全く新たな物語で稀代の悪女・お勢を描く倉持裕の舞台『お勢、断行』ビジュアル・公演概要公開!

2022.01.06

江戸川乱歩の蠱惑的な迷宮世界を踏襲しながらも、全く新たな物語で稀代の悪女・お勢を描く
気鋭の劇作家/演出家・倉持裕の舞台『お勢、断行』待望の上演決定!

2017年の『お勢登場』に続く世田谷パブリックシアター×倉持 裕のタッグで、2020年2~3月に上演を予定していた『お勢、断行』。開幕の2日前、新型コロナウイルス感染症の拡散防止のためツアー公演含め全公演がやむなく中止となったが、2年の時を経て、待望の上演が決定。この度、メインビジュアル、公演概要が公開された。

『お勢登場』では、江戸川乱歩によるケレン味あふれた8本の短編を、卓越した構成力で見事舞台化し好評を得た劇作家/演出家・倉持裕。今回は、極彩色に広がる乱歩の迷宮世界を踏襲しながらも、稀代の悪女・お勢という魅力的なキャラクターをモチーフに、善悪せめぎ合う全く新たな謀略の物語を立ち上げる。

本公演独自の世界観を構築するにあたり、大きな要素となる音楽を担当するのは、椎名林檎を始め多くのミュージシャンの作品に参加し、多彩な活動を続ける斎藤ネコ。「大正末期から昭和初期の時代が持つ、狂騒的で混沌とした雰囲気を出してくださると思います」と、倉持も大きな期待を寄せる。

出演者にも魅力的なキャストがそろった。自らも悪事に染まりながら、企みを巡らす人間たちに正義の鉄槌を下さんとする主人公・お勢には、あどけない表情と凛とした佇まいの対照的な魅力が光る倉科カナ。倉持作品には本作が二度目の登場。第8回東宝シンデレラグランプリで、映画「思い、思われ、ふり、ふられ」での柔らかな透明感と確かな演技力が印象的な福本莉子は、倉持とは本作が初顔合わせ。物語の中心となる謀略の被害者・資産家の娘で、おっとりとしたお嬢様らしい外見ながら、その奥に秘めた強い意志を感じさせる役どころを演じる。
また、これまでも倉持作品に出演してきた江口のりこ、池谷のぶえ、堀井新太、粕谷吉洋、千葉雅子、大空ゆうひ、正名僕蔵、梶原善と、強力な布陣で上演する。

目まぐるしく展開する人間模様の中、正義と悪の暴力について、時にユーモアを、時に背筋が凍るような恐ろしさを交えつつ、倉持独自の感性で紡がれる新たなストーリーのもと、個性豊かでチャーミングな俳優たちが、乱歩的迷宮を駆け巡る新作現代演劇に期待は十分だ。

 

あらすじ

大正末期、資産家の松成千代吉の屋敷に身を寄せた女流作家、お勢(倉科カナ)がいる。その屋敷には、千代吉の娘(福本莉子)と住み込みの女中(江口のりこ)、そして千代吉と小姑(池谷のぶえ)からの圧力に苦しむ後妻(大空ゆうひ)がいた。ある日、千代吉に屈辱を受けた代議士(梶原善)は、後妻と結託し、松成家の財産をすべて奪い去ろうと、千代吉を狂人に仕立て上げる計画を練る。
女中、精神病院の医院長(正名僕蔵)、貧しい電灯工事夫(堀井新太)らを巻き込み、首尾よく進むかに見えたが、第一の殺人がおき、計画は思わぬ惨劇へと突き進むーーー