演劇の毛利さん -The Entertainment Theater Vol.1「天使は桜に舞い降りて」開幕!コメント到着!

2022.01.07

2022年1月6日(木)東京・サンシャイン劇場にて、演劇の毛利さん -The Entertainment Theater Vol.1 「天使は桜に舞い降りて」が開幕した。

本作は、『桜』の物語から生まれる『再生』をテーマにした作品。桜の木の下に眠っているのは、希望か絶望か。儚く、そして、切ない、繰り返される『絶望』と『再生』の物語。厳しい状況を乗り越えて新たに生まれる“演劇”だ。舞台「天使は桜に舞い降りて」と、リーディングシアター「桜の森の満開の下」は、同期間内、同劇場での上演を予定。開幕した演劇の毛利さん -The Entertainment Theater Vol.1「天使は桜に舞い降りて」のゲネプロレポートと、脚本・演出を務める毛利亘宏及び出演者のコメントが到着!

 

 

ゲネプロ リポート

“桜”の物語から生まれる『再生』をテーマにした本作の、舞台の真ん中で大きな存在感を放っていたのは桜の枯れ木。花も葉もない大きな木はどこか物悲し気だ。そんな世界で神が天使に委ねたのは、「人間は再生に値するか」という重い判断だった――。薄暗い空気の中で始まる物語だが、天使・ラウムを演じる荒木宏文、天使・クロセルを演じる夢咲ねね、そして桜の精を演じる安西慎太郎の軽快なやり取りで動き出す。「人間には再生の価値がない」と主張するクロセルと、「人間には再生の価値がある」と主張するラウム。ふたりの意見が一致した時、この世界の人間たちの運命は決まるのだが、そんなふたりに、桜の精はある物語を見せると言う。「桜の下にはたくさんの物語が埋まっているんです!」と桜の精が呼び出したのは、坂口安吾『桜の森の満開の下』、梶井基次郎『櫻の樹の下には』、『義経千本桜』、小泉八雲『十六桜』という“桜”を題材にした物語で生きる魅力的な登場人物たちだった。

そこからオムニバス形式で紡がれるそれぞれの物語。公演期間に同会場でリーディングシアターとして読まれる『桜の森の満開の下』では山賊を三津谷亮、妖艶な女をエリザベス・マリー、白痴の女をザンヨウコが、『櫻の樹の下には』では“俺”を伊崎龍次郎、“お前”を大薮丘が、『義経千本桜』では源九郎判官義経を相澤莉多、平知盛を井俣太良、いがみの権太を川本裕之、狐忠信を星元裕月が、『十六桜』では老侍を山本亨が、中心となって演じる。物語には毛利のアレンジも加わり、一作一作に見応えがある。それが4作も続くのだから重くもなりそうだが、それぞれにラウムとクロセルも参加しながら、時にユーモアも織り交ぜつつ届けられるのは、毛利作品ならではとも言えるものだ。

4つの作品には人間の弱さや愚かさ、身勝手さも描かれている。そういう物語の数々が天使のもとに行き着き、「人間は再生に値するのか」という問いにどう決着をつけるのかはぜひその目で目撃してほしい。

演劇の楽しさが客席まで直接届くような芝居は、毛利が<演劇の毛利さん>でやりたかったことはこれなのだろうと思わせるもの。ダンスや歌、映像も盛り込まれ、演劇を味わい尽くせる本作を、劇場で堪能してほしい。

 

 

開幕コメント

脚本・演出:毛利亘宏(少年社中)
<演劇の毛利さん>と、自分の名前を冠する以上、自分がとことん演劇を楽しんでつくれるユニットにしたい。だから、俳優と楽しんで、スタッフも巻き込んで、お客さんも巻き込んで、ひとつのお祭が毎回できていけたらいいなと思って、楽しんで稽古してきました。
今作は、“桜”という日本の象徴ともいえる花を題材に、今を描き出したいなと思っています。きっと天使が力強く私たちの背中を押してくれるお芝居になっていますので、ご期待ください。

天使・ラウム 役:荒木宏文
油断できない状態になりつつある中で、初日を迎えられたので、今度は千秋楽を無事に迎えられるように最後まで気を抜かずに演じたいです。新年から景気のいい作品になるように精進してまいります。本作は毛利さんの脚本・演出という“毛利さんの世界観”を全面に出した作品で、毛利さんの価値観、世界観の中でプレイすることを面白く感じました。毛利さんの脳内を見てもらえるんじゃないかと思います。

天使・クロセル 役:夢咲ねね
2022年の幕開けから舞台に立つことができて幸せです。サンシャイン劇場には初めて立たせていただくので、それも光栄で嬉しく思います。
この作品にはひとつ大きなテーマがあって、そこに向かいどう判断していくのかを、私の役は、作品を通して悩んで答えを出そうとします。きっとお客様の代表みたいな役なのかなと、稽古を経て思うようになりました。
オムニバスで4つのお話が出てきます。この一つひとつを全編観たいと思うくらい、皆さん熱演されていますし、命を吹き込んでいると思うので、そこも楽しんでいただけたら嬉しいです。

桜の精 役:安西慎太郎
この作品は、“熱くなる”というよりも、ホワッと“温かくなる”作品かなと思っています。だから価値観が劇的に変化するというよりは、なにか変化する前のきっかけのようなものを与えられる作品なんじゃないかな。僕が演じる“桜の精”がひとつの象徴になっていますが、なんの象徴なのかを観た後に考えていただけたらと思っています。
これからも<演劇の毛利さん>というコンテンツが続くように、しっかりやっていきたいです。

山賊 役:三津谷亮
初日を迎えることが当たり前ではないご時世で、こうして無事に幕を開けることができ本当に嬉しく思います。
2022年の皆様のパワーになる様に、慢心せずに毎日全力に全身全霊で一瞬一瞬を生きます!!
個人的な注目ポイントは沢山ありますが、ジェットコースターに乗ってる感覚を体感できること。
沢山の想いや感情に出会い、振り返り、前を向き、一緒の時間を体感して、桜の季節が恋しくなってもらえたら幸いです。
劇場で満開の笑顔と共にご来場お待ちしております。

俺 役:伊崎龍次郎
新年一発目の作品をこの『天使は桜に舞い降りて』で迎えられることをとても嬉しく思います。
毛利さんの“今”届けたいメッセージが詰まった今作。しっかりと作品の一部として体現できるように一公演一公演を集中して臨みたいと思います。
本作の見どころはなんと言っても桜にまつわる物語の登場人物たちの業と、感情の機微です。
それをみて皆さんは何を感じるのか。
ぜひ受け取っていただけると幸いです。

お前 役:大薮丘
スタッフさん、キャスト一同でこの作品がまず初日を迎えられること。本当に嬉しく思います。
この作品を観て頂くと色々な方が違う感想を持ったり、共感するポイントが沢山あると思います。
その中で僕は『人間』のことを改めて考えました。ファンタジーな物語ですが、深く考えさせられる作品です。普段疲れていたり、悩みごとがあったりするじゃないですか。
人生、みんな悩んで苦しんでいると思うのですが、それがまた生きている証拠だと思うんですよね。この作品を観るとまた明日頑張ろう!って思えるような気がするので、是非とも皆さんに観に来て頂けたらと思っています!

狐忠信 役:星元裕月
2022年の幕開けを本作から歩み始められること、心から嬉しく思います。
この作品のお稽古を進めていく中、「人間」の様々な一面を扱う上で自分自身、色んな事を思い返しました。今日まで歩んできた全て。そうして今ここにいる。
笑顔、涙、怒り、喜び、悲しみ、絶望、全てが詰まった人間という生き物。本作で描かれる様々なカケラ達。お客様には純粋にこの物語から「人」を感じてほしい。
そして思いを巡らせて、この桜に聞かせてほしいのです。桜の下に繰り広げられる物語。
今だからこそ届きますように。

源九郎判官義経 役:相澤莉多
初のストレート舞台、そして初の歴史上の人物を演じさせていただくということで、とても新鮮な気持ちで作品に取り組んでいます!!
元々、義経公のことが好きでよく知っていたのですが、今回演じさせていただくにあたり、書物を読んだり、義経公にまつわる神社巡りをしていたらもっと大好きになりました!
義経公を演じられることを誇りに思って僕の精一杯を劇場でお見せするので、是非ご観劇頂きましたら嬉しいです!

妖艶な女 役:エリザベス・マリー
まずはこの日を迎えられてホッとしております。
舞台公演を打つのが簡単ではないこのご時世、より一層意識を高く作品と向き合うことができたのは良かった点でもありました。
本作の注目ポイントは、桜にまつわる数々の物語。それぞれの物語がギュッと濃縮したような長さになっていて、原作を読んだことない方でも楽しめるようなつくりになっていると思います。
そんな中でも「人間って綺麗な部分だけじゃないよね、こういう所もあるよね」と共感してもらえるような物語たちを皆様にお届けしたいと思います。

白痴の女 役:ザンヨウコ
演劇の毛利さん、Vol.0を経て、旗揚げ公演です。何かを始める、しかもひとりで。すごいことです。毛利さんの新たな挑戦に私も勇気づけられています。誰かの背中を押すような、いや押さなくてもいい、背中にそっと手を添えられるような、そんな作品になっていたらいいなと思います。
新春らしい華やかなメンバーで桜に纏わるあんなお話やこんなお話をお届けします。私も元気いっぱい駆け回りますので楽しんでご覧ください!!

いがみの権太 役:川本裕之
毛利さん作・演出の作品に初めて出たのが1991年の夏頃、高校の演劇部でのことでした。
あれから30年後、ボクらの地元でもある愛知公演を含むこんな素敵な座組みで、しかもユニット名に毛利さんの名前を冠し、さらには自分が出演しているということになんとも言えない不思議な感覚を覚えています。本作は毛利さんらしい優しさの詰まった作品です。その「らしさ」が伝われば幸いです。
ボク自身はバカみたいな表現になりますが、あの頃のように元気いっぱい舞台であばれまわりたいと思います。

平知盛 役:井俣太良
この作品は、作家・毛利亘宏のメッセージを高純度に集約し、強靭に昇華させた作品になっています。一カ月間の稽古を重ねて、いよいよ皆様にこの作品をお届け出来るかと思うと、胸躍る思いです。僕が演じる平知盛という役は、平家一族の最期を全て見届けて、無念を抱きながら海に身を投げていった敗戦の将。義経と出会い、その無念をどう晴らしていくのか、そこに注目して欲しいです。特に今回は、出身地である名古屋での公演もあり、そのあたりも、思い入れ強くとても楽しみです。劇場でお待ちしております!

老侍 役:山本亨
このような状況下、新年の幕開けに舞台に立てることを心から嬉しく感謝いたします!スタッフ、キャスト、徹底した感染対策の中で稽古し積み上げた作品がお客様に届けられる喜びで意気込んでおります。私の役所、十六桜は一人語りとなっております、皆様の想像力に頼り、お客様と創って行ければと考えます。人間が素敵な生き物であることが伝わりますように!

 

 

ストーリー

人間が死に絶えようとする絶望に満ちた世界。
花が咲かない桜の木の下に天使が舞い降りる。
その天使の名はラウムとクロセル。
「人間に『再生』の価値があるか確かめよ」
“かみさま”にそう命じられたふたりの天使は、そこで桜の精に出会う。
桜の精は語りかける。
「僕には夢があります。また僕の周りに人間たちがたくさん集まって笑いあってほしい」
そして、桜の精は桜にまつわる数々の「物語」を見せ始める。
坂口安吾「桜の森の満開の下」
梶井基次郎「櫻の樹の下には」
小泉八雲「十六桜」
歌舞伎「義経千本桜」
それは天使に人間の本当の姿を見せるためだった。
かつて、満開の桜の木の下に集い、笑いあった人間たち。
人間たちはまた笑いあえるのだろうか。
これは、どこまでも愚かで美しい人間の『絶望』と『再生』の物語。