草彅剛が自身の集大成として再び挑む舞台『アルトゥロ・ウイの興隆』開幕!

2021.11.17

2020年1月に演出家・白井晃が芸術監督就任中のプログラムとして創作され、再演を熱望されたドイツ演劇の巨匠ベルトルト・ブレヒトの大作『アルトゥロ・ウイの興隆』が11月14日(日)KAAT神奈川芸術劇場にて開幕した。

ヒトラーが独裁者として上り詰めていく過程を、シカゴのギャングの世界に置き換えて描き、ジェームス・ブラウンの楽曲を中心にファンク・ミュージックを散りばめた白井の意欲作。初演に続き、主演のアルトゥロ・ウイには草彅剛。共演には、神保悟志、渡部豪太、松尾諭、小林勝也などが続投。新たに榎木孝明、七瀬なつみが座組に加わる。

開幕前日には公開ゲネプロが開催され、自身の集大成として全てを注いでいるという草彅は真っ赤なスーツに身を包み、ジェームス・ブラウンの『Get Up(I Feel Like Being A)Sex Machine』などを熱唱。オーサカ=モノレールの生演奏によるライブ会場さながらの舞台を所狭しと駆け巡り、華麗なダンスも存分に披露した。
初演時には、齋藤茂男が手掛けた照明が読売演劇大賞最優秀スタッフ賞を受賞しており、ウイの欲望埋めく世界観を存分に引き立てるライティングも見どころの一つ。

自らの野心のために周囲の人々を次々と裏切り続けるウイにいつの間にか心を奪われ、扇動される人々の姿は恐怖でもあり、ときには不思議な高揚感すら覚えてしまう。受け取る側の気持ちを試されるような舞台をぜひ劇場で体験してほしい。公演は年を跨いだ2022年1月まで、横浜・京都・東京で開催。1月の東京公演はすでに完売となっており、11月、12月の横浜・京都公演をぜひ。

 

STORY

シカゴギャング団のボス、アルトゥロ・ウイは、政治家ドッグズバローと野菜トラストの不正取引に関する情報をつかんだ。それにつけ込み強請るウイは、その事件をきっかけに勢力を拡大し、やがて人々が恐れる存在へとのし上がっていく。見る見るうちに勢いを増していくウイの野望を、果たして抑えることができるのだろうか・・・

 

コメント

演出:白井晃
初演から2年弱の間に世界は大きく変わりました。あの時問題にした政治的状況も一見変化したようで、実は益々深刻になっています。それだけに、この作品の必要性が増しているように思います。リハーサルの中で、草彅さん演じるウイも益々鋭角的に研ぎ澄まされてきています。全神経をこの作品に注ぐ姿は清々しくもあります。キャスト・スタッフともに更にパワーアップされて、世界を突き抜く作品がお見せできそうです。この瞬間を是非とも目撃ください。

 

アルトゥロ・ウイ役:草彅剛
シカゴギャング団のボス、アルトゥロ・ウイはとにかく野心に溢れた人物。
ウイの気持ちを受け止めて演じること、そして歌に踊りに、心身ともに大変な舞台ですが、自分の積み上げてきた全てを出せる集大成となる舞台だと思っています。今回は横浜・京都・東京と3都市で上演できることも楽しみにしています。まだまだ気をつけなくてはいけない日々が続きますが、舞台からエネルギーを伝えられるよう、2022年まで、カンパニー全員で突っ走ります!!

 

撮影:田中亜紀