答えて泉谷しげるさんが書き下ろした楽曲「風の時代」に、会場のお客様の思いが重なるスペシャルな映像も披露された。エンディングで全員が揃うと、いま再び、ステージはエネルギーに溢れた。ソウルフルな音楽をバックに、座長・大久保を始め座員からこの舞台に込める熱い思いが語られ、お客様の拍手に包まれる中、終演を迎えた。